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感傷140字小説まとめ⑥

【No.-082 影繋ぎ】
遊歩道に伸びる影を見ると、彼女と付き合っていた夏をいつも思い出す。人前で手を繋ぐのがもどかしかった僕達は、夕陽で生まれた手のひらの影を重ねて、間接的に手を繋いでいた。今にして思うとそっちの方が恥ずかしい気もする。夜になれば、否が応でも離ればなれになってしまう関係だった。

【No.-083 スピカ】
一生に一冊、透明の本を持って命が芽吹く。自分自身では読めないけど、亡くなった後に他の人だけが読めるようになるらしい。ページ数が少なくても、文字数が足りなくても、その人にとっては大切な物語だ。今年も命が積み重なる。確証はない。でも、僕の人生の一行目が書き込まれた気がした。

【No.-084 モノローグ(藍煩い①)】
一年に一度、二十四人に罹る藍煩いは、寿命を僅か一日にしてしまう。発症すると瞳が藍色に染まることから名付けられている。原因も、意味も、何もかもわかっていない。だけど、救いがあると願って。午後二時、日記に残す。これは、僕を含めた二十四人の生き方と、二十四人の死に様の物語だ。

【No.-085 牛乳もち(藍煩い②)】
おやつの時間、娘と一緒に牛乳もちを作ったことを思い出した。片栗粉と砂糖、牛乳を入れて混ぜて、水の張ったボウルに落とす。固まってきたら黒ごま、きな粉をかけて完成だ。午後三時、娘と作ったおやつを、今度は孫と並んで作る。好奇心旺盛なのか、私の藍色の瞳を孫が愛おしそうに撫でた。

【No.-086 瞳の標本(藍煩い③)】
標本作りが得意な彼と夕凪公園に赴く。夜には天体観測で賑わう森林で、彼は愛おしそうに藍色の蝶を眺めていた。午後四時、ひぐらしが鳴く。亡くなったあとにも意味が残るなら、それは素敵なことなのかもしれない。どうか、私が死んだら体も、藍色の瞳も、全部全部。君の標本にしてください。

【No.-087 帰郷(藍煩い④)】
空き家となった実家を片付けるために、何十年も足を踏み入れなかった故郷へ戻る。小説家を夢見て飛び出した僕は、疎遠となっていた両親に最期まで会うことはなかった。何も得られないまま、明日も、将来も、人生も失ってしまう。午後五時、駅前の鐘が鳴る。帰ろう。帰る場所なんてないのに。

【No.-088 橙が沈む(藍煩い⑤)】
夕日の光が藍煩いの原因になると、根も葉もない噂が出回ったのはいつのころからだろう。別に信じてるわけじゃないけど、私の中学校生活の、そして人生最期の思い出作りだった。午後六時、仲の良い友人達と星見海岸に訪れる。夕日を壊すために、虹色のペットボトルロケットを空に打ち上げた。

【No.-089 味の記憶(藍煩い⑥)】
彼女と一緒にカレーを食べる。「私、二日目の方がもっと好き」ふと、僕に次の日が訪れないことに気付いて、彼女が口を噤む。「明日の夜も食べようね」慰めではない。僕特製のレシピは彼女が覚えているから、味の記憶は残り続ける。午後七時、最期の晩餐だ。「いただきます」「いただきます」

【No.-090 夢灯籠(藍煩い⑦)】
星見海岸で灯籠流しが催される。藍煩いで亡くなった犠牲者の魂を弔うために、親族や友人達が大勢集まった。灯籠の光が僕の藍色の瞳を暴き出す。性別、年齢、国籍。何もかも違っていいはずなのに、今では瞳の色で差別される。午後八時、みおつくしのように光る灯籠に、藍色の蝶が寄り添った。

【No.-096 月に染まる(藍煩い⑬)】
藍煩いになると瞳が藍色に変わる理由は、月の光が蓄積したものと考えられている。だから僕は発症したのかもしれない。月のように繊細な、彼女の姿をずっと見ていたから。午前二時、夕凪公園で天体観測を始める。いつか僕も星になれるのだろうか。そのときは、彼女に見つけてほしいと願った。

