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飲食140字小説まとめ③

【No.-111 三分間の幻】
カップ焼きそばにお湯を注いでからの三分間、湯気に亡くなった彼女の姿が見えた。懐かしい記憶が蘇ってくる。視界が曇ったのは煙のせいなのか、もう実在しない人に縋ったからなのか。彼女との思い出を僕自身の手で排水溝に流す。二人で分け合ったカップ焼きそばを、今では一人で食べるのだ。

【No.783 夢言葉】
「お」寝坊した私に彼は笑顔を向けた。「んー」ゆっくりとソファに座る。「お!」「ん?」彼がピザのチラシを指さす。「ん」「おー」適当に選んで猫と戯れる。言葉に嫌われた人類は一文字しか話すことができない。だからこそ、ふれあいが大切な世の中だ。「お?」彼の肩にもたれる。「ん!」

【No.784 ダイエットの心得】
ダイエットには決心が不可欠だ。諦めないという気持ちも必要。最後まで貫く意志も必要。健康的な細さを手に入れるために、無理や我慢をしないことも大切だ。途中で挫けないようにとにかく体力がいる。これは私が自堕落だからじゃない。よぉし、痩せるためにがんばって食べて栄養を蓄えるぞ。

【No.≠139 じどうはんばいき】
閑散とした商店街の片隅に『じどうはんばいき』と書かれた機械がありました。ディスプレイには【うで】や【あし】と表示されています。値段が高いのは【からだ】です。その下には【かた〜い】と【やわらか〜い】の種類がありました。今日も静かな夜に、ガタンという鈍い音が響き渡りました。

【No.-121 猫蜜】
料理店の売上が落ち込む。気分転換に飼い猫を吸っていると脚から甘い匂いがする。肉球を撫でれば蜂蜜がとろっと溢れ出てきた。レトルトカレーにかけると優しい口当たりに舌鼓を打つ。ヨーグルト、椎茸の含み煮、ジンジャーポークソテー。猫蜜をたっぷり使った新メニューでお店は大繁盛した。

【No.-122 エンパシー】
なんでもない日常や風景描写に潜むなにかが好きだ。今はもう見上げなくなった空が青いこと。大人になってからのさよならが美しいこと。あなたの瞳が永遠に閉じないこと。それらがいつか、当たり前を失ってしまうからなのかもしれない。もう二度と会えなくなる前に、もう一度、星々に願った。

【No.-123 冬菜のお味噌汁】
雪の中という厳しい環境で育つ雪菜は、生命力の強さを感じさせてくれる。冷たい現実から逃れるために、私はファンタジーな世界観が好きになった。心も、言葉も、声も、凍ったままでよかったのに。絶対零度の私の世界を溶かしたのは、毎日お味噌汁を飲んでくれるあなたの穏やかな表情だった。

【No.-126 Starry Sky】
「えび天がロケットに見える」お昼にそばを食べながら妻が呟く。確かに尻尾が燃え盛る煙のように思えた。他愛もない話を交わしながらボードゲームに勤しみ、文章を綴り、退屈だった毎日は思い出のインクで塗り替えられた。明日は幸せじゃないかもしれない。それでも生活は、ゆるやかに続く。

【No.-128 ループ&ループ】
神様の気まぐれで地球を作り替えるそうだ。「最期なんだから好き勝手やっちゃってよ。望めば何でも手に入るからさ」次の世界に人類はいらないから慈悲だという。あと数時間で地球は滅びる。何かが劇的に変わると思った。それでも、嫌いな奴は嫌いだし、真夜中に飲むコーラはとてもおいしい。

【No.-130 幸福な食卓】
結婚記念日を祝う。子ども達が作ったどんぐりのネックレス。妻が折った紙の花束。星々を砕いたふりかけでおこげを食べると、幸せな思い出が蘇ってくる。特別なことなんてなくてもいい。ただ、この先も一家団欒が続くのを願う。僕らが丁寧に彩った生活だ。何者にだって塗り返されてたまるか。

