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ヴィパッサナー瞑想体験記Day1 ~ドキドキ・いざ開始してみたら・・・~

自分の内省のために、以前他の方がオススメしていたヴィパッサナー瞑想を体験しました。
ヴィパッサナー瞑想は、10日間、完全にデジタルツールからも遮断し、ひたすら瞑想をし続けるためのコースがあり、この数年間いつかは、いつかはと思っていました。
本当に人気で申し込み開始すると1-2日間でキャンセル待ちになるほど。今回も申し込み開始日当日の申し込みを忘れていたらすぐにキャンセル待ちになってしまい、キャンセル待ちをしていたら通ったので、タイミングがきたって事かな?と参加にいたりました。

「ものごとをありのままに見る」という意味のヴィパッサナーは、インドの最も古い瞑想法のひとつです。この瞑想法は2500年以上も昔、インドで、人間すべてに共通する病のための普遍的な治療法、すなわち「生きる技」として指導されました。

日本ヴィパッサナー協会HPより

前日オリエンテーション

夕方に集まり、ヴィパッサナー瞑想を参加するに当たっての決まり事、誓約事項の説明があり、そして10日間参加することに決意したならば宣誓(サイン)します。

ヴィパッサナー瞑想には、シーラと呼ばれる5つの戒律があり、それに加えて大事な宣誓事項があり、10日間遵守することが義務づけられます。

5つの戒律(シーラ)
・生き物を殺さないこと
・盗みを働かないこと
・一切の性行為を行わないこと
・嘘をつかないこと
・麻薬・お酒類を摂取しないこと

聖なる沈黙
・10日目の朝まで一切のコミュニケーションを禁止する
 (発言だけでなく、アイコンタクトや身振りの非言語含む)

その他
・10日間は施設内から出ることを禁止する

サインをしたのちに、気が散るものは全て回収されます。
携帯電話はもちろんのこと、車の鍵、ノート、PC、電子機器全般、そして書籍もです。この10日間は、聖なる沈黙のもと、徹底的に瞑想に向き合う環境を作ります
男性約20名、女性約30名の参加者がいましたが、施設内は男性ゾーン、女性ゾーンと完全に分けられており、また参加者同士も聖なる沈黙で一切のコミュニケーションが禁じられるので、一人で瞑想に向き合う環境になります。

ヴィパッサナー瞑想初日がスタート

前日のオリエンテーションで最初に実施する瞑想の説明を受け、アーナパーナ瞑想という瞑想法からスタート
初日に実施する内容は、座ったら「鼻だけで呼吸を行い、鼻を通る呼吸にだけに意識を集中させる」というもの。
注意深い心を育むために、範囲はあえて狭く、鼻を通る空気にのみ意識を向けるとのことです。

1日のスケジュールはこちら
4:00 起床
4:30 自主瞑想(瞑想ホールまたは自室)
6:30 朝食・休憩
8:00 グループ瞑想
9:00 自主瞑想(瞑想ホールまたは自室)
11:00 昼食・休憩
13:00 自主瞑想(瞑想ホールまたは自室)
14:30 グループ瞑想
15:30 自主瞑想(瞑想ホールまたは自室)
17:00 ティータイム・休憩
18:00 グループ瞑想
19:00 講義・瞑想
21:00 終了
毎日約10時間もの瞑想。しかも朝4時半から。
このタイムスケジュールを見て10日間やっていけるか、早速不安が・・・

出だしから躓くスタート

早朝の4:00に「ゴーン・ゴーン・ゴーン」と鐘の音が鳴って起床。
無事に起きることができ、そのままベッドでストレッチを行い、そして外の手洗い所で顔を洗ってスッキリさせ、4:30~6:30の自主瞑想がスタート。

今まで1時間の瞑想はしたことあるが、2時間は初めて。。。
しかも4時起きの寝起きの瞑想。
はい、1時間でダウンして、もう1時間はベッドに寝てしまいました。(その日の講義でグサリと刺されることに)

