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生き物140字小説まとめ③

【No.767 窮屈な仕事】
求職中の僕にぴったりな仕事が見つかる。高層ビルの清掃は危険だけど、その分お給料も高かった。僕の吸盤を使えば落ちる心配もない。さらさらとした墨は汚れを綺麗にしてくれる。大活躍の僕に上司は「やるじゃねーか、このタコ!」と罵声を浴びせてきた。そんな、せっかくがんばってるのに。

【No.778 プラトー】
私の瞳には海が宿っている。目を閉じれば波を打つ音が聞こえて、暗闇の中で深度が増していく。再び目を開けたときは視界に海が広がった。シーラカンス、オウムガイ、アノマロカリス。太古の生命体に想いを馳せる。数億年後の私にも、どうか瞳の海と同じく、おだやかな日々が訪れますように。

【No.779 キネマ猫】
左脚にハートを持ったキネマ猫を購入した。公園のベンチに座って拝むと、台本が頭の中に流れ込む。ふいに知らない女性が「私達が子どものころ、一緒に桜の木の下でタイムカプセルを埋めたよね」と話しかけてきた。もちろん恋愛映画の設定である。キネマ猫は『福』ではなく『役』を招くのだ。

【No.816 概念を被る】
お店で被り物を探す。泥を被せれば私の責任も嫌いな同僚のせいにできたり、灰を被ればシンデレラストーリーを追体験できる。今日はみんなからちやほやされるために被る猫が目的だ。適当に選んで店を出るなり、通行人達が私を見て悲鳴をあげる。被り物を確認すると、猫は猫でも化け猫だった。

【No.829 決着の3歩目】
おいしいのはフライドチキンか卵かけご飯か、ニワトリとヒヨコが揉めていた。飼育小屋の中で決闘になった2匹を大勢のハトが見守る。背中合わせに3歩進んだら、お互いの方を向いて毛弾を飛ばす。「1…2…」ハト達が息を呑む。「3!」勢いよく振り返り、相手の頭を狙って──「?」「?」

【No.836 野生電話】
野生の公衆電話も絶滅危惧種になってしまった。スマホやキャッシュレスの普及に伴い、エサの硬貨やテレフォンカードの減少がきっかけである。今はわずかな公共施設でしか飼われていない。お腹を空かせた公衆電話が鳴き出す。賽銭箱のお金を漁る姿を見ても、携帯を手放す気にはなれなかった。

【No.843 命風船(露天帳簿⑦)】
露天商のお兄さんからバルーンアートキットを購入する。息を吹き込むと人型に膨らんで、代わりに私の四肢が萎んでいく。寄生されたように空気を送り続けると、やがて風船に命が宿った。軋む音が嘲笑う声に聞こえる。薄れゆく意識の中、風船に向かって爪を立てる。破裂音と共に私の、体が──

【No.-063 歩き噂】
網を持った怪しい男性がいた。確か、悪い話ばかり聞く有名人だ。僕に気付いた男性が網を振り回しながら迫ってくる。網が体をすり抜けるとやわらかな風が吹いた。瞬間、男性に対する悪印象が薄れていく。「あれ、どうして」「根も葉もないネットの噂が、一人歩きしてるから捕まえてるんだよ」

【No.-064 CIA】
俺をジッと見つめる猫の姿に心を許してしまう。もう楽になりたい。こいつになら罪を打ち明けてもいいだろう。「俺な、人を殺めてしまったんだ」/猫の目型の映像を睨む。「容疑者がついに口を割りました」諜報員の人工知猫(Cat Intelligence Artificial)は、情報戦において欠かせない存在だ

【No.-073 夏の風物詩】
秘境の森にウォータースライダーができたらしい。頂上から竹で作られたすべり台に乗り込む。小鳥のさえずり。やわらかな日差し。冷涼とした風。水に流されていると心が洗われていく。ふいに、空から二本の棒が迫って体を挟んだ。大きな口が、僕を──「夏といえば『流しにんげん』だよなぁ」

