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INVISIBLE WORLD〜自分の価値とつながる〜

エモは白い歯を見せて、笑いながら言った。


まずは思考を観察するところから始めよう!

今ふたりが考えているネガティブな思考はなんだい?

二人は考えた。

ピスフールは言った。

私は大事な友達、コアを助けたいと思っている。
でもそんなこと自分にはできないと思っている。私は役立たずだわ。


エモは言った。

それがきみの思考なんだね。君は今どんな気持ちなんだい?



ピスフールは俯いて言った。

とても悲しい。


エモは聞いた。

どんなふうに悲しいんだい?胸が締め付けらえるのか、悔しいのか、怖いのか、それとも不安なのか。

ピスフールは考えた。

そうね・・・

私は大事な友達がいなくなって悲しい。

それは大切なものを無くした苦しみと、痛み、そして不安、恐怖もあるわ。

ピスフールの目には涙が滲んでいた。

悲しみの中には、不安や恐怖、痛みがあるのね。

ピスフールの声は震えていた。それをかんじとったかのように、風がうなりをあげ激しくなった。




エモは聞いた。

"私はは役立たずだ"、君はそう思っているんだね。


ピスフールは言った。

そう・・・私は幼い頃から、甘やかされて育った。それに不器用で誰かの助けを借りなければ生きられない。
だから私はいつも誰かに迷惑をかけないように周りの顔色を伺った。
周りを見ると、よりいっそう私は役立たずなんだと思えた。コアのこともきっと私のせいだわー・・



エモが言った。

君は役立たずだ。


それを聞いたピスフールの目からは、あふれんばかりの涙がこぼれた。



アブソリュートは、エモの元へ走り勢いよく胸ぐらを掴んだ。

お前はなんなんだ!さっきから土足で人の心に入ってきているようで気分が悪い!
ピスフールは役立たずではない!!

胸ぐらを掴まれ、エモの体がぐらっと揺れた。すると波は津波のように大きくなり岸に向かってきた。


同時に雷が鳴り天候は一気に荒れた。
大津波がアブソリュートとピスフールを覆い被さり、2人の体は海の中へ引きずり込まれた。


初めは溺れたようだったから、海の中は苦しくなかった。

2人はもがくこともできず、海の中へゆっくり沈んでいった。



その中で、ぼんやりピスフールは思った。

なんでこんな状況にいるの。
なんで私はここにいるの。
怖い、苦しい、悲しい、寂しい。ああ、どうしたらいいのか分からない、
逃げたい。不安だわ

ピスフールは、ふわふわと吸い込まれるように海の底に沈んでいく。

ああ、このままでいる方が楽。なんか心地がいい。恐怖や不安、何も感じない世界。ああ、なんて素敵なんだろうー・・・






うっすらと目を開けると、数メートル先にうっすらと人影が見えた。アブソリュートだった。

ああ、アブソリュートと旅をしていたんだわ。

なんで一緒に旅をしていたんだっけ。

分からない。

分からない。


ピスフールはどんどん深海に向かって沈んでいく。

分からない、けど何か大切なものがあった。

ああ、コアに会いたいー・・・・









コア!!



ピスフールは目を見開き、意識を戻そうともがいた。



私はコアを助けるためにここにいるんだ!
強くならなきゃ。
大切な友だち、コアを失うこと、それが何よりも怖いことなんだ。

コアがいない世界は、なんて不幸で悲しいの。
コア、どうか無事で幸せでいて。
それが叶うなら、どんな辛いことも苦しいことも耐える。


だってコアがいない世界が何より悲しい世界なんだからーーー


するとピスフールの体がいきなり水面の方へ引き上げられ、浮き上がった。





水面から顔を出すと、エモが白い歯を見せて笑っている。

君すごいね。
感情の海に訓練なしで落ちて、自力で這い上がる人は珍しい。

でももう一人はどうかな。



ピスフールがあたりを見渡すとアブソリュートがいなかった。

アブソリュート、アブソリュート、どこ!!

ピスフールは叫んだ。

エモは俯き低い声で言った。


残念だけど、アブソリュートはまだ海の中だ。


見てくださり、ありがとうございます♡これからもあなたが楽しく、健康的な人生を送れるよう、お手伝いができたらと思います! これからも面白い物語の提供や企画をする予定です!サポート貰えたら嬉しいです^_^