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今月の1冊~2021.05

5月。青葉とひかりの季節。キラキラと心地よい風。若葉きれいなこの月。そしてわたしの誕生月。誕生日の前の数週間はソワソワする出来事がおこって、案外笑顔でいるのが難しいというのが迷信?のようにあるのですが今年も間違いなくそれでした。生き方を問われる5月。そんな中だったので小説多めになるべく現実とは違う世界に浸ろうと思ってたのですが、結局人生についてをなぞるものに出会うべくして出会いました。

読む本は数あれ、ぐっとくる1冊にはそんなに簡単に出会えない。
そんな中でも毎月1冊もしあれば2冊、自分のなかでこれは・・と思ったものの感想を書いていこうと思います。
本の要約ではないと思うので気になる方は是非ご自身で読んでください!

今月は
ウィステリアと三人の女たち 川上未映子  

いろいろなバックグラウンドをもつ4人の女性の物語たち。いろいろな過去をひきずったり、飛び越えたり、受け入れてなかったり。それぞれが生きづらさを感じていて、でもそれをなにかこう抱きかかえながら生きていく、そんな感じです。無理に抗うでもなく、蓋をするわけでもなく、でも決して離れることはできないから、まさに抱きかかえている、というコトバが私にはしっくりきました。そしてこの抱きかかえて生きていくというのが、もちかしたら、そうするしかなかったのかもしれないですが、潔くて、切なくて、ちょっとだけいいなと思って、人間というものにかすかに失望して、でもやっぱり生きているというのは奇跡なのだなと思いました。

生きづらさって、全く感じない人ってこの世の中にいるのでしょうか。総じて幸せ!ということはあると思うのですが、でも人生のどこかで、これは・・・とおもう瞬間はあるんじゃないかなと。そしてその時にどう動くかって色々あると思います。なかったことにするも良し、なにか違うパワーで押し込めるとか、泣き寝入りするとか、改めるとか、努力するとかそれこそ十人十色で対応はあるとおもいます。でもその中で、そっとしておくというのが一番むずかしいんじゃないかなと。反射神経的に、動くのって、案外簡単だと思うのですが、何もしないというのは逆に大変だろうなと思っています。受け入れて、現状がかわるように何か行動を起こすのであれば、それは動くために受け入れるということをしているので、そっとではないし、少なくとも「今ここ」を変えようとしているので瞬間的に立ち止まったとしてもやはりそれは動いていることになるなと思います。このそっとって何もかもがあるままにしておくということなんだろうと私はおもっていて。ほんとうにそのまま。転んでもそのまま、血が流れてしまってもそのまま、もしかしたらすぐに血は止まるかもしれないし、なかなか止まらないかもしれない、それでもそのまま。この時の気持ちって、自分になぞらえると、やりたくても出来ない気がします。少なくとも、転んだら痛いし、どうしていいかわからなかったら声くらいあげるような気がするんです。でもそれもしない。やっぱり考えれば考えるほど奇妙とも捉えられるなと。だからこの4人の女性、とても奇妙にみえるんですよね。普通じゃない。感情をどこかに置き去りにしてしまったのかもしれないです。

マインドフルネスは、あるがままの状態を理解し、受け入れるところから始まると思いますが、これってあくまでもマインドフルネスとして自分に向きあう時間だから出来ると思うんです。少なくともわたしにはその、あるがままを24時間というのはできないです。色んな人の声にいちいち反応して、泣いたり笑ったり。時には失望もして、でも嬉しくて。そんな色とりどりの世界をモノクロームにしてしまうことって難しいなと。キツイ時には時としてモノクロームにして、ほんとうに大切なことだけに光をあてて色を戻していくことはありますが、ずっとモノクロームにはできないです。やっぱ受け入れた先がほしくなる、そんな感じです。人間欲深いですね。。。

でもこの本の4人、やっぱりずっとモノクロームじゃないんですよね。ある日、素敵な色が舞い込んできたりしていて。好きな色ができるまで待っていたわけではないのでしょうけれど、そのくらいゆったりと構えても、バタバタ走り回っても、一筋のひかりはきっとあらわれる。
そう思えることができて、バタバタの5月を乗り切れて、私もすこしだけ成長したなと感じたのでした。この先も色々ありそうですが、なんかこうちょっとだけ流れに身を任せてみようとおもえました。

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