【No.-074 災夏】
街から人が消える度、透明な蝉と風鈴が増えていく。鳴き声や音を放っているのに、姿形はどこにも存在しない。何もない場所を見つめる人はとても幸せそうだった。夏に魅せられた者は数日後にいなくなる。けれど、誰もこの街から逃げようとしない。声と、熱と、音の牢に囚われてしまったのだ。

【No.-075 クラーゲン】
深海に潜む巨大生物クラーゲンが姿を現した。八本のうねうねとした触手に、島ごと覆い隠してしまうほどの傘の体を持つ。分泌されるゼラチンはクラーゲンの子どもで、コラーゲンという美容成分になることから需要がある。妻のために、娘のために、大勢の船乗りがクラーゲンに挑んでいった。

【No.-079 クロデンワゼミ】
ジリリ、ジリリ。と電話が鳴ったので取ると、受話器の向こう側は静かだった。窓の外にはクロデンワゼミが網戸に張り付いている。今年は猛暑のせいで、例年よりも大量発生しているらしい。ジリリ、ジリリ。電話の鳴き声を聞く度に懐かしさを感じていく。世界は『昭和』に侵食されつつあった。

【No.-108 折り命】
私が折り紙で作ったものには命が宿る。魚を折って部屋を水族館にしたら、母が悲しい表情を浮かべていた。大人になった今、その意味を考える。母も祖母も歳の割にはシワが多かったこと。雨の日は家で過ごす決まりがあったこと。父も祖父もいないこと。全部、命で遊んだ報いなのかもしれない。

【No.-121 猫蜜】
料理店の売上が落ち込む。気分転換に飼い猫を吸っていると脚から甘い匂いがする。肉球を撫でれば蜂蜜がとろっと溢れ出てきた。レトルトカレーにかけると優しい口当たりに舌鼓を打つ。ヨーグルト、椎茸の含み煮、ジンジャーポークソテー。猫蜜をたっぷり使った新メニューでお店は大繁盛した。

【No.-137 朝焼けと雀】
下北沢のライブハウスで歌っていたインディーズバンドも、今や恋愛ドラマの主題歌に起用されるまで有名になる。誰のものでもない抽象的な曲が、誰かの物語になってしまうのがこわかった。あれは確か、別れの歌詞のはずなのに。厄介な僕の感情をあざ笑うように、朝焼けの中で雀が鳴き始めた。

【No.-146 命を紡ぐ】
目覚めたら知らない青年が立っていた。違和感を覚えて指を見ると赤い糸が垂れている。運命の、というやつなんだろう。青年の手が伸びる。心臓が脈打つ。「糸人形が意思を持つなよ。また失敗だ」赤い糸を引き抜かれると指がほつれていって、腕、肩、体が綻んでいく。頭、記憶が、ブツンと──

【No.-147 さんざめく凪】
「浦島太郎を竜宮城に運んだ亀はオスかメスか」絵羽模様の和服を着た妻が、砂浜で仰向けになっていたのは遠い夏の話だ。玉手箱を開けたわけでもないのに、気付けば皺だらけになる位の年月が経っていた。あの日の疑問に答えが出せないまま、誰も助けられないまま。後悔の形に、波がなぞった。

【No.-180 複製の街(正しい街の破片⑩)】
見た目が同じ人間で溢れ返っていた。向こうから『私』がやって来る。いわく、本物を失ってもいいように複製を作る義務があるという。生命も、建物も、街自体も。複製が複製を作り出し、複製の複製が複製を作る。自分が本物なのか猜疑心が生まれて、確かめるために命を絶った者も多いそうだ。

【No.-184 花患の街(正しい街の破片⑭)】
女の子が母親にカーネーションを差し出す。余程嬉しかったのか、娘も母親も涙を流していた。街には花が咲き誇っている。……いや、元は人間だったのだ。向日葵になった笑顔。白菊に育った細い腕。紅葉に変わった幼い足。花患いに罹った者は体が植物に奪われていく。贈り物の花も、本当は──

