見出し画像

彼女140字小説まとめ②

【No.752 偶像(2022/04/20.not)】
亡くなった彼女を綴った小説が本になる。なんとなく有名になって、なんとなく金を稼いでいた。執着する必要はないけれど、東京の六畳一間で爛れた生活を送る。長袖の裏に隠した本音も、背中に向けて吐いた憂鬱も、全てが創作に至る病となった。言葉は捨てた。言葉は、捨てたはずだったのに

【No.-005 翠緑、炭酸、夏を弾く】
ラムネを飲み干した彼女が、瓶の中に土と種を用意した。彼女のやわらかな手から水が注がれる。「夢があるんだ。教えないけどね」と笑った。一年後、日向に置いたラムネ瓶の中で、小さな花が音を立てて咲いた。夏がまた始まる。名前もないこの花が、 いつか、誰もが知る夢になることを願った

【No.-019 しょくじかい】
今日は偏食の僕のために、彼女の自家製料理を振る舞ってくれるそうだ。慣れない作業に彼女は手を焼き、目を剥き、骨を折り、心血を注ぎ、頭を抱え、身を削って料理を作る。自腹を切って作ってくれた料理を食べると、彼女の体と心の一部になれた気がして満足する。「おいしい」返事はなかった

【No.-039 アポトーシス】
好きな漫画の最終回を見届けることも、お気に入りのゲームの続編が出ることも、友人と楽しく話すことも、嬉しいけれど、彼女にとって生きる上では未練にならないらしい。だから、ふとしたきっかけで失ってしまう。「私の未練になってください」という言葉に、どこかで、聞こえないふりをした

【No.-043 膨らむ】
悩みや嫌いなものを風船に書いて、不安ごと空に飛ばす風習が村にあった。色とりどりな風船の中には、一体どれだけの不幸が詰まっているのだろう。あの日、彼女は自分自身の名前を書いてそれを見送った。だから自殺してしまったのかもしれない。風船が夜の帳の深く深くに消えていく

【No.-045 0ページ目】
人生を一冊の本にしてくれるサービスがあった。面白そうだなと思い、僕と彼女の華やかな生活を書籍化してもらうために注文する。だけど、届いた本は最初から最後まで白紙のページだった。騙されたと憤っていたら、彼女が本の表紙を優しく撫でながら「これでいいんだよ」と、小さく泣いていた

【No.≠005 宇宙人ごっこ】
「ワーレーワーレーハーウーチュージーンーダー」扇風機に向かって彼女が口を開く。どこでそんなもの覚えたんだとおかしくなる。「これね、宇宙人ごっこ」「ごっこじゃないだろ」彼女が振り返ってけらけら笑う。透明感のある水色の皮膚と、おでこに存在する第三の目がとても可愛らしかった

【No.≠009 裏道】
「この先で検問してるんだって」助手席に座る彼女が携帯を見ながら呟く。「僕達のこと、もうニュースになってるのかも」嫌でもトランクのゴミ袋が気になった。「本道の方がよかったかな」ハンドルを持つ手が震える。彼女がやわらかく笑った。「正しい道なんてとっくに外れちゃったじゃない」

【No.≠019 時の鐘】
押入れの奥から古い万華鏡が出てくる。昔、彼女と行った観光名所で買ったものだ。そっと覗いて、静かに筒を回す。景色がゆっくりと変わっていく様子が、時の鐘を撮っていた彼女の姿と重なる。時間も、夢も、将来も、気付けば少しずつ移り変わっていく。季節はもうすぐ冬になろうとしていた

【No.≠022 花塞ぐ】
彼女が好きだった赤い花が、至る場所で咲いていることに気付く。別れた途端に、SNSで悪口を書き連ねていたのには思わず苦笑した。大切なものはいつも一つしかないと思っていたのに。地面に落ちた花を足で潰した。そうだ。彼女の好きな花は、どこにでも咲いているような存在だったんだよ