【No.787 自己肯定缶】
自己肯定缶が売っていた。千円と高めだけど何事もチャレンジである。なかなか入らないお札に苦戦して、取り出し口に引っかかった缶を意地でも取り出す。プルダブは頑丈で爪が剥がれそうなくらいだ。酷くまずい味にむせながらも飲み干すと、がんばった僕の心は自己肯定感で満たされていった。

【No.-134 感情制限】
「割り勘でいいよな?」無理に連れて行かれた居酒屋で、嫌いな上司が強引に訊ねる。僕の返事を待たずに怒った話、泣いた話、納得いかない話を延々と繰り返す。上司はひとしきり喋って平穏を保てるけれど、捌け口となった僕の不満は溜まっていく。感情が勝手に割られては平均化されていった。

【No.791 揚げ文字屋】
仕事で疲れたときは揚げ文字屋に限る。今日のおすすめは『お前もがんばってるよ』だ。どんなにありふれた台詞でも、創業当時から継ぎ足してきた言葉に絡めれば途端に味が増す。このお店は二度漬けを禁止していない。何度も、何度も、溜まった旨みを纏わせて、僕は元気の出る文字を頬張った。

【No.798 愛妻弁当】
愛妻弁当を食べるのもこれで最後になる。会社を辞める日、妻は泣きながらお弁当を作ってくれた。フタを開けると僕の好きなものが詰められている。不揃いな形のウインナー、脂身の少ないお肉、半熟の目玉焼き。どれも見栄えは悪いけど、僕のために身を削ってくれる。やっぱり妻の味は最高だ。

【No.-154 恵方に進む】
お皿を用意しながら、彼女が「恵方巻きは『ええ方マーク』が由来なのよ」と豆知識を披露する。日本発祥の文化に英語は使わないだろと茶化せば、気まずさをごまかすためなのか恵方巻きにかぶりつく。無言で食べ切れば願いが叶うという言葉を信じて。僕達の素晴らしき行く末よ、南南東へ進め。

No.-155 命だった
「このアイスケーキを二つに分けてさ、小さな方にイチゴを、大きな方にチョコプレートを乗っけたら、どっちに価値が──」「ねぇ、」命だったご馳走を前に、私達には今日があることを祝う。「溶けちゃうよ」「そうだね」ろうそくの火を消す。暗闇が灯る。「誕生日おめでとう」「ありがとう」

【No.-156 恋の一手】
高校の帰り道、幼なじみが急にグリコじゃんけんを始める。グーかパーしか出さないので僕の圧勝だった。けれど、ポケットから覗く小箱に気付いてとっさにパーを出す。チョキで勝った彼女が「チ、ヨ、コ、レ、イ、ト!」と頬を染める。あと、数歩の距離感。次に出す僕の手はもう決まっていた。

【No.-160 命を分け合う】
双子の姉とは高校生になっても仲が良い。なんでも半分こするほど私達は共有し合った。好きなお菓子、ファミレスの会計、嫌いな野菜、どしゃ降りの日の傘。彼氏だったものを森の奥深くまで運ぶ。泣きながら穴を掘る私の側で、姉は理由も聞かずに手伝ってくれる。「大丈夫、罪も半分こだから」

【No.-161 ノーチラス】
集落では年に一度、空っぽのコップから透明を飲む仕草をする儀式があると話す。満たすのではなく、失うのを目的にして心に流し込む。遥か昔、この場所は街だったらしい。集落を襲った『何か』を忘れるための所作だと言う。「風化するのは悪いことじゃないよ」溢れた涙から、潮騒の音がした。

【No.-162 恋の一口】
「ドーナツのまんなかをくり抜いたら鈴かすてらになるんだよ」バレンタインのお返しに、幼なじみから手作りの鈴かすてらをもらう。「二つが合わさったらあんぱんになるんだ」今はまだ微妙な距離感だけど、いつか、一緒になれることを信じて。ドーナツみたいに甘い、彼の片割れを口に含んだ。

