ごてんまりは花の代わりになれるか?
こんにちは。秋田県由利本荘市でごてんまりを作っています〈ゆりてまり〉です。
ごてんまりは花の代わりになるだろうか?
そのことをずっと考えていました。
なぜそんなことをずっと考えていたのかというと、わたしはごてんまりを使って着物に合うような豪華な髪飾りを作りたいと考えています。
着物に合わせるかんざしは、たいていお花の形をしていますよね。
だからごてんまりのかんざしを作る上で、「ごてんまりは花の代わりになるか?」という疑問は避けて通れないと思ったんです。
結論から言うと、ごてんまりは花の代わりにはなれません。
先日つまみ細工作家の方につまみ細工を教えていただいたとき、ごてんまりとお花の違いが大変よく分かりました。
お花は薄くて柔らかい花びらが重なってできていますが、まりは柔らかさゼロ。
きつく糸で結わえているので、糸で出来ているくせにクッション性がまるでなく、とにかく固いんです。
お花は手の平で押しつぶしたとき、ぱふんと優しく受け止めてくれるような感覚があります。
手の平で加えた圧力に従って、お花のほうが少し変形してくれるんです。
しかしごてんまりはそうではありません。
どれだけ手の平で圧力を加えても、変形するどころか押さえつけている手の方が変形しそうになります。
はっきり言って痛いです。
お花は触っていると癒やしになりますが、まりはどう頑張ってもキツめのマッサージにしかなりません。
固くて丸くて、どんなに押しつぶしても形が崩れない頑固者。
その頑固さがかんざしなどへの加工を難しくしています。
まりにもお花の柄がたくさんあるので、お花の代わりになるかなぁと単純に考えていたのですが、甘かったですね。
つまみ細工は柔らかくて加工がしやすいため、かんざしなど和小物によく使われています。
実際にやってみて気づいたのですが、つまみ細工って本当に柔らかい!
薄くて柔らかい布を折りたたみ、ボンドを付けて土台に貼り付けていくので、本物のお花にそっくりの「ぱふん」とした感覚があります。
そしてものすごく融通がきくんです。
ボンドが完全に乾ききる前であれば、ちょっとここに別のお花を入れたいからちょっとだけこっちに動いてね、と言うと、本当に動くんです!
この「ちょっと動く」体験は、ふだんゴリゴリに固いごてんまりに慣れているわたしにとってめちゃくちゃ新鮮でした。
つまみ細工は加工がしやすいだけでなく、ワイヤーやブローチ台などの金具を布の重なりでふわっと覆い隠すことも容易です。
ごてんまりでもこんなことができたらなぁ…と思うのですが、残念ながらまりはこんなに物分かりの良いヤツではありません。
ちょっと動いてね、と言ったところで「絶対動かない!」というヤツですから。
固くて融通のきかないごてんまりをどうやってかんざしに加工するか。
つまみ細工作家の人に聞いてみたところ、
「やってみるしかないですね」
と言われました。
ですよねー。
だから誰もやってないんですよねー。
誰もやっていないことは、やってみなきゃ分からないんですよね。
挑戦は続きます。
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