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140字小説 No.≠181‐185
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【No.≠181 白い夜明け】
家出した女の子を泊めた日の夜明け、初雪がしんしんと街を彩る。駅まで送る道すがら、女の子が羽織ったコートの汚れが、雪の白さと対比して目立っていた。店のシャッターが開いて明かりが漏れ出す。中を見てはいけない気がして、それは、知らない女の子を泊めた僕の罪悪感なのかもしれない。
【No.≠182 秋の甘さ】
好きな男の子が京都旅行から帰ってきた。お土産にもらったもみじの天ぷらは、塩漬けした葉っぱに、ゴマが入った衣をつけて揚げた伝統的なお菓子らしい。口に含めばやさしい甘さと香りが広がる。叶いっこない恋のような味だなんて。喉の奥に堰き止めている、彼への気持ちが溢れそうになった。
【No.≠183 春の病】
大学の卒業式が終わり、親しくしてくれた先輩達の姿を見つける。新たな旅立ちを祝福するべきなのに、なぜか私の心は騒がしく唸って輪に入れずにいた。声をかけず遠くから様子を眺める。一歩前に出そうとしたその足が、桜の花びらを踏まないように。誰に対して言い訳してるのかもわからずに。
【No.≠184 電解】
ネットの中には声も、性別も、名前も、年齢も知らない友人が大勢いたのに、今では誰一人として関わりがなくなってしまった。少なからず側にいた旧友ともすれ違って、傷付けて、失って。歳を取るたびに記憶が色褪せていく。あれほど親しかった友人達は、実はデータの塊だったのかもしれない。
【No.≠185 花冷え】
成人式が終わってから、タイムカプセルを掘り出すために小学校を訪れる。僕を好きだと言ってくれた女の子には、控えめな面影なんて残っていなかった。茶髪で、ピアスを開けて、子どもを連れている。女の子の気持ちはもうわからないけれど、梅の花を眺める横顔が、とても、とても美しかった。
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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652