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詩、誌、氏

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詩だ、と言い切れない。でもたしかに私の書いたもの。 短くて、要領は得ない文章のかたまりなのだと思う。 でも書きたくなるから、こうして出してしまう。
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2022年6月の記事一覧

物語る刀は、白く(詩)

ああ 小説が書きたい 胸が小さく握りこまれる この苦しさは 神様はいない わたしの神様は こ…

とし総子
2年前
7

とりこ(詩)

夜の香りに傷付く うす闇の襞が返る 白い星が かくれたと思えば 強く 光る 静かな飛び石を …

とし総子
2年前
7

背中合わせ(詩)

夜に 飽いた 夜に 空いた 夜に 咲いた 夜に 割いた 心に 閉じた ドアの向こう 都合のい…

とし総子
2年前
6

灰を濡らす雨(詩)

声を上げて降り出した雨に 追われる背中 こんなにも寂しいというのに 少しも言う通りにはしな…

とし総子
2年前
7

日付をとりのぞくこと(詩)

日付けが入り乱れ 取り違えさせては 可笑しそうに笑う 楽しそうだなぁ透明 私たちが 枯れた…

とし総子
2年前
7

くろい火(詩)

逆巻く癖がついて あの樹の天辺が 怒りで揺れる あんたがた あんたがた 音が両足を掴んで鳴ら…

とし総子
2年前
6

いと となる(詩)

遠くに行くことが 愛だ だから 私は 全くの別のものにうつるほど 遠くまで行こう 何度 死の小石につまづいても 足裏が削られ 風に留められ 水に飲み込まれてしまっても 月まで行こう それさえ越えよう 遠く 遠く 誰の手の平も触れ合わせていない 暗いところへと進もう やがて 目をとじて 本物の闇が心に届いたら 精一杯の あらゆる意味をつないだ あの日へと叫ぶ

とりの足(詩)

道が割けていく その音が 風にぶつかって 粉々に砕かれる 青い空が ゆっくりと積み上げられて…

とし総子
2年前
7

知る人(詩)

わたしが幸せになることで あなたを失ったことが 失われることはない わたしが両手で捧げる …

とし総子
2年前
10

くつあと(詩)

かなしみの中の かなしいが 泣きむせぶ 立ち上がらねば 立ちふさがなければと くるしみの中の…

とし総子
2年前
7

かたをだく(詩)

かえすがえす このとまどいが どこまでもつづいて そのつど 私は頭を打ち あちらこちらを まき…

とし総子
2年前
3

いちのこえ(詩)

いのりには色が とびこんでくる すべが 白によせられ そして 黒のうちがわで身を結び どこま…

とし総子
2年前
5

あなたの森 (詩)

あなたの瞳の奥には 森がある その森は あなたの真珠の声に守られて おだやかな小川や うつく…

とし総子
2年前
8

ここを みて (詩)

足りないものは何なのか 眉にできたふきでもの かわいた喉 走ることもないまま 終わる今日 考えて 考えて 手の中から 落ちていくものに 気付く 好まずは 先送り 今ここで 手に触れるのは