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「イイ人」マネージャーを救い出す処方箋 その①

さて以前、プロローグとして「イイ人」マネージャーほど苦しみがちな現状と、それを生み出すビジネス環境の変化を概観しつつ、とはいえ「イイ人」マネージャーが「イイ人+α」となって活躍するための視点=処方箋を考えてみたいと語った。
今回はその①を徒然と記してみたいと思う。


部下からの「ちょっといいですか?」攻撃。

これにみなさんどう対応しているだろう?


「うんうんどうした?」今仕掛かっている自分の仕事の手を止めて、すぐに部下の話を聞き始める「イイ人」マネージャー。

「ん?今、無理。」今仕掛かっている自分の仕事を止めるなオーラを出して答えるコワモテマネージャー。

他にも反応パターンは色々あると思うが、「イイ人」マネージャーほど「とりあえず聞き始める」傾向が強いと感じるがどうだろうか?

「イイ人」マネージャーにまずお勧めしたいのは、この「とりあえず聞き始める」習慣を見直してみること。


自分自身の経験や多くのマネージャーの話を聞いて思うに、「ちょっといいですか?」に対して反射的に「とりあえず聞き始める」を繰り返しているとあまりいい事が無い。

もちろん、「ちょっといいですか?」がすべて本当に「ちょっと」で済む話になっていれば「とりあえず聞いて」「うん、オッケー」で済むから問題ないのだが、往々にして「聞き始めたらまだ相談内容が煮詰まってなくて非常に時間を食われた。でも部下がモヤモヤしたまま途中で切り上げるのもしにくい。」なんてことが起こってないだろうか?
しかも、「とりあえず話を聞き始めた」ものの今仕掛かっていた自分の仕事の方にも気が行っていてしっかり聞けなかったり、頭が十分に回らなかったり。ともすれば、ついついパソコンを見たまま部下の話を聞き始めてしまったり。

部下からの相談に誠実に向き合うことは、マネジメントを効かせていく上で非常に重要であることは言うまでもない。
「ちょっといいですか?」を受け流したり避けるような態度を繰り返すマネージャーのところには、速く的確な情報やアイデアすら上がってこなくなる。
なので、「ちょっといいですか?」に対して「話を聞く」ことには時間を使うべきだと私も考える。
問題だと思うのは、「とりあえず聞き始める」この反射的な行動に対してなのだ。

マネージャーが期待される使命を果たしていく上で、鍵となる要素はいくつもあるが、その中でも「時間の効果的な活用」と「精度の高いジャッジ(判断)」は成果に繋がる重要な磨きどころのはず。
「とりあえず聞き始める」反射的行動は、この重要な2つを流れに任せて手放してしまう行動だと考えるので、見直してみるべきだと思うのだ。

相手が何を話し始めるのか分からない、どれくらい時間がかかるのか分からない、にも拘わらず「なんとなく」「とりあえず」聞き始めてしまうのは、小さなジャッジのタイミングを逃し、時間を不確実なものにし、舵取りを相手に委ねてしまうものとなる。
「イイ人」は「イイ人」であるがゆえに、相手に寄り添う誠実さに強みがあるが、それがゆえにマネージャーにとって重要な「時間」と「ジャッジ」をつい手放してしまうリスクを孕んでいる。
結果として、自分の仕事が後回しになったり相手の仕事を巻き取ったり悩ましい問題を1人で抱え込んだりといった状況にハマってしまうことも往々にしてあるのではないだろうか?

部下からの「ちょっといいですか?」に対しての対応の一案として、以下の対応はどうだろうか?


なにはともあれ「ごめん、1分だけ待って。声をかけるから」と答える。


この1分で、マネージャーは「判断」をするのがキモだ。
・自ら仕掛かっている仕事の緊急度と重要度
・相談明けに戻ったときに繋がるメモ
・残タスクと使える時間
・部下からの相談の想定
など、全体をさっと俯瞰して相談してきた部下への向き合い方の方針と身構えを決める1分だ。

そして、判断を済ませたら部下に声をかけて、
「自分起点で、相手の相談をハンドリング」していく。
 
  「ごめん、今仕掛かっている作業が急ぎなんで30分集中したいんだけ 
  ど、相談事項は超緊急かな?問題なければ30分後にちゃんと時間を
  取りたいんだけどどう?」
  「OK、まず5分以内で相談を聞かせて。聞いた上で検討・解決に10分
   以上時間がかかりそうなら、別途時間を確保することも含めて
   決めよう」
などといった具合だ。

肝心なのはマネージャー主導で、時間とジャッジのタイミングを細かくコントロールしていくこと。
そして、その分部下の話を聞く瞬間は100%の意識を部下に注ぐことだ。

中途半端に部下に付き合う事よりも、本当に部下とともに問題を解決できる環境や状態を作る方が協働関係と結果が生まれやすく、部下との相互信頼も生まれやすい。

もしあなたが「とりあえず聞き始める」をしているな、と気づいたなら、ぜひ一度行動を見直してみてはいかがだろうか?


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