あくだま日記_#5「ビールについての話。シリーズものになりそうだ。」

僕はビールを愛している。

どれくらい愛しているのかのために、少し例え話をする。

あなたの日常は、あらゆる行動の集合体だ。私の日常だってもちろんそう。起きる、水を飲む、コーヒーを入れる、歯を磨く、朝食を食べる、コーヒーを飲む、仕事のことと、恋人のことを考える・・・。さてあなたは、歯を磨いたあと朝食を食べるた目にリビングへ「歩く」ということを意識しましたか?

僕にとって「ビールを飲む」とは、この「歩く」に等しい位相にある行為である。これでわかっていただけただろうか。僕にとって、ビールが何か。

さてそんな僕は今日、世界で最もうまいビールを飲んだ。

それは、「新幹線の中でひとり飲むビール」だ。

画像1

さて画像の通り、仙台に向かいながら僕は考えた。「どうして新幹線の中でひとり飲むビールがうまいのか?」を。

まず一つ、電車で酒が飲めるという特別感は間違いない。移動しながら酒が飲めることは少なく、その特別感は凄まじい。新幹線を除けば、ボックス席の特急か、飛行機か、酒が飲めない奴が運転する車の後部座席くらいだ。この中でも新幹線の安心感や穏やかさは群を抜いている。静かで揺れは少なく、オンシーズンを除けば混雑に煩わされることもまずない。当然ながら家や馴染みの店で飲むのとは違い、1万以上の高額を払わなければ座れないということもこの特別感に寄与している。またもう一つ、高速で過ぎていく車窓の景色も見逃せない。これは再現不可能な一期一会の視覚的BGMであり、一人思想を遊ばせる時は最高の友だ。つまりは最高の酒の肴でもある。知識欲をくすぐる巨大な仏像や工場、神秘的空想をいざなう霧の立ち込める森と孤独な鉄塔、映画的快楽をもたらす巨大な田園風景や海岸線の景色・・・

仙台についた。空気が美しい。これから3泊4日、みたことない景色をたくさん見ることになる。

そして僕は思う。

ビールがうまい理由とかはもうどうでもいいや。うまいんだから。

説明するなんて、野暮さ。

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