![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/71917684/rectangle_large_type_2_90d37ad3fd4578a6aa5c29ee88d9f1cc.jpg?width=1200)
140字小説 No.196-200
タイトルからツイッターで載せた作品に飛ぶことができます。
お気に入りの作品にいいね、RT、感想などしてもらえると幸いです。
【No.196 不要不急の恋②(百景 46番)】
不要不急の恋が自粛されてから、この国の失恋率は8割を超えてしまった。今では恋愛支援施設も人で溢れて、ほとんどが機能しなくなっている。澱を掻き分けていく櫂が壊れた私達は、感情の行く末さえも失っていく。学校で、職場で、ネットで。生まれるはずだったいくつかの物語が消えていった
【No.197 今もどこかで(百景 47番)】
山登りをしていると、つる草で生い茂った小屋を見つける。伸びて絡んで移ろって。私がいてもいなくても季節は流れていく。そんな当たり前のことが少しだけこわかった。私の、知らない場所で、川は流れて。私の、知らない場所で、鈴虫が鳴いて。私の、知らない場所で、きっと、誰かが自殺して
【No.198 泪の海(百景 48番)】
「海ができた理由って知ってる? 最初は一滴の水だったのよ。水が岩に恋をして何度もアタックしたの。フラれる度に水は涙を流して、涙が波になって、何度も何度も砕け散って海になったのね。だから海はしょっぱいの」とくだらない話をあなたにするだけで嬉しかった。私の目から海が生まれた
【No.199 夜の国(百景 49番)】
かがり火の側にいる旅人の隣に座る。旅人は星を眺めながら「私は夜が明けたらこの国を去ろうと思います」と告げた。あんなにも朝が恋しかったのに、こんなにも夜が明けてほしくないと思ったのは初めてだ。朝のない国で生まれて生きることができたのなら、別れの夜明けなんて知らなかったのに
【No.200 砂漠の花(百景 50番)】
「砂漠のどこかに言葉を失うほど美しい花がある」という噂を聞いた。長旅の末に見つけると花は枯れようとしている。どうせもうすぐ失ってしまう僕の命だ。わずかな飲み水を花に与えると、光の粒子を振り蒔きながら花が育っていく。砂漠の中で悠然と輝く姿に、僕はただ静かに手を伸ばしていた
リメイク版の140字小説はこちらから!
この記事は有料ですが全編公開になっています。私の活動を応援してくださる方がいましたら投げ銭してくれると嬉しいです。また、サポートやスキのチェック。コメント、フォローをしてくださると喜びます。創作関係のお仕事も募集していますので、どうか、よろしくお願いします。
ここから先は
¥ 100
改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652