6:30に朝食の時間。
予想はしていたけど、質素な内容で玄米とにんじんを細切りしたものと、そしてほとんど味がしない味噌汁。まぁそうだよね、食事を楽しみにきたわけじゃ無いんだし、食欲は瞑想の邪魔だもんなぁ。

でもお代わりは自由だから量は自在。しっかりエネルギーをつけようとちょびっと多めに食事する。(これも夜の講義でグサリと刺されることに)

日常の中での瞑想の限界

さぁ、いよいよ8:00から瞑想の連続がスタート。
瞑想ホール(小さな体育館のようなところ)に全員集まり、瞑想を開始する。11月の終わり、換気のために窓を開けているのに、なんだか暖かい。なんと床暖房がついている。このじんわりくる暖かさはありがたい。

初日の瞑想は、鼻だけに意識を向けて、呼吸に集中するだけ
いざ始めてみると、雑念がどんどんどんどん湧いて出てくる。過去のことであったり、未来のことであったり。特に前後含めると約11日間音信不通になっているので、「あれ大丈夫かな、そういえばこれしないと、あっ今度こんなことやってみるといいな」等、今取り組んでいることの不安だったり、アイディアだったりがどんどん湧き上がってきます。

今までも瞑想には取り組んできました。なので初めての人よりは全然慣れていると思います。ただ、なぜ今回これほどまでに雑念がとめどなくあふれてきたかと思いかえしてみると、「日常の中での瞑想の限界」を感じました

日常が確立されている中で、その一部の時間だけ瞑想をする。または、瞑想の講座やリトリートに参加して週末2日間瞑想し続けたとしましょう。それでも、日常のペースを大きく影響を与えることはないと思います。
でも、ヴィパッサナー瞑想は10日間、音信不通の状況を作り、「日常の中での瞑想」、言い換えると「日常のペースがコントロールできる中での瞑想」ではなく、「瞑想のみが日常」になります

そうすると、自分にとっての「普段の日常」に対する気持ちが、瞑想中にどんどん雑念として湧き上がってきます。最初は不安であったり
それが自分が日常の中で頭の中で考えていること、それだけ普段は思考がぐちゃぐちゃなんだなぁと気づかされました。

そして湧き上がってくる雑念ももうめちゃくちゃ。
過去の嫌なことが浮かび上がったと思ったら、いつかは〇〇に旅行行きたいなぁと切り替わったり、そしたら過去の思い出が浮かび上がったり、「夢」って言葉がでたら福山雅治の「はつ恋」(夢のような人でした♪)が流れてきたり・・・

小さな一点の集中により引き出される心の現実

雑念にもう振り回されっぱなしの瞑想。
これにはもう一つ理由があり、初日のアーナパーナ瞑想では、意識を向けるのは鼻の一点のみです。(正確に言うと上唇の上から鼻の入り口の部分含む)

今まで自分がやってきた瞑想は、呼吸の流れに意識を向けるものでした。(鼻から入って肺を抜けて、その際に横隔膜を動かしてまた出ていく、この流れを感じるもの)
またはボディスキャンのように自分の肌の感覚であったり、体の内側の感覚を上から下まで感じるもの。

対象がある程度のサイズ感であったり、または一連の流れを感じるので、比較的集中しやすいのです。
でも今回の瞑想は鼻だけ、ひたすらその小さな箇所一点のみに意識を向け続けないといけないので、より集中力が問われます。そして簡単に意識がそらされてしまうのです。。。

そして、初日厄介だったのがキングダムの存在。
もうふとするとキングダムの色んなシーンが湧いて出てくる。

王騎将軍はもちろんのこと、いきなり「ダン、ダダダダダダン」という太鼓と掛け声が聴こえたり。
エピソード1から4まで色んなシーンが駆け巡ってきました。。。これは本当に大変でした。



色んなシーンがとめどなくわき上がってくる・・・

全身に様々な痛みがわいてくる

そしてもう一つ大変だったのが、クッションの上に座り続けることの体の痛さ。
普段デスクチェアに慣れ親しんでいるし、瞑想も椅子でしていたので、背中や腰やお尻、脚などいろんなところが痛くなる。その都度体を動かしたり、体育座りにして休憩したりと、ここでも集中がとぎれることが多かったです。

