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物語る刀は、白く(詩)

ああ 小説が書きたい
胸が小さく握りこまれる
この苦しさは

神様はいない
わたしの神様は
この目の前でうつりかわり
見つめ合うその影に
ゆらりと笑う
ゆったりと黒い
わたしの神様しかいない

ああ 物語
どうかわたしを置いていかないで
この耳に大声を注いで
ここに おいていかないで
苦痛の最中にも 手をつないでいて
たった一言が 物語を殺す
その小さな急所を
分かっていたいの

私の心臓を知り尽くし
私の痛みを好きにする
神様
わたしは その他大勢の中の
あなたの信仰者です
そしてその喉元をひたと撫でる
わたしは わたしの
ひとつだけの刃なのです

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