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140字小説 No.≠011‐015

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【No.≠011 透明の血】
私が幼いころ、母が警察に連れて行かれた。知らない大人達は私を見るなりなぜか泣いたり喜んだりして、私はその人達の家で暮らすことになった。今でもたまに、私と似ていない母の顔を思い出す。あのとき、警察が来た意味をなんとなく理解しているけれど、私はまだ新しい両親に聞けずにいた

【No.≠012 IXY】
二十三回目の誕生日を迎えた。しかしどうにも生きにくい日々で、あいかわらず後ろ向きな人生である。だけど振り返ってみると、今まで私を構築してきたものが見えてきた。音楽。水風船。ギター。嘘。写真。落花。白。鈍い光でも、私は今日まで生きてきたから。ちゃんと見ててね、明日の私も

【No.≠013 リプレイ】
夜の海に浮かぶ観覧車に私は思わず足を止めた。網目状に広がる骨組がまるで蜘蛛の巣のように思えて、さながら私はこの美しい光景に絡め取られた蝶にも似ていた。そういえば、別れた彼が好きだった歌に観覧車をイメージしたものがある。今にして思うと、あれは失恋の歌だったのかもしれない

【No.≠014 かんじょうせいげん】
おとなのひとたちから「かなしいときこそわらいなさい」といわれました。おねーちゃんがしんだとき、みんなわらってませんでした。ほいくえんのおともだちはいつもたのしいんだとおもいました。おねーちゃんがしんだことは、かなしくないんだとおもいました。かわいそうだなとおもいました

【No.≠015 命画】
私にはラクガキを実体化させる力があった。血の繋がっていない娘のために、おもちゃの絵を描いていたある日、娘も猫のラクガキを実体化させた。あぁ、やっぱり私の子だと愛おしく思い、娘を強く抱きしめる。涙が流れ落ちた。頬に触れた先から娘が滲んでいき、やがて一枚の絵に戻っていった

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652