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映画『偶然と想像』濱口竜介監督

濱口竜介監督の『偶然と想像』をシアターで見たくて、『悪は存在しない』で都内のあちこちで監督特集が上映されたのに『偶然と想像』はなぜかなくて。唯一上映されるという大阪にあるシネ・ヌーヴォに東京から新幹線に乗って観に行ってきました。

シネ・ヌーヴォ自体関西の友人たちからおすすめされていて行きたかったので、今回思い切って行ってよかったです。素敵な映画館でした。

シアタールームの天井もすごかった・・・じっくり見れなくて残念。また行けたらいいな。次はだれかと。



あらすじ

濱口竜介監督の初の短編集。
偶然をテーマにした3つの物語。
タクシーの中での親友の恋バナ、慎重な大学教授の失脚を狙う大学生が教授の著書のファンの同級生に色仕掛けを頼み・・・、20年ぶりに偶然エスカレーターですれ違った高校の同級生・・・なんてことのない親しい者同士の対話から一転して思いもよらぬ方向へいきなり進んでいく。思わず笑ってしまったり、緊迫したり、先が読めない面白さ。劇中で流れるシューマンのピアノ曲集『子供の憧憬』とのコントラストの驚き。

第一話「魔法(よりもっと不確か) 」

美しいシューマンのピアノ曲がより先の読めない、どういう話に展開していくのかと、わくわく感が増した。
親友を自宅まで送ると突然タクシーを引き返し話が一転、どこに行くのかと思ったらそんな偶然・・・
気持ち悪い。とても気持ち悪いふたり。
駄目に決まってるでしょう。
二つの未来が用意されていて、そちらを選んでよかった。
とても気持ち悪かったのに忘れられず、翌日もずっと第一話を考え続けて、もう一度観たい。一番忘れられない作品。

第二話「扉は開けたままで」

とても慎重だったのに、どちらも変態すぎて、さらにそんな偶然?という偶然が起き芥川賞を受賞した教授は失脚、女性も離婚、なのに仕掛けた本人は幸せに・・・
終始きしょ、きっしょ!と心の中で思っていた。笑った部分もあったが、何とも言えない結末に。
キスを避けていたから余計ラストのキスが際立つ。おそらく復讐だろうな。

第三話「もう一度」

同窓会に細馬教授が出演されている。エスカレーターで偶然すれ違うなんて劇的な偶然。
偶然から思いもよらない展開になっていくのはこの第三話が一番驚いたけど、すごくよかった。勘違いから素敵すぎる偶然。
ラストもう一度エスカレーターを上がり追いかけて伝える。些細なことで関係のないこと。でもそれがすごく素敵だった。

Twitterで目にした噂の『偶然と想像』ごっこはこれだ、って嬉しかった。私も誰かと『偶然と想像』ごっこしたい、と観た方に伝えたら仙台駅エスカレーター多くてどれかわからなかったと聞いて、難易度高め。

感想まとめ

シューマンに驚き、気持ち悪かったはずなのにもう一度観たくてたまらない。
偶然も自分は必然的に起きると自分は考えているので、どの物語も起きるべくして起きた偶然なのかなと思った。
観賞したひとたちと本作品を語りたい。
近いうちに『悪は存在しない』を観ます。最新作の観賞前に観られてよかったです。






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