空き家バンクを運営している自治体の方とお話すると同じような悩みがあることに気づきます。
空き家はどんどん増えているのに、空き家バンクへの登録物件が増えないということ、また、すぐに使える物件が少ないということです。
以下の記事に書かれているように、自治体が「空き家バンク」に登録された物件の状態を平時から確認する作業を、適正な管理にまで広げると登録物件の増加と災害時の流用がスムーズに行えると思います。
以前、空き家管理士協会のメルマガで以下の記事を書きました。
みなさんもご存じのとおり、日本は自然災害頻発国です。毎年のように大型台風や集中豪雨などの自然災害が発生しています。
1 震災などの災害時の空き家活用
そんな中、被災者が生活を営むことになる「避難所」について、テレビなどで避難所の光景も何度も目にしてきましたが、いまだに体育館や公民館で雑魚寝という避難所が多いのが実情です。
2016年の熊本地震では、災害そのもので亡くなる直接死よりも、その後の避難生活の環境悪化などを理由とした関連死の方がはるかに多く、直接死の4倍程度にものぼったといわれます。
地震の後で体調を崩すなどして死亡に至った「震災関連死」のうち45%にあたる95人が避難所生活や車中泊を経験していたといい、それが今度はエコノミークラス症候群などの新たな問題につながっているといえます。
空き家管理士協会ではこのような現状を少しでも改善するべく、社会実験を行いたいと考えました。
まずは、自分の所有している空き家・留守宅などを避難所に使ってもいいよ、という方の数や地域などの調査を行いました。
この調査はネット使ったリリースのみで、ある意味、興味のある人にしか届きませんでした。
結果は自治体や、マスコミ関係からの問い合わせはありましたが、自ら進んで手を挙げてくれた方は5人でした。
リアルでこちらから空き家の所有者の方に、「こういった(避難所のような)使い方をしたいのですが」とお話すると、ほとんどの方は「それならいいですよ、使いたい時は言って下さい」といってくれるのですが、中には「家財道具が置きっぱなしだから…」といって断られるケースもありました。
空き家で不用品とされているものでも災害時には体を温めたり、飲み物を分けて飲むための器となります。
神奈川県のある自治会の会長さんからは、「役所が指定しているいまの避難所の広さでは自分の自治会のみんなを避難させることができない。ぜひ自治会内にたくさんある空き家を使ってこういった場所にしたいのです」、との相談もうけました。
こちらの自治会では、空き家を所有者されている方の理解も得て、行政や地元議員さんを巻き込みながら一歩ずつ進んでいってます。
高齢化がすすみ、お年寄りが多くなると避難場所までの移動がかなりの負担になります。
自治会内の近所にいくつか避難場所があると、急な災害にも慌てず安心して避難することができます。
これには当然、建物自体の強度や、通常時の維持管理やランニングコストなど、クリアしないといけないいろんな問題もありますが、今ある空き家バンクとうまく組み合わせることで新しい未来が見えてくると思います。
空き家管理士協会では、今後もこのような社会実験を実施していきたいと思いますので、お目にかかったときにはぜひ目を通していただき、できればご協力いただけると幸いです。
また、同じメルマガで以下の記事も紹介しました。
2 「民泊新法」見直しによりゲストハウスは戻ってくるか