【No.≠182 秋の甘さ】
好きな男の子が京都旅行から帰ってきた。お土産にもらったもみじの天ぷらは、塩漬けした葉っぱに、ゴマが入った衣をつけて揚げた伝統的なお菓子らしい。口に含めばやさしい甘さと香りが広がる。叶いっこない恋のような味だなんて。喉の奥に堰き止めている、彼への気持ちが溢れそうになった。

【No.≠199 別れの朝】
「夜が明けたら僕はこの村を去ろうと思います」篝火の側で星を眺めながら旅人が告げる。これまで朝が恋しかったのに、夜が終わってほしくないと思ったのは初めてだ。ホットミルクの中に涙が落ちる。もしも、朝のない国で生きることができたのならば、別れの夜明けなんて知らずに済んだのに。

【No.807 ジーバーイーツ】
風邪を引いたのでジーバーイーツを頼む。チャイムが鳴って両親を出迎えた。私の代わりに娘と遊んだり、好きな唐揚げを作ってくれる。「お代は孫の笑顔で充分だ」と笑う両親に、ひとり親の私はどれだけ勇気をもらっただろう。離れていても幸せと安心を届けてくれる、優しさの配達サービスだ。

【No.815 メランコリー】
朝の冷たい風を頬に受けながら、これまでの日記を読み返す。午後には美しい光を纏った水差しから夕暮れを飲み、眠る少し前に星型のビスケットを食べる。終わったっていい『今日』を日記に綴って、始まらなくてもいい『明日』をそれでも待っていた。おやすみなさい。どうか、悪くはない夢を。

【No.817 迎合】
都会から越してきた僕は女の子と仲良くなった。当時は気にならなかったけど、大人になった今、女の子の両親は神様だったという意味もわかってしまう。捨てたゴミの中身を知っていること。おばさんが妹に赤飯を炊いたこと。田舎に住んでいた頃を思い返す度に、生温い気色悪さが肌をなぞった。

【No.819 birthday song】
彼女は年齢に一つ足した本数のろうそくを誕生日ケーキに挿す。「生きた証を命に見立ててるんでしょ。自分で自分の命を吹き消すみたいで嫌じゃない」少なくとも、来年までは生きられるようにと。思い出に縛られないために、亡くなったら今度は減らしていく。彼女の命を、僕の息が吹き消した。

【No.828 四色問題】
兄に忘れたお弁当箱を届けると、幼なじみの先輩を見つける。最後列の左端。教室は違うけど私の隣の席だった。あと一年、私の誕生日が早かったら。あと一年、先輩の誕生日が遅かったら。私達は隣同士の席になっていたのかな。家も、クラスも、関係も、隣じゃなくて一緒だったらいいのに。

【No.829 決着の3歩目】
おいしいのはフライドチキンか卵かけご飯か、ニワトリとヒヨコが揉めていた。飼育小屋の中で決闘になった2匹を大勢のハトが見守る。背中合わせに3歩進んだら、お互いの方を向いて毛弾を飛ばす。「1…2…」ハト達が息を呑む。「3!」勢いよく振り返り、相手の頭を狙って──「?」「?」

【No.831 種も仕掛けも】
祖母は昔から手品が得意だった。幼い私を喜ばせようとミカンを消したときは、驚きよりも好物がなくなったことに泣いたっけ。そんな思い出も、私の顔も、祖母は忘れている。きっと、自分自身に手品を仕掛けてしまったのだ。記憶を失う魔法を。実は夢でしたなんて、種明かしもされないままに。

【No.836 野生電話】
野生の公衆電話も絶滅危惧種になってしまった。スマホやキャッシュレスの普及に伴い、エサの硬貨やテレフォンカードの減少がきっかけである。今はわずかな公共施設でしか飼われていない。お腹を空かせた公衆電話が鳴き出す。賽銭箱のお金を漁る姿を見ても、携帯を手放す気にはなれなかった。

