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本を作るために書く文章。

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本を作るために書く文章。(3)

 ぼくが住むこの町には、本屋がない。いや、実はこのあいだ、普段は歩かない地域の路地裏を歩いていたら、本を売っている商店は見つけた。日用品を売っているスペースの片隅に、古書じゃないかと見まごうようなデザインの、昭和感ある新刊雑誌が申し訳程度に並べられていた。きっと買うのは、近所の常連さん。品揃えからして、おばあちゃん。本は扱っているが、本屋ではない。
 わが町にはかつて、地域の大型書店が1軒だけあっ

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本を作るために書く文章。(2)

本を作るために書く文章。(2)

 本は、何冊か作ったことがある。コピー機でコピーして、折って、束ねて、ホッチキスで止めるだけの本。
 子供の頃は漫画を描いていた。だから、漫画同人誌を作った。しかし、ストーリー漫画を描き上げるだけのモチベーションはなかったので、イラストと文章だけで絵物語を描いた。内容はもう、おぼろげにしか思い出せない。クローゼットの奥を探せばどこかにあるはずだけど、億劫なのでそれはしない。
 物語はこんなふうだ。

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本を作るために書く文章。(1)

本を作るために書く文章。(1)

 本を書きたいと思った。自分の人生について、本に書きたいと。書きたいことなら山のようにある。しかし、山のようにあるからこそ、どこから書きはじめればいいのかわからない。何度も書きだしては、やめる。それをくり返していた。
 他人から見たら、特異な人生だろう。自分でもそう思う。しかし、誰がそれを知りたいと思うだろう。そんなことを考えはじめたらもう、一行も書けない。それでまた、書かないまま、時間だけが過ぎ

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