【No.≠051 花まじない】
別れた彼女にクロッカスの種を贈ったことを思い出す。「紫色の花が咲いたら結婚しよう」遠い昔の約束だ。花言葉を調べてみると『あなたを愛したことを後悔する』という意味があった。なんとも皮肉めいているなと苦笑いする。あのクロッカスが、今でも、種のまま芽吹いていないことを願った

【No.756 青春の味】
高校生になって初めて彼女ができた。不器用なのにお弁当を作ってくれて嬉しくなる。彼女が「せっかくの手作りなのに茶色ばっかりでごめんね」と目を伏せる。そんなことない。絆創膏から滲む赤色と、薄桃に染まった頬。長い黒髪が揺れる。彩り豊かな、青春にも似たやさしい味が心に広がった

【No.≠066 秋の陰る】
「あ、タンポポだ」地面に蝉が這い蹲っていた。意識していないのか、意図してなのか、花を避けた彼女は代わりに蝉を踏みつけた。ジジ、ジジ、と鳴き声が消える。『秋が過ぎる速さで光は陰るの』遠い昔の、彼女の言葉を思い出す。長い夏が終わりに差し掛かり、すぐそこまで秋が迫っていた。

【No.≠074 タルトタタン】
待たされるのが嫌いなのか、彼女の食べる早さには驚かされる。でも、デートのときは僕が待つことが多い。「食べ終わったら帰るよ」「うん」いつも先に食べ終わる彼女は僕の顔を確認しながら、甘くて少しほろ苦いタルトタタンを、小さく、小さく分けて、数秒、数分と時間をかけて食べていた。

【No.≠084 桜雨】
数年前、僕と彼女は一本の傘に二人で収まりながら桜を眺めていた。なんとなく別れの予感はあったのかもしれない。言葉は交わさず、散りゆく桜の軌道を目で追いかけていた。あの日と同じく小雨が降る夜、適当に傘を取り出して開くと、桜の花びらが落ちる。一本の傘の中に、一人で立っていた。

【No.-070 恋と稲妻】
彼女の涙には電撃が宿っている。だから、人を傷付けないように彼女はひとりぼっちだった。ある夜、大停電に見舞われた街は混乱に陥る。展望台に立つ彼女が何回も、何度も、何粒も涙を流せば、街は色が溢れるように明かりを灯す。泣きじゃくったあと、彼女がはにかむ。僕の心に稲妻が走った。

【No.≠089 繋がる、隔てる。】
私の住む街に同級生の女の子が遊びにきた。「まだ公衆電話があるよ」緑の受話器から私の携帯に電話をかける。「私の声は届いていますか?」彼女がおどけながら笑う。「私の思いは届いていますか?」なんて、透明な箱を隔てて言葉が消えていく。私もおどけながら、打ち明けてしまいたかった。

【No.768 鉢密】
「鉢植えに埋まって花になりたい」が口癖だった彼女は、土の中に埋まった状態で見つかった。以来、森は封鎖されてしまったけど、事件があったからではない。彼女が埋まっていた場所から一輪の花が生えてきたのだ。見た人の理性を狂わせて、人間を土の中へ埋めるように促す。魔性の花だった。

【No.≠092 薊揺れる】
公園を歩いていると、窪んだ水皿の中に笹舟が置かれていた。そういえば、別れた彼女は船を編むのが得意だった。蛇口から水を出して笹舟を浮かす。あの日の記憶も、彼女との思い出も、どこにも流せないままぷかぷかと揺らぐ。夕陽が滲む。いつまでも辿り着けない、小さな『こうかい』だった。

【No.≠093 花負荷】
彼女はいつも花に水を上げていた。「祝福の種を植えてみたの。この花を枯らすと不幸になるんだって」取り憑かれたように世話をする姿は病的に感じた。彼女の背中越しから覗く花を見てぞっとする。おぞましい形に変化していることにも気付かないで、彼女は、ただ、花だった何かを愛でていた。

