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140字小説 No.≠126‐130

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【No.≠126 月虹】
「月が綺麗だよ」と彼からメールが届いて、カーテンを少しだけ開く。『違う場所で同じ月を見ている』と言うけれど、私にはそう思えないのだ。私が見ている月は偽物かもしれない。なんて言ったら、彼は笑うだろうか。本物じゃなくてもよかった。偽物でも、彼と同じ光を見ていられたのならば。

【No.≠127 虹月】
『宇宙船の窓から地球が綺麗に見えました。あなたは今でも私を好きでいてくれるでしょうか。それだけが不安です』地球にメッセージを送り出す。ランダムに選ばれた人達が月の移住計画の実験台にされる。結果がどうなろうが、私はもう戻ることはできない。赤く染まった地球を横目で見ていた。

【No.≠128 粘子細工】
自分が作った粘土細工には命が吹き込まれる。葛藤しながらも、子宝に恵まれなかった僕は粘土細工で息子を作った。ある日、突然の雨で体が塗れてしまう。どこからか油の臭いがして、自分の体がどんどろりんと溶けていく。僕に母親がいない理由を思う。自分も父に作られた粘土細工だったのか。

【No.≠129 クレジット】
音ゲーの順番を待つ間、友人から「実際に楽器を弾いてみたらどうだ。費やした金と時間で上達できるだろ」と揶揄されたのを思い出す。ゲームが得意でも楽器が上手くなるとは限らないのに。プレイしている人の動きを「真似したい」と感じる。それでも、あの人みたいにはなりたくないと思った。

【No.≠130 秋縁】
知り合いを六人介せば、世界中のどんな人にでも行き着くそうだ。幼稚園のときに好きだった男の子。本当は嫌いだった高校の同級生。夢の中でだけ会える先生。何人の『誰か』を経由すれば、大切な人達に辿り着けるのだろう。そんなことを秋の夜長に考えてみては、名前も知らない人達を思った。

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652