そんなこんなで私の初日の瞑想は、雑念(特にキングダム)と痛みに翻弄されて終わりました。。。

1日目講義(一部)

各日にちの最後は、ゴエンカ氏の講義が1時間半ある。
このヴィパッサナー瞑想は、ブッタ(ゴータマ・シッダッダ)が悟りを開くのに実践した瞑想であり、悟りをひらいたのちに多くの人に伝えてきた、苦悩から解放され、安らぎと調和と幸せな人生を実現するための実践法であり、この実践を取り組む意味が語られていました。
毎日、有意義な話しと、そしてこの10日間で生徒に起きる心境などをユーモアも交えて伝えられました。それぞれ一部をお伝えしたいと思います。

川の向こう岸にいい町があるとする。向こう岸の町の人はこっちのことを見ているので知っている。
そしてその町に行ったことがある人が、「あの町はすごくいいぞ!」と言ってきたので、「私も行きたい!!」と川沿いで、「どうか行かせてください、お願いです、神様」とどれだけ懇願しよう、泣き出そうと、祈ろうとも向こう岸の町に行くことはできない。
向こう岸の町に行くためには、川を渡らないと行けない。ではどうやって川を渡るのか、架け橋が必要である。この架け橋がヴィパッサナー瞑想である。

瞑想法には色んな種類があるが、この10日間は、他の瞑想法や宗教の儀式、太極拳などの習慣は全てやめて、ヴィパッサナー瞑想に集中してもらう。
馬に乗っているときに、別の人に「この馬いいぞー」と言われ、その馬を試そうと今乗っている馬と紹介された馬をまたいで乗馬したら危険。
同じように船に乗っているとき、「この船いいぞー」と紹介された船にまたいで乗っていたらもっと危険。

ヴィパッサナー瞑想は心の手術である。
ただし、外科手術であれば医師がしてくれるのだが、この心の手術は自らの手で行わないといけない。
そして、自ら切ると心の膿が沢山出てくるだろう。それは悩み・葛藤であったり、苦痛といった形で現われる。そして、外科手術の麻酔のような便利なものはない。
途中で止めたくなっても、もし外科手術中に意識があったとして、「先生、もうこの辺でいいです」と臓器を切っている途中で言っても、止めてくれる医者などいないだろう。なぜなら途中で止めると危険だからである。
ヴィパッサナー瞑想に参加するときに、家庭や仕事のことを置いて、そして先日も10日間この施設に留まると決意して宣誓しただろう。
誰かが心の手術を代わりにすることはできない。また、誰かが代わりに薬を飲んでも意味はない。自ら進めていくしか無いのだ。
コースが始まると、逃げ出したくなる生徒が出てくる。苦痛も出てくる。それでも10日間やり続けていけば苦悩から解放され、幸せに生きる光が見えてくる。辛抱強く、粘り強く取り組め。

初日を終えて、夕飯が出ないことにはもう気づいただろう。(新しい生徒は果物が支給)
そうすると「よーし、腹が減っては戦はできない!お昼に沢山食べよう!!」と思う生徒が出てくる。止めなさい。3/4にとどめなさい。それが瞑想のためになる。

うぅ、グサリ

これだけ瞑想が続くと、自主瞑想の時に「よーし、1時間は頑張った。よくやっているぞ自分!」と思って、疲れたから残りの時間を「少し横になろう、大丈夫、意識は呼吸に向けている」と布団をかければ、10分後には呼吸がいびきに変わり、それを聞いた他の瞑想者も自室で横になり、いびきの連鎖が起きて、いつの間にかいびきセンターの完成だ、ということになる。休憩は5分までにしなさい。

また、グサリ。
明日から真剣に取り組もう・・・

ヴィパッサナー瞑想体験記Day2 ~疲労と心に翻弄される~


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