【No.771 ごめんね】
「ごめんね」が彼女の口癖だった。石鹸を買い忘れたときも、角砂糖の数を間違えたときも、花を枯らしてしまったときも。おずおずと誤魔化すように笑う仕草が嫌いだった。ごめんね。ごめんね。ごめんね。ある日、彼女から別れ話を切り出される。「ごめんね」と、真剣な顔で僕を見つめていた。

【No.773 讃美歌】
酸欠のように歌う彼女が好きだった。普段は高らかな声だけど、カラオケの採点機能を使うときだけは口を小さめに開く。音程が歯並びみたいに思えて、どうしても気にしてしまうらしい。愛おしくて見つめていると、不機嫌になった彼女が腕を噛む。優しい痛みと共に、歪んだ愛が跡になっていた。

【No.≠096 落ちる、花、生きる】
「白詰草ってさ、すごく素敵な花だと思ったの。だって白が詰まってるんだよ。そしたら、クローバーのことだって知ってがっかりしちゃった。え、落花生? それくらい知ってるよ。落ちる、花、生きる。言葉は綺麗なのになぁ」四つ葉を探すために、多くの三つ葉を踏みながら彼女は笑っていた。

【No.≠097 海の月】
「海に月が沈んだら、くらげになってふよふよ泳ぐんだよ」だから月の漢字はくらげに似ていると、彼女がけらけら笑っていた。透き通るような肌の白さは、どこか月の光を感じさせる。「私も海に沈んで、くらげになって、行方不明になりたいなぁ」何もかも奪うような、白くて大きな満月だった。

【No.≠098 バックログ】
去年の手帳を眺めながら、新しい手帳に友人達の誕生日を書き込む。ふと、彼女だった子の名前を見つけて筆が止まった。書いては消して、書いては消して。彼女の名前がうっすらと滲んでいく。関係性の引き継ぎ作業だ。記念日が多くなるほどに、思い出以外の全てを蔑ろにしている感じがした。

【No.≠100 憐夏】
彼女が「憂鬱に名前を付けて、それを水風船に書いて割りたいね」と言っていた事を思い出す。彼女は失うために、自身の名前を水風船に書いて割ってしまったのだろうか。熱に浮かされている間に夏が終わってしまう。夕方のニュースが流れる。「深刻な寒波が続き、この国の四季は春秋冬に──」

【No.-076 もちもち】
雪見だいふくを食べるときは彼女なりのルールがあった。最初に皮を食べ切ってからアイスだけを口に含む。もっちりした感覚を先に楽しめば、しっとりした食感がより際立つと言う。おかしなルールだなと思いつつ、彼女の白くてふっくらとしたほっぺをつつく。愛情を示す僕なりのルールだった。

【No.-082 影繋ぎ】
遊歩道に伸びる影を見ると、彼女と付き合っていた夏をいつも思い出す。人前で手を繋ぐのがもどかしかった僕達は、夕陽で生まれた手のひらの影を重ねて、間接的に手を繋いでいた。今にして思うとそっちの方が恥ずかしい気もする。夜になれば、否が応でも離ればなれになってしまう関係だった。

【No.-089 味の記憶(藍煩い⑥)】
彼女と一緒にカレーを食べる。「私、二日目の方がもっと好き」ふと、僕に次の日が訪れないことに気付いて、彼女が口を噤む。「明日の夜も食べようね」慰めではない。僕特製のレシピは彼女が覚えているから、味の記憶は残り続ける。午後七時、最期の晩餐だ。「いただきます」「いただきます」

【No.-096 月に染まる(藍煩い⑬)】
藍煩いになると瞳が藍色に変わる理由は、月の光が蓄積したものと考えられている。だから僕は発症したのかもしれない。月のように繊細な、彼女の姿をずっと見ていたから。午前二時、夕凪公園で天体観測を始める。いつか僕も星になれるのだろうか。そのときは、彼女に見つけてほしいと願った。

【No.776 黎明期(通算1000作目)】
麗筆な字で綴られた手紙が、海辺のサナトリウムに流れ着く。彼女が病に伏せてから、物語の詰まったメッセージボトルが漂流してきたのだ。不思議で、繊細で、感傷的な物語を読み続けていれば、いつか目を覚ますと信じて。今、千個目の物語を拾い上げる。ふと、彼女が呼ぶ声を聞いた気がした。

