見出し画像

空き家所有者を探せ!

所有者不明空き家の持ち主を探すために,まず協力者を探すということを2回にわたって取り上げて来ました。

上記の記事に書きました、これまでの流れを把握していただかないと、これからの内容についていくのが難しくなるかもしれませんので、目を通していただくことをおススメします。

では、いよいよ法律上の権利を使って,本格的な調査の方法をご説明したいと思います。


まず登記簿を取ってみる

ここでようやく「登記簿」の取得です。
最寄りの法務局に行けば、他県のものでも取得できます。

ただし、古いもの(閉鎖謄本等)は、その物件のある区域を管轄する法務局でないと取得できません。
でも、今回は現時点で一番新しい情報ですので、どこの法務局でも大丈夫です。

1通600円です。土地と建物は別になりますので、土地1筆分の上に建物が建っているのであれば各1通ですので1200円になります。(法務局で印紙を買って払います)

出典:法務省ウェブサイト https://www.moj.go.jp/content/001309856.pdf


本当はサンプルに「建物」を使いたかったですので、説明しやすいさを考えて「土地」にしました。
ご了承ください。

次に、確認ポイントです。

①「甲区」の一番最後の欄にある日付をチェックします。
 もし日付がかなり昔のものだと、後でご説明しますが、所有者を追跡する
 ための書類が廃棄されている可能性があります。
 そこに出ている名前の方は、すでに亡くなっているかもしれません。

②同じ欄にある所有者の住所をチェックします。
 その物件の住所であれば完全な空き家ですが、異なる場所であれば,そこ 
 にアプローチしてみる価値はあるかもしれません。

③「乙区」にどんな権利が付着しているかをチェックします。
 抵当権がある場合、仮にその空き家を手に入れることができたとしても、
 借金も一緒についてくることもあり得ます。
 ただ、返済は完了しているのにそれを抹消するための登記手続きを忘れ
 た、というのが時折あります。


職務請求ってご存じですか?

登記簿を見て、「この物件なら大丈夫だろう」という見立てができたとしましょう。
次は、登記簿に載っている所有者をどうやって探すかです。
そのためのカギが「職務請求」です。

「職務請求」とは、国家資格を有する法律専門職に、一定の法律要件にかなう場合にのみ、対象者の戸籍や住民票を、該当する市町村に請求して交付してもらう制度のことです。

これは、弁護士、司法書士、行政書士、土地家屋調査士などに付与されているものです。

とはいえ、これは個人情報の中でもかなり秘匿性の高いものですので、そう簡単に市役所の窓口の人に「見せてください」とはお願いできません。

きちんとした法的な根拠が必要です。
それが、冒頭でご紹介した、以前のNOTEでご説明した「損害賠償請求権」です。
そして、それを主張する権利があるのが、空き家のお隣に住んでいる人になります。

隣の人にしてみれば、家を放置されていることによって、様々な損害を被っており、それを何とかしてほしいと感じるのではないでしょうか?
・草木が伸び放題なので切ってほしい
・建物の壁や屋根が剥がれ落ちそうなので、補修してほしい
・敷地にゴミが散乱しているので、片付けてほしい
・虫や動物の巣になっているので、処置してほしい
・もう利用するつもりがないのなら、景観が悪くなるので更地にしてほしい

その意思を伝える権利の根拠が「損害賠償請求権」になるというわけです。

とはいえ、『その解釈って、空き家探偵団さんの勝手なこじつけじゃないの? そんなことやって本当に大丈夫なの』と思われるかもしれません。
特に、士業者の方なら、なおさらそう感じることはお察しできます。

次回は、そのあたりの詳しい説明をしたいと思います。
それにより、空き家を利活用したいあなた・空き家のお隣の方・職務請求ができる士業者とのコラボにより、調査のスピードを早めることができます。