【No.-098 ほんとうのさいわい(藍煩い⑮)】
藍煩いに罹った私は水族館や美術館、交通機関などを無料で利用できる。だけど、満たされない部分もあった。終電もなくなった無人駅で、私と彼は星空を見上げていた。『けれどもほんとうのさいわいは一体なんだろう』午前四時、銀河鉄道の夜の言葉である。本当の幸いは、すぐ隣にあったのだ。

【No.-099 別れの夜明け(藍煩い⑯)】
海外赴任中の夫が帰って来る前に、私の寿命は尽きてしまう。午前五時、藍色の瞳から流れる涙は藍色なことに気付く。月がそんなに綺麗じゃないことも、夢があるから偉いわけじゃないことも知った。けれど、朝のない国に生まれることができたのならば、別れの夜明けなんて知らずに済んだのに。

【No.-103 ミディアムフィクション(藍煩い⑳)】
最期の日を父が映像に収める。私が生まれた年の夏に、母も藍煩いに罹ったと聞く。父の瞳に私は映っていない。私が纏う母の面影を、ずっと、ずっと。虚しさもドキュメンタリーにしてしまえば、何もかも嘘っぱちでいられた。午前九時、私の死が永遠に生きていく。私の生が、永遠に死んでいく。

【No.-104 ラピズラズリの瞳(藍煩い㉑)】
美容室で髪を梳いてもらう。鏡に映った藍色の瞳から視線を逸らすと、美容師のお兄さんがほほえむ。髪には記憶が宿るという。だから失恋したときには髪を切るイメージができたそうだ。お兄さんの左手の薬指につけられた指輪が目に入る。午前十時、ラピスラズリのように私も愛してほしかった。

【No.-105 命にふさわしい(藍煩い㉒)】
河川敷に座って絵を描く。瞳が藍色に変わっても、見える景色は変わらない。僕を見るみんなの目が変わっただけだ。画家になりたい。という夢の見過ぎで視力が悪くなる。午前十一時、まっしろなキャンバスに、まっしろな絵の具を塗りたくった。これほど命にふさわしい遺作が他にあるだろうか。

【No.-108 折り命】
私が折り紙で作ったものには命が宿る。魚を折って部屋を水族館にしたら、母が悲しい表情を浮かべていた。大人になった今、その意味を考える。母も祖母も歳の割にはシワが多かったこと。雨の日は家で過ごす決まりがあったこと。父も祖父もいないこと。全部、命で遊んだ報いなのかもしれない。

【No.-109 哀瀬】
「『恵まれた人生じゃなくてもいい』と思える人はさ、そもそも最初から恵まれた人生を送ってるんだよ」一夜限りの関係を持った、見ず知らずの女はタバコの煙と愚痴を吐く。好きの反対は無関心という道理も、『辛い』に線を一本足せば『幸せ』になるという理屈も、君の嫌いな言葉遊びだった。

【No.776 黎明期(通算1000作目)】
麗筆な字で綴られた手紙が、海辺のサナトリウムに流れ着く。彼女が病に伏せてから、物語の詰まったメッセージボトルが漂流してきたのだ。不思議で、繊細で、感傷的な物語を読み続けていれば、いつか目を覚ますと信じて。今、千個目の物語を拾い上げる。ふと、彼女が呼ぶ声を聞いた気がした。

【No.777 R.I.P.】
心臓の形がそれぞれ違うのは、人は思いから先に生まれるからだ。ハート型、星型、動物の姿も存在した。胸を撫でる。亡くなった彼女から移植された、四つ葉のクローバーの形をした心臓がズクズクと脈を打つ。その度に記憶が血と一緒に駆け巡る。まだ生きている幸運を、彼女の代わりに祈った。