【No.-185 蒐集の街(正しい街の破片⑮)】
いくつかの街から特産品が集められていた。人生を収めたフィルム。魂の揺らめく宝石。誰かを彩る額縁。シロツメクサの花冠。蒐集家が街を旅して手に入れたという。露天商のつぎはぎの体と、犬や豚が混ざった不完全な動物が目に入る。完璧な命を求め、他の存在から一部を奪って蒐集するのだ。

【No.-188 潮騒の街(正しい街の破片⑱)】
地面を歩けば波の音がする。空には魚が泳ぎ、景色が揺らめく。感覚がないだけで、この街は確かに海底なのだ。気付いた瞬間、泡を吐いて溺れそうになる。意識が微睡むほどに潮騒が大きくなった。流される私の体を人魚の手が掴む。「大丈夫。落ち着いて」深呼吸をすると、ふわり、海を纏った。

【 No.-198 胡蝶の街(正しい街の破片㉘)】
命を落とす瞬間、建物が崩れる一瞬にそれらは胡蝶に変わっていく。セルリアンブルー。アリザリンレッド。マゼンタ。明滅する無数の蝶が街を覆い尽くす。体の色が感情を示しているようだった。人差し指に橙色の蝶が止まる。懐かしい気がした。街も、私も、胡蝶が見ている夢なのかもしれない。

【 No.-200 羽化の街(正しい街の破片㉚)】
全ての命が繭に包まれていた。新しい存在として生まれ変わるために、魂の殻を破るために。冬になると街が蠢く。この街も一つの命なのだ。私の口から吐いた花が綻び、糸状になって体を包み込んだ。目を閉じて、芽吹きのときを待つ。夢のように意識がまどろむ。街も、私も、今、羽化が始まる。

【No.≠045 生命の音】
生きている音を探しています。街灯はチカ、チカ、と音を立てて死んでいきました。生きている音は、死んでいく音と同じなのだと思います。私も、心のゼンマイがジリ、ジリ、と消耗しながら生きています。死んでいく音は、生きている音と同じなのだと思います。生きている音を探していました

【No.≠046 小さないのち】
アリを踏まないよう慎重に歩く。昔は多くの命をわざと踏み潰したものである。だけど今、間違ってアリを踏んでしまっても気にならないだろう。そんな人間をアリはどう思ってるだろうか。ふと、辺りが暗くなる。巨大な足が僕に迫って——「あ、人間踏んじゃった」「いちいち気にしなくていいの」

【No.≠050 澪つくし】
その水族館では、人魚が水槽の中を泳いでいます。「私も昔は人間だったのよ。失恋しても声を出して泣かないように、好きな人の所へ駆け出さないように、私は人魚になろうと思ったの」そう言って人魚は今日も水槽の中で歌います。朝も、夜も。明日も。百年後も。一人でずっと、一人でそっと

【No.≠054 月まで跳ねる】
昔々、孤独なウサギが月まで跳ぼうと長い耳を揺らしていました。さみしい毎日、空へと跳ねて、誰かに見ていてほしいから。ある夜、ウサギはついに月まで辿り着きました。疲れ果てた末に命を落としましたが、悲しくはありません。勇敢な君を讃えるように、今もほら、みんなが月を見てるから

【No.≠066 秋の陰る】
「あ、タンポポだ」地面に蝉が這い蹲っていた。意識していないのか、意図してなのか、花を避けた彼女は代わりに蝉を踏みつけた。ジジ、ジジ、と鳴き声が消える。『秋が過ぎる速さで光は陰るの』遠い昔の、彼女の言葉を思い出す。長い夏が終わりに差し掛かり、すぐそこまで秋が迫っていた。