【No.841 汽水域】
飲み物が入っていた空のペットボトルに、粉末タイプのスポーツドリンクを溶かしたら、果汁風味になっておいしいと彼氏が笑っていた。容器を洗わずに何度も、何度も使い回す。なぜこんな男を好きになったのか。苦い記憶が私の頭にまとわりつくけど、まぁ、水に溶かして薄めればいいのだろう。

【No.846 こい妬き】
たい焼きは頭から食べるか尻尾から食べるか、フードコートで真剣に話してる高校生のカップルがいた。初めは喧嘩していたのに、やがて頭と頭、尻尾と尻尾を組み合わせた最強たい焼きを生み出す。そんな愉快なやりとりを疎ましく思いながら、私は一人で寂しくたこ焼きを頬張るのだ。あちちっ。

【No.-166 寓話】
彼との別れはパスタの茹で方や、カルピスの希釈量といった些細で、些末な出来事である。きっかけはどうでもよかった。離れる理由がある、という理由が欲しかっただけなのかもしれない。飲めないコーヒーに気持ち悪くなる程の砂糖を入れた。苦いことは全て、不明瞭にしてきた後悔を飲み干す。

【No.-176 格付の街(正しい街の破片⑥)】
街に着くなり二種類のウェルカムドリンクが振る舞われる。どちらが高級だったかAとBの部屋に入って、間違えるとおもてなしのランクが落ちていく。世界中の料理、社交ダンス、鼓笛隊の演奏。二択を外し続けると、最後には偉い人が怒鳴り出す。「滞在する価値なし!」私は街を追い出された。

【No.-195空腹の街(正しい街の破片㉕)】
地響きがして避難するように促される。小窓から外を覗くと建物が地面に飲み込まれていく。街が望むものを与え続ければ、人々が願ったものが排泄される。轟音や異臭と共に金塊や宝石が吐き出された。深淵にも続きそうな穴を見つめる。街が人間の味を覚えるのも、時間の問題なのかもしれない。

【No.≠210 夢ひさぎ】
小説家になる夢を捨てきれずに、故郷から逃げ出した僕の元に母から手紙が届く。挫折してもすぐに帰れると思っていた故郷が遠くに感じた。あの日から数年、手紙は読むことができずにいる。何か不幸があったのかと思うと母を言い訳に、中途半端な夢を諦めてしまいそうになるのが怖かったのだ。

【No.853 驕る感情】
冴えない同僚からご飯に誘われたのに、私もお金を払うようにと催促してくる。「男のくせに割り勘なんだ」「え、割り勘じゃなくてもいいの?」同僚が喜んでレジへと向かい、私に会釈をして先に店を出ていく。帰り際、店員に呼び止められた。「お代は全て、あなた様の奢りだと伺っております」

【No.855 なめくじさい】
いつも明るい女の子が、最近は虚ろな目で性格もジメジメしている。ロングだった髪型は団子頭に変わって、よく見れば赤と青の紫陽花だった。遊びに来た女の子に塩を振ったスイカを差し出すと、一口食べた瞬間に体が縮んで倒れ込む。やがて、紫陽花から無数のナメクジがぼたぼたと落ちていく。

【No.860 わたしのアール】
「『苦虫を噛み潰したような顔』って言うけどさ、見たことある人っているのかな」いつも屋上にいる女の子が私に話しかける。「だって、噛んだ人がいないとそういう顔ってわからないじゃんね」何と返したらいいのかわからずに戸惑う。「私はあるよ。苦虫を噛み潰されたこと」女の子が笑った。

【No.865 りんごかじり】
りんごをかじるだけのバイトを始める。高収入だけど求める条件はすごく厳しい。歯並びが綺麗なこと。一口が多くもなく少なくもないこと。最低でも千個以上はかじること。気持ち悪くなりながらも次の作業場に運ぶ。職人がスマホの裏側に押し込むと、食べかけのりんごか小さくプリントされた。