【No.778 プラトー】
私の瞳には海が宿っている。目を閉じれば波を打つ音が聞こえて、暗闇の中で深度が増していく。再び目を開けたときは視界に海が広がった。シーラカンス、オウムガイ、アノマロカリス。太古の生命体に想いを馳せる。数億年後の私にも、どうか瞳の海と同じく、おだやかな日々が訪れますように。

【No.≠106 命細工】
飴細工で作られた金魚が、どんどろりんと溶けていきます。ぽたりぽたぽたと流れる赤や橙が混ざり合って、金魚の命が崩れていきます。私は飴を掬って口の中に含みます。金魚が肺で泳いでいるかのように、心臓はずくずくずくと高鳴ります。涙が溢れてきます。飴は少しだけ、苦い味がしました。

【No.≠107 忘月忘日】
「今日は中秋の名月なんだって」「でも、必ず満月になるとは限らないんでしょ」「なんで知ってるの?」「前にも聞いたから」「そうだっけ?」「色んな女と遊んでるから忘れたんじゃないの」「君こそ、違う男から聞いたんだろ」「そんなことないよ」縁側に座って、別れの夜明けを待っていた。

【No.≠108 波のゆくさき】
ストレスで会社を無断欠勤した。飲食店で窓際の席に座って外を眺めると、通勤で行き交う人の光景が波を打つ。引いて、寄せて、色褪せて。電話が鳴るのを無視しながら、波のゆくさきを見守った。どうか、あの人達の心の中だけは、凪いだ海のように穏やかでありますように。いってらっしゃい。

【No.≠109 燻る】
彼の口から吐かれるタバコの煙を吸うのが好きだ。苦くて臭い。けれど、同じ空気を吸っているという事実だけが、私達を生かしているのだと錯覚できる。浅く、深く、害のある副流煙を吸いながらベランダに佇む。静かに、緩やかに、やがて私達は病葉のように、色褪せては輝きを失っていくのだ。

【No.≠113 音信不通】
「もしもし。こっちは思ったよりも良い場所だよ。懐かしい人達にも会えたし、美しい景色ばかりだしさ。だから、あなたは何十年後かにおいで」『お掛けになった電話番号は使われていないか、電波の届かない場所にあります。お掛けになった──』あぁ、そっか。天国って電波が届かないんだね。

【No.≠114 別れの逃避】
彼に対する愛想も尽きていた。あの人から避けるように朝帰りしたとき、商店街のシャッターが少しずつ開いていった。お店から淡い光が漏れ出す。どうしてか、中を見てはいけない気がして慌てて視線を逸らした。それは彼から、あるいは自身から逃げた私の、後悔や罪悪感だったのかもしれない。

【No.≠115 逃命】
朝、目が覚めたら透明になりたいと願う。みんなから見えず、みんなから気付かれず、みんなから取り残されて。死んでしまうのは悲しいから、せめて、誰もが私のことなんて忘れてしまえばいいのに。夜、目を閉じると私の輪郭が浮き彫りになっていく。その度に、心が透明に濁り出すのを感じた。

【No.≠117 群青散花】
数年前、彼女が花の髪留めを羨ましそうに眺めていた。黒くて、とても長い髪が揺れていたのを思い出す。こっそりと買っては、そのまま渡す機会はなかった。彼女のお見舞いに訪れる度に、使う必要のない花の髪留めがバッグの底で息を潜める。薬の副作用で抜けてしまった、彼女の髪を見つめた。

【No.≠122 色織りの彼女】
魔女に色を奪われた地で、彼女は機織り機を使って色を紡いでいます。ある日、彼女から手紙が届きました。『ほんの少しの橙と、肌色があるので私は大丈夫です。だから心配しないでください』彼女は今でも色を紡ぎます。いつか全ての色を取り戻したら、みんな、夕日の美しさを思い出せるはず。