【No.777 R.I.P.】
心臓の形がそれぞれ違うのは、人は思いから先に生まれるからだ。ハート型、星型、動物の姿も存在した。胸を撫でる。亡くなった彼女から移植された、四つ葉のクローバーの形をした心臓がズクズクと脈を打つ。その度に記憶が血と一緒に駆け巡る。まだ生きている幸運を、彼女の代わりに祈った。

【No.≠110 息を抜く】
彼女が僕に「だす!」と言ってきた。意味を聞いても「息抜き」とだけ答える。それだけで息抜きになるのかなと思いつつ、彼女が笑っているならそれでもいいかと一緒に笑う。「だす!」「だす!」ふと、その意味に気付いて顔が真っ赤になる。彼女が小さく「だす」と呟く。なるほど、息抜きだ。

【No.≠117 群青散花】
数年前、彼女が花の髪留めを羨ましそうに眺めていた。黒くて、とても長い髪が揺れていたのを思い出す。こっそりと買っては、そのまま渡す機会はなかった。彼女のお見舞いに訪れる度に、使う必要のない花の髪留めがバッグの底で息を潜める。薬の副作用で抜けてしまった、彼女の髪を見つめた。

【No.≠122 色織りの彼女】
魔女に色を奪われた地で、彼女は機織り機を使って色を紡いでいます。ある日、彼女から手紙が届きました。『ほんの少しの橙と、肌色があるので私は大丈夫です。だから心配しないでください』彼女は今でも色を紡ぎます。いつか全ての色を取り戻したら、みんな、夕日の美しさを思い出せるはず。

【No.≠123 僕の手料理】
彼女が僕の手料理を食べている姿が好きだ。君の体の一部になれた気がして満足する。料理は苦手だけど、彼女からお願いされる度に僕は手を焼き、包丁で指を切る。幸せそうな顔を見てると、どんなにストレスを感じていても僕の体は軽くなる。あと何回、君に手料理を作ってあげられるだろうか。

【No.≠125 夕華鏡】
手作りの万華鏡を覗き込む。「見て。この角度がすごく綺麗なの」彼女は万華鏡を回さずに、一つの光景ばかりを楽しむ。目の前では夕日が街を覆い隠そうとしている。すぐ近くに綺麗な光があるのに、絶え間ない永遠の一瞬しか見えていない。彼女は作り物の美しさを、ただ、筒に閉じ込めていた。

【No.-111 三分間の幻】
カップ焼きそばにお湯を注いでからの三分間、湯気に亡くなった彼女の姿が見えた。懐かしい記憶が蘇ってくる。視界が曇ったのは煙のせいなのか、もう実在しない人に縋ったからなのか。彼女との思い出を僕自身の手で排水溝に流す。二人で分け合ったカップ焼きそばを、今では一人で食べるのだ。

【No.-112 月の瞳】
彼女の瞳には月が宿っている。大きくて、静かな光が揺らめいていた。実はこの世界に月なんて存在しない。彼女が空を眺めている間だけ、瞳の月が空に映し出される。目を逸らしているときは僕が偽物の光が用意していた。共犯者めいたように彼女が目を細める。満月だった瞳が三日月に変わった。

【No.785 願い事流星群】
流れ星に「彼女が欲しい」と願う。その日の夜、窓を叩く音で目が覚めると、ベランダに隕石が転がっていた。「彼女を作るまで降り注ぐよ」隕石が僕に話しかけてきた。テレビでは突然の流星群に速報が流れる。みんなが願いを叶えないと、隕石が世界中に落ちてしまう。このままでは、地球が──

【No.≠136 退廃都市⑥】
電車に揺られながら、彼女のいない街へと帰る。窓の外では橙色の空をひこうき雲が割いていた。開いた窓から秋の気配が漂う。今、二基目のロケットが飛び立つのを見送る。宇宙の果てで、再び彼女と巡り会えることを願う。未来が揺れた。原因不明の涙が、轟音のうねりと共に過去へと流れ出す。

