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恋愛マスター

『先生、僕好きな女の子がいるんです』
唐突に鼻息を荒くした生徒から恋愛相談を受けた。


『聞いてください。めっちゃ可愛いくて好きな女の子がいて、ずっと思っていたんですが、同じクラブの子がその子と付き合ったんです。
めっちゃショックです』


なんか楽しそうやん!
人の恋バナほど楽しいものはありません。

ミルクボーイでいうなら

「恋バナというのは、煩悩をくすぐる究極のメニューやないかい」

とツッコムでしょう!


もうワクワクドキドキしています。


好奇心は奥底に隠して
神妙な顔をしてこう言いました。


「そうか、それは辛かったなー。
ほんで相手には自分の気持ちを伝えたんか?」

『伝えていません』

「えっ?伝えてないの?」

『はい、そうなんです』

「ちょっと待って。
君はリングには立ってないんやな!
リングに立ってなくて観客席から眺めていたんやな?
リングに立って負けるのと、観客席から眺めていたのでは意味がかなり違うぞ」
と言いました。


私は心の中で、中々良いこと言ったんちゃうかなと思っていた。


試合をして負けたのではなく、
試合に参加せず観客席で眺めていたというのです。


彼についてきた友達も
「先生の言う通りや」
と同調してくれます。


彼は
『うわ〜そうやったんか〜最悪や〜』
自分の状況がようやく飲み込めたようです。


彼は続けて
『でも、絶対いつか別れるはずです。
それまで待って付き合います!』
もう必死です。


私は、しばらく考えて
「その好きな女の子とは話したことあるの?」

『あります』

「そうか、それなら0からではないな。
話したことがあるなら1や。
それを2.3と増やしていけばええやん」


『そうですね。具体的に僕はどうしたらいいんですか?』


食いつくねぇと思いながら答えた。


「まずは、挨拶からいこう。廊下ですれ違ったら挨拶や。笑顔で挨拶。これや」


私は密かに「恋愛マスター」ではないのか?と勘違いしだして鼻の穴が膨らむ。


『挨拶ですか?僕は人に挨拶しないんです』

「おいおい、ちょっと待てよ。友達と会っても挨拶くらいするやろ⁉️」

『話すこともないし、特にしません』

スゴイ奴やなぁと思いながらも

「まずは、そこから直そう。人間関係の基本は挨拶や。廊下ですれ違って挨拶もしてくれない人に女の子が好感を持つと思うか?』
と聞くと

『そうですねぇ〜』
と考えこむ。


その時、すれ違った同じクラスの生徒に
『オウ、久しぶり〜』
と声をかけた。

「さっき会ったばかりやないか」
とツッコまれていたが、
まずは第一段階クリアとしておこう。


私は
「やったらできるやないか。その調子や。
まずはクラスの生徒から挨拶を練習して彼女に挨拶できるようにしよう!」

『ありがとうございました。これから頑張ります』


彼は、スキップするぐらいのご機嫌の足どりで帰っていった。
途中、同じクラブの生徒に陽気に手を挙げ挨拶を実践していた。


可愛いヤツやなぁと思いながら
自称「恋愛マスター」は
柴田恭平走りで去っていくのであった。

柴田恭平走り


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(まとめ)
・高校生の恋バナは煩悩をくすぐる究極のメニュー

・高校生は可愛い

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