【No.≠125 夕華鏡】
手作りの万華鏡を覗き込む。「見て。この角度がすごく綺麗なの」彼女は万華鏡を回さずに、一つの光景ばかりを楽しむ。目の前では夕日が街を覆い隠そうとしている。すぐ近くに綺麗な光があるのに、絶え間ない永遠の一瞬しか見えていない。彼女は作り物の美しさを、ただ、筒に閉じ込めていた。

【No.≠126 月虹】
「月が綺麗だよ」と彼からメールが届いて、カーテンを少しだけ開く。『違う場所で同じ月を見ている』と言うけれど、私にはそう思えないのだ。私が見ている月は偽物かもしれない。なんて言ったら、彼は笑うだろうか。本物じゃなくてもよかった。偽物でも、彼と同じ光を見ていられたのならば。

【No.≠127 虹月】
『宇宙船の窓から地球が綺麗に見えました。あなたは今でも私を好きでいてくれるでしょうか。それだけが不安です』地球にメッセージを送り出す。ランダムに選ばれた人達が月の移住計画の実験台にされる。結果がどうなろうが、私はもう戻ることはできない。赤く染まった地球を横目で見ていた。

【No.≠130 透明な縁】
知り合いを六人介せば、世界中のどんな人にでも行き着くそうだ。幼稚園のときに好きだった男の子。本当は嫌いだった高校の同級生。夢の中でだけ会える先生。何人の『誰か』を経由すれば、大切な人達に辿り着けるのだろう。そんなことを秋の夜長に考えてみては、名前も知らない人達を思った。

【No.-111 三分間の幻】
カップ焼きそばにお湯を注いでからの三分間、湯気に亡くなった彼女の姿が見えた。懐かしい記憶が蘇ってくる。視界が曇ったのは煙のせいなのか、もう実在しない人に縋ったからなのか。彼女との思い出を僕自身の手で排水溝に流す。二人で分け合ったカップ焼きそばを、今では一人で食べるのだ。

【No.-112 月の瞳】
彼女の瞳には月が宿っている。大きくて、静かな光が揺らめいていた。実はこの世界に月なんて存在しない。彼女が空を眺めている間だけ、瞳の月が空に映し出される。目を逸らしているときは僕が偽物の光が用意していた。共犯者めいたように彼女が目を細める。満月だった瞳が三日月に変わった。

【No.-113 泥塗れ】
仕事もせずに絵描きを目指している彼に「贅沢は言わないから、慎ましく生きていたい」と皮肉を込めた。彼はキャンバスから目を離さずに「慎ましく生きる事が贅沢だと思わない時点で、実に贅沢だと思うよ」と吐き捨てる。どろどろに腐敗した絵の具が、私達の行く先を暗示しているようだった。

【No.-115 落とし夢】
私の手で触れた落とし物には命が宿る。といっても、持ち主の元へ帰っていく程度だ。足下には誰かの夢が転がっていた。昔は私にも夢があったっけ。どうか、本当に叶えたい人の元へと帰れるように願う。ふわりと浮かんだ夢が私の胸に辿り着く。とてもあたたかくて、とても、懐かしい夢だった。

【No.782 デジタルフィクション】
昔と比べて携帯電話はだいぶ発達した。時計も、カメラも、財布も、メモ用紙も、カレンダーも、計算機も、スケジュール帳も、音楽プレーヤーも、今では小さな機器に詰まっている。だけど、全てが手元に収まるものなのに、その全てが手元からすり抜けていくように感じるのはなぜなんだろうか。

【No.≠138 心倣し】
嫌な記憶がこびりつく実家を飛び出した。カメラ、財布、ギター。持ってきたのはそれだけ。制服のまま知らない海岸へと行き着く。父さんが好きだった海のようになれたのならば、母は私を愛してくれたのだろうか。ザザン、ザザン。と寄せては引いていく波のまにまに、私の心は深く凪いでいた。

【No.-118 分散和音】
一緒に楽しんでいたゲーム仲間も少なくなった。私の今までが否定されたようで、正しさを判断する目が濁ってしまう。もう遊んでいる場合じゃないのかもしれない。失った子供心は賽の河原で待ちぼうけしていた。けれど、会わなくなっても、趣味が変わっても、どこかで元気にやってるといいな。

