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灰汁詰めのナヴォー

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小説っぽいなにかがあります
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#イマジナリーフレンド

アボカドカリブス②

アボカドカリブス②

 ドグゥワーン!雷鳴が鳴り響き、稲妻が飛び交う。小惑星めいた岩石が重力を無視して宙に浮かんでいる。いかにも最終決戦場みたいな雰囲気だ。成り、今ここでは、男の尊厳をかけた戦いが始まっている。

「悲哀な生き物よ」「グワーッ!」

 ……それとも既に終わっているとも言うべきか。両足が速硬化ワカモレに固められて身動きがとれないアクズメに、皮膚が緑黒いアボカドの質感をもった異形の男がグリム・ザ・リッパーの

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【STORIES OF ZUCOUME LAND】ウォール・オマクニ

【STORIES OF ZUCOUME LAND】ウォール・オマクニ

『アイカツ!は2019年4月から再放送!きみもストラウベリーのチャンピオンロードを辿ろう!』

『一周間も待てない人はdアニメやバンダイチャンネルをお勧め。無印からフレンズまで全部見れるよ!』

「って最近TwitterのTLにこんな内容ばかりだよ。おれも筐体でかなり剣闘しているけど、キャラクターに対してふわっとした認識しかしてないよね。なのでこの機に剣闘アニメを観始めようと思ってさ」

「あれは

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グラディエーターになった話:入籍の章(下)

グラディエーターになった話:入籍の章(下)

録画はないので想像力を働かせてください。

「なぁに見てんだおおん?」

 アイカツマシンの前に集まる四人に対して高貴な視線を送った若い夫婦はエルフの王子に凄まれ、おもちゃ売り場から退散した。

「ステージごとにテーマがある。そのテーマに合わせてスタイルの服を装備しステージに挑むのが基本だが、初期は四つのスタイルのコーデを揃えることがなかなか難しい。持っている手札で勝負だ」

アイカツカード、それ

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グラディエーターになった話:入籍の章(上)

グラディエーターになった話:入籍の章(上)

ジムパート「フッス、フッス、フッス」

 俺は今、ベンチに右足と右膝をつけ、左足を後ろに伸ばし、前に屈んだ姿勢で左手に持っている20kgのダンベルを上下している。これはダンベルを使った背筋鍛錬法、ダンベルローイングである。

「いいね。張り切ってるね」隣で見物しているオーランド・ブルーム似の男、エルフの王子だ。「男が筋トレに励んでいるのはこれから女を抱くか、人を殺すかのどっちだと映画でやったな。き

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STORIES OF ZUCOUME LAND : 失った信用

STORIES OF ZUCOUME LAND : 失った信用

 ヒュウウウー……死の風が地を舐め、砂塵を巻き起こす。正午なのに、太陽光が砂嵐に阻まれて、夕方の暗さだ。

 ここはズガウムランド、土地の面積は95%砂漠に覆われているが、わずか5%のオアシスには高度な文明が築かれており、屈強な男とタフの女たちが行き交い、24時間営業の酒場ではホットなベイブたちがビールとチキンウィングを絶え間なく運んでくれる。客たちはチキンウィングを貪りながら自分の冒険譚を叫ぶよ

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