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140字小説 No.≠186‐190
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【No.≠186 残夜灯】
大学の夏休みを利用して演劇合宿をすることになった。かぐや姫役の子に告白する機会を伺う。照明をうまく灯せたら。なんて、言い訳している間に練習が終わってしまう。神秘的な空気を纏う彼女は、いつもの朗らかな表情に戻った。後悔が夜に浮かぶ。月が隠れる。自分自身の手で光を落とした。
【No.≠187 真珠の涙】
彼女の瞳は涙の代わりに真珠が溢れてくる。金儲けのために親から暴力を振るわれて、毎日のように真珠を流していた。遠い日の記憶だ。彼女の頬を拭うふりして盗んだ真珠を、僕達の通う高校が建っていた空き地に捨て去る。彼女の泣き顔と僕の罪悪感が、秋風に吹かれてボロボロと流れていった。
【No.≠188 機械の心】
亡くなってから私は、機械の体に魂を注がれました。姿も、性格も、思い出も生前の私そのものなのに、夫は私以外の何かを映している気がします。永遠の命と引き換えに、急速に老いた夫は長く生きられないでしょう。あなたが私を忘れてしまっても構いません。けれど、それだけが哀しいのです。
【No.≠189 風ざわめく】
幼なじみの男の子から冒険に付き合わされる。高校生にもなってと呆れながら、私も浮き足立っていた。冷たい風が吹いて草がさらさらと奏でる。私の気持ちも風に乗って、言葉になって彼に届けばいいのに。男の子が私に向かって笑顔を浮かべる。さらさら、さらさら。茅と同じように心が揺れた。
【No.≠190 秘すれば花】
いつも幸せそうなあの子が暗い顔をする。「同じ班の男の子と一緒にお昼を食べるとね、嬉しいのにすごく苦しいの」彼女はそのことを不思議に思っているけれど、理由は誰にだって明白だった。なのに、今にも泣きそうな彼女の顔が綺麗に見えた意味を、慰めることもできない僕はわからずにいた。
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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652