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目には目を、暴力には暴力を…?

世の中は因果応報だと思う。
てか、そう思ってないとやってられん。

だって今世だけ見るとどう考えても不平等すぎるもん!!
なんであいつがあのポジションみたいなこといっぱいあるもん!!
親ガチャ大外れの私なんて毎日そんなことの連続だよ!!

だけど、そんなのにいちいちムカついたりして
愚痴言ってる時間勿体無いから、
わしは頭の中で、

あいつの前世相当いい行いしたんだな〜
でも今世見る限り来世は苦労するんだろうな〜
私の来世は絶対お姫様〜🧚🏻‍♀️💫
あんなの無視して今のうちに
いっぱい反省して詰める徳積んどきま〜す💖💖💖

みたいなマインドでやり過ごしてる。

ムカつくやつに時間や感情を費やすほど
わしの人生は暇じゃないんや。

とは言いつつも、毎回毎回そうやって割り切れるわけじゃない。
自分に余裕が無い時は、やっぱり心からムカつくし今世でも来世でも報われない不条理なこと、
諦めて今世で、とりあえず精算しとくべき事もあるっぽい。

でもわしは本当に生産性の無いマイナスな感情に
支配されるのが嫌だし、
物は受け取りようなので、ギリのギリまで自分の
マインドをどうにか転換して、多少無理してでも
受け止めよう、理解しようとしがち。

だから私は、父親の暴君具合が頭おかしいと思いつつ、頭おかしい人にも真摯に向き合えばいつか報われると信じて25年間、
健気に父親と向き合ってきてたんやけど、
前に書いた通り国家権力を使って
家出を決行したわけですよ。

わしの決意が固まったのは深夜の2時ごろ、
目的地は当時付き合ってた彼氏の家。

距離にして約20キロ。

頭の中ぐちゃぐちゃで、
とにかくその時は1秒でも早く、
家族の存在から物理的距離を取りたかった。

そうでもしないと、お母さんや妹の事まで
嫌いになりそうなくらい余裕なかったから。

警察署で事情聴取終わった後、お母さんに
最寄りの駅まで送ってもらったけど、
当然電車なんて走ってない時間。

始発まで待つかな〜とぼんやりしてたら
駅のロータリーに1台のタクシーが走ってきたので
何の迷いもなく飛び乗った。

きっと、私の前世は相当日頃の行いが
悪かったんやろう。

タクシーの引きが悪すぎて、我ながら感心した。

わしはあまり目的もゴールもない暇つぶしのための会話というのが得意じゃないし、無駄に思えるので、相当機嫌が良い時じゃないとタクシーの運転手さんと話すことはない。

しかも、たまの機嫌が良い時に話しても、言うてまだ若い女性って事で大体タメ口聞かれておっさんに舐められて、ただ嫌な思いする事の方が多い。

ただその日は気が動転してた。

色んな感情や迷いが一気に押し寄せてきて
どうにか頭の中を整理して落ち着きたかった。

会話のきっかけは、私が持ってた荷物の量と
その中にあった津軽三味線のケース。
それみて運転手のおいちゃんが、
「何か楽器弾いてるんですか?」て聞いてきた。

その時は特に嫌な感じもしなかったし
とにかく気を紛らすために世間話でもしようと思って「津軽三味線弾いてるんですよ〜」て返した。

そしたら偶然にも目的地である元彼の家の周りは
ライブハウスが多かったのもあり、
運ちゃんは私が飲み屋やライブハウスを営業で
回ってると思ったらしく、それでこんな時間にその荷物の量でタクシーに乗ってきたの?と聞かれた。

ここで私は、
そうですって適当に会話を合わせて終わらせるか、
今自分の身に起こった事を話すか一瞬悩んだ。

いきなり実家を夜逃げのような形で出てきた罪悪感があったので、誰かに事の経緯を話して、あなたのした事は間違ってないよ、辛かったね、頑張ったね、大丈夫だよって言って欲しかった。