【No.≠068 機械の手】
目を覚ますと狭い空間にいた。イヌやネコが窮屈そうに閉じ込められている。長い間ここにいるのか、表情を失っていた。透明な壁の向こうでは巨人がにやにやと笑う。上空から機械の手が迫って私を掴む。穴に落とされた瞬間、私は巨人の声を聞いた。「やった! ひよこのぬいぐるみが取れた!」

【No.≠071 ヒヨコの国】
天気予報士が「今日は晴れのちヒヨコです」と告げる。ふと、頭の上に一匹のヒヨコがぶつかった。ぴよぴよ鳴くのを合図に、空から色とりどりのヒヨコ達が降り注ぐ。今では人間よりもヒヨコの数の方が多いくらいだ。ヒヨコ小学校。ヒヨコ遊園地。ヒヨコ株式会社。世界中がヒヨコの国になった。

【No.≠076 鳴き声問題】
「『ンメ〜』これは羊の鳴き声です」「はい」「『メェ〜』これはヤギの鳴き声です」「なるほど」抑揚の位置で見極めればいいのか。「では次に上級問題です。『ンメェ〜』これは誰の鳴き声でしょうか?」「……ヤギ、ですか?」「いいえ。これはおいしい物を食べたおばあちゃんの鳴き声です」

【No.≠081 地族館】
水族館ではウミガメが泳いでいます。仲良く歩き回る幼い兄妹。初々しい高校生のカップル。しっかりと手を繋いだ老夫婦。色んな人達がやってきます。ウミガメは視線を忙しなく動かしながら、のーんびりと呟きました。「わざわざお金を払って僕に見られに来るなんて、人間達も変わってるな」

【No.≠085 ひよこのこ】
ヒヨコは初めて目にしたものを親だと思い込む習性があります。ある日、二匹のヒヨコが産まれて、同時に相手の姿を確認しました。すると、お互いの背中をトコトコと必死に追いかけます。円を描くように、その場でぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐ――

【No.≠093 花負荷】
彼女はいつも花に水を上げていた。「祝福の種を植えてみたの。この花を枯らすと不幸になるんだって」取り憑かれたように世話をする姿は病的に感じた。彼女の背中越しから覗く花を見てぞっとする。おぞましい形に変化していることにも気付かないで、彼女は、ただ、花だった何かを愛でていた。

【No.≠095 迷い言】
『迷子の言葉を探しています』電柱に張り紙が貼られていた。その言葉の特徴は優しくて、尖っていて。冷たくて、温かくて。綺麗で、醜くて。幸せで、悲しくて。ずっと側にいたはずなのに、気付いたら失っていたそうだ。初めて知ったその言葉を、僕は、心のどこかで覚えているような気がした。

【No.≠097 海の月】
「海に月が沈んだら、くらげになってふよふよ泳ぐんだよ」だから月の漢字はくらげに似ていると、彼女がけらけら笑っていた。透き通るような肌の白さは、どこか月の光を感じさせる。「私も海に沈んで、くらげになって、行方不明になりたいなぁ」何もかも奪うような、白くて大きな満月だった。

【No.≠099 ねこギター】
河川敷で『ねこギター』を弾く。ねこのヒゲで作られた弦を、肉球型のピックで掻き鳴らせば、にゃにゃーん!と鳴き声が響いた。へたくそな歌声に人は集まらないけど、気付いたらねこの大軍に囲まれていた。にゃにゃーん!僕のギターにふんわりとした合いの手が加わる。かわいいお客さん達だ。

【No.≠103 オンガエシガメ】
罠にかかった亀を助けた晩、道に迷った女性が泊めてほしいと家を訪ねてくる。「お礼をしたいので、絶対に襖を開けないでください」部屋の奥からガタガタと鳴る音が気になって、思わず襖を開けてしまう。すると、大きな甲羅を背負った女性が裏返しになっていた。「……あの、助けてください」

【No.≠106 命細工】
飴細工で作られた金魚が、どんどろりんと溶けていきます。ぽたりぽたぽたと流れる赤や橙が混ざり合って、金魚の命が崩れていきます。私は飴を掬って口の中に含みます。金魚が肺で泳いでいるかのように、心臓はずくずくずくと高鳴ります。涙が溢れてきます。飴は少しだけ、苦い味がしました。

