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詩、誌、氏

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詩だ、と言い切れない。でもたしかに私の書いたもの。 短くて、要領は得ない文章のかたまりなのだと思う。 でも書きたくなるから、こうして出してしまう。
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記事一覧

「海」(詩)

海を前にすると 私は海につくりかえられる 波は私を過ぎ 白い波の花は遠く背中の月に 耳から入…

とし総子
7時間前
8

「海の向こうの車窓」(詩)

電車に乗って 窓に張り付いて 海を見ていた ゆっくりと建物に隔てられていく波 時折 きらりと…

とし総子
7時間前
8

「折れるもの」(詩)

折れていくものがある 無数に それはまだ使える長さかもしれず 幾度も折った 指先のさきほど…

とし総子
1日前
9

「わたしのペン」(詩)

ペンも紙も選ばずに 土に指でも書いてやろう と、覚悟をしているけれど どうだろう このお気…

とし総子
3日前
7

「クリーム」(詩)

分かろうとして分かったこと どれほど分かったというの 言えるその口の端 舐めきれなかったク…

とし総子
4日前
8

「紫煙」(詩)

トカレフ かっこいい銃ね 私のこめかみが強請ってしまう カトレア なんて可愛い花なの 耳に挿…

とし総子
5日前
4

「水面に立つ玉」(詩)

あなたと向き合う水面 あなたは下に黙り 笑う わたしは上で藻掻き 水滴を零す たった一面の うすい水の膜のようなこれに どれほどの時空は重なっているのか あなたはかわらない目で微笑む 黒い水晶をはめそうになる思い出を やさしく正す あなたを見ていたい あなたのそばにいたい それは相反して私を暴れ泣かせる 静かに見つめることさえできれば おそらく心は添うのに そう呟いてみても 結局私は 水面に崩された水玉をつくる 水滴があなたを濡らすのも構えずに

「流れる去る血」(詩)

わたしのどこかから 血が流れ続けている気がする それは見えないと言い張って 体の不調に隠し…

とし総子
6日前
5

「この雨も」(詩)

さぁ どうぞ 嫌いだったら、どうしよう されでもうつくしかったなら さぁさぁどうぞ ここ…

とし総子
6日前
6

「白い机」(詩)

雨漏りがしてきたらいいな と思った 息を整える箱の中だと 外はざあざあ あーせいせい この…

とし総子
9日前
8

「知ること」(詩)

知らなかったの あなた 弱っちくて あなた やわらかくて あなた すぐ赤くなる 知っていた…

とし総子
10日前
9

「ゆれる」(詩)

ゆらゆらゆれる ゆうらり語る ゆらゆらゆれて ゆうらり舌を出し ゆらゆらゆれた ゆれをまわり…

とし総子
11日前
9

「花色のハンカチ」(詩)

黒い生キモノが好きだ 烏 黒馬 真っ黒なデビルまで 黒猫が死んでいた 小さな頭はへたりと空気…

とし総子
12日前
6

「はな」(詩)

燃え盛るのならば 咲きなさい 深く 深く その黒く焦げていく先から 落とす細胞の死を払って 咲きなさい 必死のちからで どうぞまさに 燃え上がる いいや燃え上がらなくてはいけない花よ 咲き続けなさい ただひとつ ただ旅の最中を 真っ直ぐに