【No.-119 美しい鳥達】
ラジオを聴いていると二人の女性が創作の話をしていた。スランプ撃退法。作品タイトルの名付け方。小説執筆論。ゆるっとしたおはなしは気持ちが軽くなる。「みんな、ではなく。だれか、の心に残る一文を」縋るようにどちらかが呟く。光だって、闇だって、後ろ向きに肯定してくれる気がした。

【No.-122 エンパシー】
なんでもない日常や風景描写に潜むなにかが好きだ。今はもう見上げなくなった空が青いこと。大人になってからのさよならが美しいこと。あなたの瞳が永遠に閉じないこと。それらがいつか、当たり前を失ってしまうからなのかもしれない。もう二度と会えなくなる前に、もう一度、星々に願った。

【No.-123 冬菜のお味噌汁】
雪の中という厳しい環境で育つ雪菜は、生命力の強さを感じさせてくれる。冷たい現実から逃れるために、私はファンタジーな世界観が好きになった。心も、言葉も、声も、凍ったままでよかったのに。絶対零度の私の世界を溶かしたのは、毎日お味噌汁を飲んでくれるあなたの穏やかな表情だった。

【No.-124 命を描く】
額縁描きに絵を頼む。そのものではなく、絵を飾る額縁の方を描いてもらうのだ。登場人物の物語を彩るように、水彩で象られた額縁が淡い明かりを生み出す。彼女の手にかかればどんな後悔も、未練も、額縁に飾って思い出に仕立てる。光を直視できない人にとっての、安らかな救いとなるように。

【No.-125 フラクタル】
坂の上の研究所で色の実験をしている変わり者の学者がいた。この世界には白と黒の二色しかないのに、新たな色を生み出そうとは馬鹿な考え方である。何度も、何度も、何度も、失敗を繰り返して、今までの積み重ねが無色透明になっても探求は続く。いつか、世界中がいろんな色で溢れるように。

【No.-127 アンリアル】
死ぬ前に達成したいことをリストに書き連ねる。未練や後悔がないよう生きるための行為なのに、全てが終わったら気兼ねなく死ねると思ってしまうのは不可解だ。ひとつずつ、区切りをつける様は生前葬のようで面白い。死せずして生まれ変われる演劇みたいに、人生は何度だってやり直せるはず。

【No.-128 ループ&ループ】
神様の気まぐれで地球を作り替えるそうだ。「最期なんだから好き勝手やっちゃってよ。望めば何でも手に入るからさ」次の世界に人類はいらないから慈悲だという。あと数時間で地球は滅びる。何かが劇的に変わると思った。それでも、嫌いな奴は嫌いだし、真夜中に飲むコーラはとてもおいしい。

【No.-129 グランドエスケープ】
今日は皆既月食だそうだ。なんとも不思議な事で、欠けているのに、満ち足りていないのに、人々は嬉しそうに夜の帳を見上げる。不完全だって、歪んでいたって、惹かれるものは存在した。うつむきながら、私は水溜りに映った月を眺める。特別じゃなくても、きっと、救いはどこかにあるはずだ。

【No.≠141 祈り子】
若い夫婦がベビーカーを押していた。すれ違い様に目を向けると赤ちゃんが人形だと気付く。子宝に恵まれない人や子どもを亡くした人が、人形を代わりにする話を聞いたことがある。それはきっと呪いではなく、確かな光なんだろう。歳を取らない分、あの家族に思い出が積み重なることを願った。

【No.≠145 星借り屋】
『また一つ、宇宙から星が消滅しました。依然、原因究明には至らず──』星借り屋さんに頼んで星を貸してもらう。カーテンで遮られた部屋が紛い物で満たされていく。奪った光は私の目には眩し過ぎた。欲しがるだけ欲しがって、何も返せずにいるのに。それでも、希望とも似た光に縋っていた。

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