【No.≠137 夏の残り音】
裏通りにある風鈴屋を二人で覗く。夏の残り音を背に、店主から「彼女かい?」と訊ねられる。照れながら肯定すると、なぜか彼女が不機嫌になった。「なんで『はい』なんて言ったの?」大きなお腹を優しくさする。あぁ、そうか。「もう彼女じゃないでしょ」その意味に気付いて、小さく笑った。

【No.-124 命を描く】
額縁描きに絵を頼む。そのものではなく、絵を飾る額縁の方を描いてもらうのだ。登場人物の物語を彩るように、水彩で象られた額縁が淡い明かりを生み出す。彼女の手にかかればどんな後悔も、未練も、額縁に飾って思い出に仕立てる。光を直視できない人にとっての、安らかな救いとなるように。

【No.≠149 渡り鳥達】
冬が訪れる度に、彼女との思い出が蘇ってくる。流れない噴水の絵ばかり描いていた左手には、多くの吐きダコができていた。白紙を塗り潰していく彼女の横顔が、なぜだかとても悲しそうに見えた。今ごろ、君は、あの公園で泣いていて。今ごろ、渡り鳥も、あの公園で鳴いているのかもしれない。

【No.799 蝶の眠る】
夜に安らぎを求めている人は、朝に不安を抱いていないからだ。目を覚ませば必ず明日になっているという救いを、持てない人だって少なからず存在する。目を閉じたら二度と起き上がれない気がして。それでも、歓楽街へ繰り出す彼女が起きる夜を、それでも、どこかで綺麗だと思ってしまうのだ。

【No.-142 レンタル彼女】
レンタル彼女の常連になっていた。料金は固定ではなく、選んだ女の子によって変わる。無邪気で、料理がおいしく、少し臆病な僕の彼女は最安値だった。楽しい時間を、涙が溢れるほどの幸せを与えてくれるのに。機械人形にレンタルした命を埋め込む。見た目以外は、亡くなった彼女そのものだ。

【No.-154 恵方に進む】
お皿を用意しながら、彼女が「恵方巻きは『ええ方マーク』が由来なのよ」と豆知識を披露する。日本発祥の文化に英語は使わないだろと茶化せば、気まずさをごまかすためなのか恵方巻きにかぶりつく。無言で食べ切れば願いが叶うという言葉を信じて。僕達の素晴らしき行く末よ、南南東へ進め。

【No.-156 恋の一手】
高校の帰り道、幼なじみが急にグリコじゃんけんを始める。グーかパーしか出さないので僕の圧勝だった。けれど、ポケットから覗く小箱に気付いてとっさにパーを出す。チョキで勝った彼女が「チ、ヨ、コ、レ、イ、ト!」と頬を染める。あと、数歩の距離感。次に出す僕の手はもう決まっていた。

【No.-165 deconstruction】
「『幸せ』の語源は『しわ寄せ』なんだって」彼女いわく、いくつかの不幸を誰かに押し付ければ、大抵のことは幸せでいられるらしい。『幸せの背景は不幸』と誰かが言っていた気がする。「私の幸せは、誰かの不幸なのかもね」困ったように微笑む。彼女の悲しみの繭が羽化しないことを、願う。

【No.≠162 芽吹く青葉の】
部屋に引きこもってアイドルのライブDVDを眺めた。構成を覚えるくらいに、何度も、何回も。他人から見たら気持ち悪いだろうか。嘲笑うだろうか。それでも、僕と彼女を繋ぐものに縋ることしかできないのだ。薄暗い部屋の、明るい画面の中では、亡くなった妹の笑顔だけが眩しく輝いていた。

この記事は有料ですが全編公開になっています。私の活動を応援してくださる方がいましたら投げ銭してくれると嬉しいです。また、サポートやスキのチェック。コメント、フォローをしてくださると喜びます。創作関係のお仕事も募集していますので、どうか、よろしくお願いします。

ここから先は

0字

¥ 100

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652