【No.868 ドーナツホール】
教室で友人とドーナツを食べていたら、好きな男の子が近付いてくる。「俺も食べていい?」嬉しいけど、二時間も並んでやっと買えたドーナツだ。迷っている間に友人が半分こにして差し出す。仲良く笑う二人をドーナツの輪から恨めしく眺めた。甘い香りなのに、口に含めばなぜか苦い気がして。

【No.877 夕縁】
夕陽から抽出したコーヒーを口に含むと感傷が広がる。黄昏時に開店して、月明かりが灯る前に姿を消す喫茶店だ。彼の夢を嗤ったこと。お年寄りの鈍臭さを憎んだこと。涙を飲むことでしか癒せなかった渇きを満たしてくれる。生きる糧とするために。未練や、後悔すらも、カップに注いで溶かす。

【No.881 デザートデイズ】
ファミレスで店員さんが大盛のハンバーグを太った私に、苺パフェを小柄な女友達の前に置く。見た目的にはそう思うのが普通だろう。落ち込む私をよそに、若鶏のグリルを「これ、私が食べます!」と大声で頼む。女友達が私を見て悪戯っぽく笑った。一口、苺パフェを含めば甘酸っぱさが広がる。

【No.891 式日】
蛇口から流れる水を水差しに入れるだけで、それが美しいものだと錯覚できる。いつからだろう。ミネラルウォーターが飲めなくなったのは。彼が寝付けない私の隣に座り、グラスから飲みかけの水を飲む。唇を重ねた。最低な夜に睡眠薬を流し込む水の味なんて、あなたは何も知らなくていいのに。

【No.-207 狼煙】
将来は森の中に食堂を開きたい。年輪が綺麗な切り株の椅子に、春には京錦の鯉のぼりを看板代わりに飾る。甥っ子が成人したときはおいしい料理を振る舞って、一緒にお酒を嗜めるように願う。歳を重ねても全自動で未来はやってこない。だからこそ諦めない理由が如く、手動で夢を切り拓くのだ。

【No.904 恋るつぼ】
サラダを取り分けると褒められたけど、野菜嫌いだから私の量を減らしたいだけだ。なのに、男の子は「もっと食べれば?」と勝手によそう。空気が読めない癖に、左利きの私を左端に座らせたり、飲めないお酒をソフトドリンクに変えたり。私の気も知らないで、そういうところが全部……嫌いだ。

【No.905 ルノアール】
元カノ達が愛煙家だったせいで、嗜まないのに喫煙席と答えてしまう。食事を終えてからも、彼女は陰りのある表情をしていた。移動した禁煙席はどこか臭く、肺に淀みが溜まっていくのはなぜだろうか。別れる相手のことなんかどうでもいいはずなのに。未練を吸って、憐憫を吐く。思い出が燻る。

【No.906 濃淡蝕】
「どうせ死ぬなら濃くて短い人生がいいだろ」アルコール依存症で亡くなった父親が、度数の高い酒を好んでいたの思い出す。彼を否定したくて昔から味の薄いカルピスを作っていた。禁煙で震える手で息子の頭を撫でる。いつか自分も同じ結末を辿るのだろうか。粘りつくような、血の濃さを呪う。

【No.-211 食材の声】
私は食材の声を聞くことができた。初めこそ楽しかったけど、仲良くなった野菜達は調理するのが憚られるし、ご飯をよそえばお米達が「たった一粒の妹だったのに…」と涙を、いや、でんぷんを流すから食べにくい。プリンに愚痴をこぼしながら「僕でも食べて元気を出しなよ」のお言葉に甘える。

【No.-213 混ぜ淀む】
湯切りの苦手な彼が、茶こし付きケトルにカップ焼きそばと水を入れて沸騰させる。注ぎ口から熱湯を捨てて、やかんの中でかやくとソースを混ぜれば完成だ。そのまま食べれば容器でゴミ袋が汚れる心配もない。「君に手間はかけさせないよ」笑う彼を無視する。ケトルを洗う私の苦労も知らずに。

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652