やっぱ人間はメンタルの調子が良くない時って
判断を誤まるな。

だから正直に家出してきた事を運ちゃんに
話してしまった。

わしはこのタクシーの中での会話に目的もゴールも答えも何も求めてなかった。
変に心配されるのも嫌だった。
だから、最初にちゃんと、
「まぁまぁぶっ飛んだ話なんですけど、
暇つぶしに聞いてもらってもいいですか?
聞いてくれるだけでいいです!」
と前置きも置いた上で、
「父親のDVがやばくて今まで耐えてきたけど、限界が来たから警察沙汰にして家出してる途中っす!
すいません、こんな夜中に20キロもかっ飛ばしてもろて!タクシー捕まって助かりました!」って
簡単に話した。

そして、私は完全に地雷を踏んだ。

「あ〜(微笑)
そ〜ゆ〜のどうしたらいいか、お嬢ちゃんわかる〜?」と返ってきた。

わし「???
(わかんねぇよ、わかったら苦労しねぇよ。
そもそもわかんねぇから今このタクシー乗ってんだよ)」

なんか嫌な予感がしたので、黙ってたら、
運ちゃんは自信満々の顔で、

「暴力には暴力で返せばいいとよ(全力ドヤ顔)」
って言ってきた〜!!!!!!

「あ、もう大丈夫です。
ここでおろしてください😇」
って言おうか結構真面目に悩んだ。
けど、新しくタクシー拾って
また乗ってがダルすぎて我慢して、
その後の運ちゃんの会話は全部無視した。

もう黙って欲しかったので、
結構わかりやすくイヤホンを取り出し
バックミラーに写るように、
パントマイムでもしだしたのかくらいの動きで
耳に装着して、わしは必死にこれ以上聞く気がない事をアピった。

しかしそんな事を言える運ちゃんである、強い。

わしが一言も相槌を返してないのに、
大嫌いなおじさん武勇伝タイムが始まった。

「俺も若い時はね〜いっぱい殴り合いしたんよ〜
手を上げてくるやつにはね〜同じことせんとわからんけんね〜殴り返せばいいんよ〜簡単なことよ〜」

って、知らねー!!
いつの話だよそれ!!

おっさんが若い時に殴り合いしたからって
父親の暴力に暴力で返していいわけねぇだろ!

てか、見ろ!わしを!!!
親からのあだ名「ナナフシ」だった女だぞ!
どっからどう見ても成人男性に
暴力で立ち向かえる人種じゃないことくらいわかるやろ!!
暴力に暴力で返して問題が解決するなら
この世に争いなんて生まれねぇんだよ!
おっさん、人生何年目だよ!アホか!

と、思いながら黙ってBluetooth接続してた。

しかし、んー、
バックミラーくもってたのかなぁ…
その後も同じような話を続けてたんだよなぁ。

しかも恍惚とした、面白いくらい自信満々に気持ちよさそうな顔してた。

あぁ、こりゃダメだ🤷🏻‍♀️と思って
わしは最後の切り札である友達に"電話をかける"を
発動した。

友達との第一声に運ちゃんがノリノリで
返した時は相当面白かった、無視したけど。

ここでやっと、くもってたバックミラーもなおったんか、運ちゃんの顔から覇気が消えていき大人しくなった。

鬼のように父親からくるラインと電話の通知の合間を縫って友達と電話を繋ぐことに成功したわしは、
なんとかメンタルを取り戻し、タクシーを降りる頃にはだいぶ頭の中の整理もつけることができた🙆🏻‍♀️

けど、運ちゃんは更に強かった。
「若い時よくこの辺遊びきてね〜、この辺でも良く喧嘩したりしてたんよ〜、いや懐かしいね〜」と
最後の最後のギリのギリまで、
己の武勇伝を語り通す事を諦めんかった。

しかもメーターもギリのギリの
ギリッッッギリまでONにしてくれた😌

運ちゃんの言う"暴力には暴力を"がまかり通るなら
わしはお前に金払いたくねぇと思ったよ。

けど、世の中は因果応報、
納得いかないムカつくことに感情のまま対抗して
同じ土俵に立つのはダサすぎる。

「こんな夜中に遠くまでありがとうございます。帰り気をつけてください。助かりました。」って伝えて降りた。

まじで来世は何の不自由もない
ウルトラ可愛いお姫様じゃないと割に合わん。

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