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高校生が挑む空き家活用と地域課題  ~STEAM教育と空き家活用~

最近、高校生や大学生、中には中学生からの空き家問題や空き家対策に関する取材や質問などを頂くことが増えてきました。
地域の未来のこと、日本の未来のことを考えると本当にうれしいことです。
先日も空き家管理士協会の公式LINEに質問をいただきました。
今回のnoteはその内容に関連した内容を書きたいと思います。

皆さんは、自分の住む地域に増えつつある空き家について考えたことがありますか?また、最近注目を集めているSTEAM教育という言葉を耳にしたことはありますか?
今回は、この2つの一見関係のなさそうな要素を組み合わせることで、高校生の皆さんにとって新しい学びの可能性が広がることをお伝えします。

STEAM教育とは何か

1.1   STEAM教育の基本概念
STEAM教育とは、「科学(Science)」「技術(Technology)」「工学(Engineering)」「芸術・リベラルアーツ(Art)」「数学(Mathematics)」の5つの分野を統合的に学ぶ教育のことです。

文部科学省は「STEM(Science、Technology、Engineering、mathematics)」に加え、芸術、文化、生活、経済、法律、政治、倫理などを含めた広い範囲で「A(Arts)」を定義し、学んだことを実社会での問題発見や解決に生かしていくための教科等横断的な学習を推進しています。
これらの分野を横断的に学ぶことで、創造性と問題解決能力を養うことを目指しています。

海外ではSTEAM教育を国策として位置づけ、積極的に取り組んでいる国もあるんです。
STEAM教育発祥の地であるアメリカでも、さまざまなSTEAM教育の試みがなされています。
例えば、カリフォルニア州にある公立の高等学校「ハイテックハイ」では、基本的に子どもたちが自分たちでテーマを考え、プロジェクトを進める、独自の課題解決型学習が展開されています。
決まった教科書や定期テストはなく、チームを組んでプロジェクトを動かしながら自分たちで考え、実現する力を育んでいます。
日本でも高校1年生から取り組む「総合的な探究学習」はこういった教育の一環だと思います。

1.2 従来の教育との違い
従来の教育では、各科目を個別に学ぶことが多かったですが、STEAM教育では実社会の課題に即した形で複数の分野を統合的に学びます。
これにより、これから必要となる、知識の応用力や創造的思考力が育成されます。

地域の空き家問題

2.1 空き家増加の背景
日本各地で空き家が増加している背景には、少子高齢化や人口減少・都市部への人口集中があります。特に地方では、若者の流出により空き家が目立つようになっています。

2.2 空き家活用の重要性
空き家の放置は、防犯や衛生面、景観の面で地域に悪影響を与える可能性があります。
一方で、これらを有効活用することで、地域の活性化につながる可能性を秘めています。

STEAM教育と空き家活用の事例

3.1 兵庫県立加古川東高校の取組
兵庫県立加古川東高校は、2020年にSTEAM教育を導入し、挑戦心や批判的思考力を育む「心のエンジン駆動プログラム」を展開。
特に「地域デザイン講座」では、生徒たちが地域課題をデータ分析と住民の声を基に解決策を提案し、加古川市に政策提言を行っています。
注目する部分は、「地域創生とデータサイエンスを組み合わせる」ところです。
高校生が地域課題に取り組むとなると、どうしても夢見がちというか、根拠に乏しい提案になりがちです。そこで、内閣府が提供するRESAS(リーサス:地域経済分析システム)を活用して、データに基づいた課題発見や解決策の検討を行い、関係者にインタビューして生の声を集めれば、定量データと定性データを組み合わせた提案ができるという考え。それはSTEAM教育の目標にもみごとに合致します。

NECとの共創プロジェクト「放課後プロフェッショナル」では、生徒の提案に対し、NEC社員が助言し、約2カ月間オンラインで協力。生徒たちは「空き家解消」「観光活性化」「地場産業PR」というテーマで探究活動を行い、空き家問題や観光の活性化、加古川産の靴下のブランド化に取り組んでいます。

https://wisdom.nec.com/ja/feature/smartcity/2022052501/index.html

この加古川東高校の事例は、若年層を対象にした「産学官」の共創がいかに大きなポテンシャルを秘めているかを、全国に知らしめることとなりました。

3.2 島根県出雲市平田高校の「すずかけ荘」
島根県出雲市では、平田高校の生徒たちが地域住民と協力して、空き家をフリースペース「すずかけ荘」として活用するプロジェクトを立ち上げました。
このプロジェクトでは、クラウドファンディングを通じて資金を集め、シェアハウスやオープンスペースとして空き家を再利用しています
平田地域には572件もの空き家があります。そして、その半数以上がすぐに住めると判断できる状態=街の資源になり得る場所です。
これらの空き家をこのまま放置すれば、老朽化が進み、人が寄りつかなくなり、危険を伴う、そんな集落や町並みになってしまいます。

逆に空き家に少し手をいれて、新しく人が集まる場所や、お店、新居などに活用出来れば、新築よりも低い初期コストで新しい事がはじめられるようになるメリットがあります。若い人が移り住んだり、新しいお店に人が行き来をしたりする事が可能になるのです。

高校生たちはまず初めに平田の町の様々な課題について、いろいろな方から話を聞きました。実際に町を歩いている時にもあまり活気が感じられません。

そこで、平田の課題の1つに挙がっている空き家を高校生ならではの発想で再生していきたいと考えました。
その中で「DIYをしたい!」という意見があったので、空き家で使用する机や椅子を塗装したり、組み立てたりしました。
こちらで注目するところは、高校生が単なる発想を出し合うだけでなく実際にDIYで体を動かしたり、クラウドファンディングでお金を集めたところです。

高校生にとってのメリット

4.1 実践的なスキル習得
空き家を活用したSTEAM教育に参加することで、高校生の皆さんは実践的なスキルを実際に体験することができます。
例えば、今回紹介した中でもでてきたRESAS やクラウドファンディング、3Dプリンター、プログラミングやAIなどの最新技術に触れる機会が得られます。
4.2 地域との関わりとシビックプライドの育成
地域の空き家を活用することで、地域の方々との交流が生まれます。
これにより、コミュニケーション能力や社会性が育成され、将来の進路選択にも役立つ経験となります。
また、地域課題の解決に高校生が参画することで、シビックプライドの育成につながり、人口の都市部への集中や少子高齢化の改善につながるとも考えられます。

まずは実践に向けての第一歩


STEAM教育と空き家活用に興味を持った皆さん、まずは身近なところから始めてみましょう。
地域の空き家の状況を調べたり、学校の先生や地域の方々に相談したりすることから、新しい学びの場づくりが始まります。

STEAM教育と空き家活用の組み合わせは、高校生の皆さんに新たな学びの機会を提供するだけでなく、地域の課題解決にも貢献する可能性を秘めています。
このnoteを読んで興味を持ったあなた、ぜひ周りの人とこの話題について話し合ってみてください。
あなたの行動が、地域と自分自身の未来を変える第一歩となるかもしれません。

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