【No.≠111 たいふうさん】
おかあさんが「たいふうには『め』があるのよ」ってゆってました。すながかぜでとんで、たいふうさんの『め』にはいって、いたいよー、いたいよー。ってなみだがでて、それがあめになってそらからふるんだーってわかりました。だから、わたしはたいふうさんにやさしくしようとおもいました。

【No.≠116 混成大夥】
僕の体には動物が生まれる力があった。ペンを握り過ぎると指がタコの足に変わるし、夜遅くまで文章を書いていると目にクマがぶら下がる。この秘密を小説にしてしまおう。これで大賞は間違いないゲロ。ゲロゲーロ。鏡を見ると体がカエルに変化している。どうやら、井の中の蛙だったみたいだ。

【No.≠140 夕闇通り探検隊】
わたしのあとをくろいひとが、びしゃ、びしゃとついてきます。おとーさんはないています。しらないひとがわたしにさわってきます。そのとき、とらっくがわたしにむかってきました。いつのまにかくろいひとはいません。おとーさんはわらっていました。おかーさんはまだ、みつからないのです。

【No.≠151 待ち人知らず】
紅葉を踏み鳴らしながら、私は無人駅で飼い主様の迎えを待っています。お手製の待合室は草の網目が荒いので、夜露が体に染み込みます。「冬を越えて、春を過ぎる前には必ず戻ってくるからね」あれから何年が経ったのでしょうか。飼い主様はまだ訪れません。私の被毛は涙で濡れるばかりです。

【No.≠155 声の行方】
ひと夏の恋なんて呼べば聞こえは良いだろう。実際は欲に身を任せただけである。持て余した命を抱えて山へと踏み入った。あれから数年後、罪を償うために山を歩いていると、鹿の鳴き声が彼方から聞こえてくる。その度に悲しそうな誰かの泣き声と重なって、身勝手にも私の心は苦しくなるのだ。

【No.≠161 漁り火の島】
あの冬の罪を償うために、誰からも忘れられた島で暮らしています。私のことを覚えている人はもういないでしょう。渡り鳥が私を見つけてくれるのを祈っています。海に浮かぶ漁り火よ、願わくば彼に伝えてください。私はここにいます。おばあさんになるころには、あなたに会えるのでしょうか。

【No.≠170 波うつつ】
人魚が岩陰に身を寄せながら、小さな女の子に語りかけています。「私も昔は人間だったのよ。学生の頃は先生のことが好きだったけど、身分違いの恋だから諦めるしかなかったのね。だから、先生の側へと駆け出さないように、声を出して泣かないように、魔女にお願いして人魚にしてもらったの」

【No.≠192 雨しとど】
「さいごまでめんどうみるもん」あの約束は嘘だったのでしょうか。わたしにはいま寄る辺がありません。惜しむべきいのちがございません。ダンボールの中、汚い毛布にちいさく丸まります。からだを雨が濡らします。最後まで面倒みると約束してくれたのは、一体いつのことだったのでしょうか。

【No.≠201 泡沫の恋】
憧れの人と話をするために、魔女の力で人魚から人間にしてもらう。秘密を漏らすと私の身が灼かれるそうだ。でも、なんともおかしな話なのだろう。憧れの人を前にすると、誰にも話していないのに声が出なくなって、夢の中みたいに足が重くなって、体の内側から身を焦がすほどの熱を生むのだ。

【No.≠209 蝶の行く末】
ベランダで流蝶群を待っていると、彼から「行けたら行く」とメールが届く。月から光の残滓が溢れて蝶が生まれる。色彩豊かな蝶が流れ星のように、群れを成す光景はとても美しかった。眠い目をこすりながら、三日月に変わっていくのを眺める。彼の言葉を信じて私は一人で寒さに震えるのだ。

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652