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140字小説 No.≠156-160

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【No.≠156 夢うつつ】
高校最後の夏、彼が深い眠りについてから数十年が経ちました。時の流れまで止まったのか、少年の姿から成長することはありません。今日も一人で夜と朝の狭間をまどろみます。夢の中の彼は私と同じ老人の姿をしていました。「過ぎ去った青春だ」と笑っています。夢だとは承知です。夢だとは、

【No.≠157 月の標】
人口問題を解決するために、もう一つの地球が作られました。第二の地球にはお金を積んだ者、上流階級、才能のある人間しか住むことができません。作り物の住処から見る月と、本物の地球で死を待つあなたが見ている月は同じなのでしょうか。あの夜、一緒に見た月が今は綺麗に思えないのです。

【No.≠158 標の月】
もうすぐ地球は終わりを迎える。けれど、偽物の星に住むことを僕は拒んだ。君と生きた街で、君と過ごした証を見届けたかったのだ。死に損だと誰かは笑うだろうか。空には月が燦然と輝く。あの夜も僕達の不安を静かに照らしていた。僕の見ている光と、君の見つめる光が同じであることを願う。

【No.≠159 色明かり】
モノクロの町に色生みの老婆が訪れました。「私は歳を代償にして色を生み出します。町が美しくなるのなら、私が老いることも気に留めません」老婆は顔をシワだらけにしてほほえみます。色を取り戻した町は静かに時間が動き出します。寿命を迎えた老婆の姿には、少女の面影が残っていました。

【No.≠160 空白の駅】
この場所が無人駅になってから、もう何十年と経ちました。余生を過ごしに移住してくる老夫婦と、都会で夢を叶えるために出ていく青年が、出会いと別れが行き交う場所ですれ違います。駅そのものである私は、誰からも覚えられることはありません。それでも、私がここに在る意味は、きっと――

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652