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灰汁詰めのナヴォー

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#紛れなくファン小説だ

ふたりはPre-cure【エピローグ】

ふたりはPre-cure【エピローグ】

 帰りの電車で、深友はスマホをいじる気力すらなく、ただ席にもたれ込み、Pre-cureの二人からもらった名刺を眺めて、今日起きたことを反芻していた。

『これでおれたちの任務は終了だ。お大事にな』

『ま、待ってください!鈴さ……あの女がまた来るって言ったよね?俺はこれからどうすればいいの?』

『現実的に言うなら、引っ越して、携帯番号もSNSアカウントも全部新しく作った方が良いだろう』

『そん

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Pre-cure:Christmas's special!

Pre-cure:Christmas's special!

 *このnoteはふたりはPre-cure本編ではありません。クレイトンは今回お休みです。

 町の郊外にある大型総合ショッピングモール「エイアン」。クリスマス前だが、平日のため、人はそう多くない。

「ホッホッホーッ!さあ言いなさい、お嬢ちゃん、クリスマスプレゼントは何が欲しいのかね?」

「えっとね……」サンタクロースの膝に乗っている小学校低学年に相当する女の子が恥ずかし気にサンタに耳打ちした

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ふたりはPre-cure  ④

ふたりはPre-cure  ④

「誰だてめぇ!」黒パーカーのガイはバットを手放し、一歩飛び下がると、腰に帯びているポリスバトンを取り出し、振って伸ばすした。パトンを持っている右手を戻し、右拳を前に突き出す構えを取った。素手の者に対する圧制の形。喧嘩慣れているな、とクレイトンは思った。木製のバットはパコンと声立てて地面に落ちた。

「サミー!なるべく早めに片付けるからしっかり要キュア者を守れ!」

 サミーはじむーに肩を貸し、立た

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ふたりはPre-cure ③

ふたりはPre-cure ③

「ふぅー、楽しかった〜」

 カラオケに出た鈴さんは頬が赤く染まって、額に汗が浮かんでいる。さっきまでシャウトしまくったからだ。

「ハァー、外は涼しいね」「そうだね」

 外はすっかり暗くなった。8時24分、魔法の時間が過ぎ去る予感がした。

「そろそろいい時間だし、何が食べますか?」

「うーん、どうだろ」鈴さんが自分の腹をさすった。「お腹空いてないよね」

「俺もだ」

 カラオケで注文した

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ふたりはPre-cure ②

ふたりはPre-cure ②

「ハァー!ハァー!フゥー……」横浜パシフィコまで走った俺はあの二人が追ってこなかったことを確認し、安堵の息を吐いた。何だったんだ一体、急に銃とか持ち出して、絶対やばいでしょう。

 走ったせいで体が熱くなり、制汗剤を塗っておいたにも関わらずシャツが濡れた。うえ、最悪。せっかくクールに決まってきたのによ。俺はジャケットを脱ぎ、シュマグを解いて、涼しい海の風が服を乾かしてくれると願った。

「じむーく

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