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自己ベスト更新とは別に、アップデートできたこと。〜富山マラソンを走り終えて〜

2018年10月28日、人生で5回目のフルマラソンを富山で走ってきた。

4時間20分25秒

今回もサブ4を達成することはできなかったが、自己ベストを9分縮めてゴールすることができた。しかし、最低限の目標達成以上に嬉しかったことがある。
それは、過去の自分を超えられたことだ。

これは、7月の合宿で定めた会社のテーマ。合宿の冒頭に、自分の今まで一番嬉しかった経験を話し、それを超える体験をこの半年で生み出そうと皆で約束をした。
このテーマが決まったとき、僕は個人的な目標を1つ設定していた。

10月の富山マラソンでサブ4達成

この目標を胸に、富山マラソンのスタートラインを切った。
中間点までは順調に進んだものの、25km過ぎから少しペースが落ち始める。エイドステーションで補給しながら早歩き。しかしペースは戻らない。そうこうしているうちに、27km過ぎで前にいると思いこんでいた人に拾われた。大森さんだった。
しばらくの間Runtrip viaで『ログの共有会』をやるかのごとく、ここまでの道のりをシェアしながら進む。さっきまでの辛い感覚が噓のようで、「やっぱり自分は誰かと走るのが好きだな~」と、改めて実感した瞬間だった。この調子でどこまでも進んでいけそうな気がしていたが、フルマラソンはそう甘くない。

30km地点を目前にして、口数が減る…
ペースもさらに落ち始める……
静かに大森さんの後ろにつく………

ちょっと弱気になっていた僕の気持ちを見透かしたかのように、元箱根ランナーでもある大森さんは僕の横について、こう言った。

「あっきー、ここからだよ。超えていこう。」

7月に皆で決めたテーマを思い出させてくれる一言だった。(きっと大森さんは無意識だったに違いない)

ここから、本当の”自分との闘い”が始まる。
多くを語らず、僕の前や横で走ってくれる大森さん。
その背中や息づかいを感じながら走る、弱い自分。

「行けるとこまで大森さんについていく」
「離れても背中が見える位置で追いかける」
「背中が見えなくなっても足を止めない」

そう心に決めて、とにかく必死で走り続けた。
33km手前で完全に大森さんから離れてしまったが、私設エイドのコーラを流し込む「脚を残してゴールするなよー!」とゲキを飛ばすおじさんに背中を押される。

このマラソンをなんとかして成功体験にしたい。
ここで負けたら、ランニングも仕事も冴えない奴で終わる。

どこから湧いてくるのかわからない克己心をエネルギーにして、4時間30分のペーサーに食らいついた。

38km手前でぺーサー率いる集団から離されたものの、手元の時計に目をやると、4時間10分台でのゴールが見えてきていた。

「このままいけば、大森さんの背中も見えてくるかも」

攣りかけの内ももをたたいて、ギアをもう一段上げた。
ゴール会場となっている富岩運河環水公園に入ったところで、先にゴールしている2人の姿をとらえる。(マサイ族並みの視力でよかった!)

「笑顔でゴールしよう」

そう心に決めた2秒後に、2人の言葉でその目標は未達に終わった。

「あっきー、あと200m!大森さんがゴールの前で待ってるよ!!」

泣けてきた。笑ってゴールしようって決めていたのに、涙が止まらない。

とっくにゴールしているはずの大森さんが、最後のカーブ手前にいた。涙はあふれる一方である。
大森さんと並走しながら、嬉しさ70%・悔しさ30%の涙を流しながら、フィニッシュラインを駆け抜けた。

弱い自分に、
甘ったれな自分に、
勝った瞬間だった。

凄く嬉しくて、心は笑っていたのだけれど、涙が止まらなかった。

マラソンの面白さとは

普段はRuntrip viaのディレクターとして、Runtripのエバンジェリストとして、速さや距離といったあらゆる数字にとらわれない自由なランニングを広めている。(もちろん、アスリート並みに鍛錬を重ねているランナーには敬意を持っている)
しかし、今回の富山マラソンで、数字にこだわり、記録にこだわって走ることの良さを痛感した。

自分と向き合い、自分を高めるランニングがあることで、freedomなランニングがより楽しくなるのだということを、身をもって体験した。

「あっきー、ここからだよ。超えていこう。」

大森さんから声をかけてもらったあの瞬間、たぶん一生忘れない。

今回一緒に走ったメンバーとの思い出の写真。(本当はもう1人いる)
全員で完走できたこともすごく嬉しかった。

富山は僕の、アナザースカイ。

これだからフルマラソンは、面白くてやめられない。

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