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140字小説 No.≠061‐065

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【No.≠061 白昼夢】
どんなに願われたって、私は去ってしまうよ。どんなに祈られたって、私は過ぎてしまうよ。どんなに頼まれたって、私は解き明かさないよ。どんなに恨まれたって、私は知らないよ。どんなに求められたって、私は進んでしまうよ。どんなに望まれたって、私は止まらないよ。私は止まれないから

【No.≠062 世界のどこか】
世界のどこかで、言葉は廃れて。世界のどこかで、言葉は失われて。世界のどこかで、言葉は捨てられて。世界のどこかで、言葉は亡くなって。世界のどこかで、言葉は売られて。世界のどこかで、言葉は弱まって。世界のどこかで、言葉は淀んで。世界のどこかで、それでも言葉は抗って。言葉は

【No.≠063 命しとど】
「雨だ」彼が私を覆い隠すように傘を差し出す。けれど、空には雲一つない穏やかな日だった。「雨なんか降ってないよ」私は彼に何度言っただろうか。いつから、彼の命や生活に雨が降るようになってしまったのだろう。雨なんか降ってないよ。雨なんか降ってないよ。雨なんか降っていないのに

【No.≠064 光を映す】
壁に太陽の光が反射していた。右手を添えると、ほのかな暖かさが広がる。見えないけれど、光は確かにあったのだ。「散歩でもしようか」彼に惹かれて、彼の左手に引かれて、私は立ち上がる。もうすぐ、私達はこの町から去っていく。錆びて軋んだ扉を彼の右手が開けて、私の左手が鍵を閉めた。

【No.≠065 彩花】
妻は三年前から目を覚ましていない。いわゆる植物状態というやつだ。娘にはママは枯れ木になったと話している。それから、娘は「かれきにはなをーさかせましょー」と病室で繰り返す。「かれきにはなをーさかせましょー」娘の声と僕の涙が、再び妻に花を咲かせる力になることを願い、祈った。

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652