直海 玲

沖縄県で産婦人科医をしています。実際に産婦人科を受診するのは敷居が高いと思っている方に…

直海 玲

沖縄県で産婦人科医をしています。実際に産婦人科を受診するのは敷居が高いと思っている方にも、読むだけで役に立つ情報を発信したいです。

マガジン

  • 産婦人科外来あるある

    外来で患者さんからよく聞かれる質問や、安産の秘訣、病院選びのポイント、生理痛の劇的解決法まで。10年以上産婦人科医をやってきた経験から日々思うこと。エビデンスからはちょっと離れて、産婦人科医の「あるある」をこっそり紹介。 ※実際の患者さんとは病名や年齢などの設定を変えていることがあります。

  • 35歳以上で知らないとヤバい、指導医講習会

    指導医講習会って難しくて眠たくなりませんか?!35歳以上のドクターのための、仕事も家庭もお金も全部うまくいく生き方のコツ。本当に価値のある指導医講習会、始めます!「もっと早く知りたかった…」20代ドクターも予習しておいて絶対に損はない話です。

  • 打つ?打たない?子宮頸がんワクチン

    子宮頸がんワクチンの基本から最新のエビデンスまでお届けします。子宮頸がんワクチンについて全く知らなくても大丈夫。このマガジンを読み終わる頃には、自分自身がどうすべきかの答えが見つかり、さらに人に自信を持って説明できるようになっています。

最近の記事

  • 固定された記事

①積極的接種勧奨の再開。ホントに打って大丈夫?子宮頸がんワクチン

 2022年4月から、厚生労働省は子宮頸がんワクチンの積極的接種勧奨の再開を決定しました。「子宮頸がんワクチン」と聞いて「何のこと?」と思ったあなた!「むかし怖い副作用が問題になったやつだよねー」と思ったあなた!必ずこの記事を読んでください。HPVワクチンと子宮頸がんについて知り、あなたはどうすべきか、その答えが絶対に見つかります。  厚生労働省が積極的接種勧奨を再開しただけでは、子宮頸がんワクチン接種率は回復しないと私は思います。なぜなら厚生労働省は、一度接種は勧めませんと

    • 担当の先生を変えてください!

       ある日、私が外来で妊婦検診をしていると、助産師さんが言いにくそうに切り出した。「あの〜、H先生の患者さんなんですけど、担当の先生を変えてほしいって受付に来られているんですよ。先生診てもらえませんか?」 経験の浅い研修医の先生が患者さんから「担当を変えてほしい」と言われることはそんなに珍しいことではない。しかしH先生は専門医取得前のレジデントではあったものの、とても優秀で、私は密かに「デキスギ君」と呼んでいた。彼は物静かで真面目で、いつも的確な判断をしていたし、診察技術や患

      • おばぁの性別診断に振り回されて考えた、「性別」の奥深さ。

        ある日の妊婦健診のことです。23週の妊婦さんに「赤ちゃんの性別はどっちですか?」と聞かれたので「女の子ですよー」と答えました。そうすると妊婦さんは大変びっくりされた様子で「えっ!男の子じゃないんですか?先生本当?」と男の子だと信じきっているようでした。不安になった私は再度超音波で観察しましたが、陰唇と陰核が描出されていて、明らかに女児でした。当時私が妊婦健診で使っていたエコーは、ハイエンド機種とまではいかずとも、それなりに良いエコーです。もちろん100%確実ではないですが、一

        • お金を「貯める力」と「使う力」。幸福度の高いお金の使い方とは。

          前回はこれからの時代を生きる医師に必須な「お金にまつわる5つの力」についてご紹介しました。今回はその中でも医師の皆さんが特に弱い「貯める力」について私の経験をもとにお話します。そして「使う力」の磨き方も紹介します。 支出をコントロールするために今すぐやるべきこと 「お金が貯まらない」という人が真っ先にすべきことは支出のコントロールです。別に贅沢をしているわけではないのになぜかお金が貯まらない年収1500万円の医師家庭の方は絶対にいますぐやるべきです。  以前の私のように、

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        ①積極的接種勧奨の再開。ホントに打って大丈夫?子宮頸がんワクチン

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        • 産婦人科外来あるある
          5本
        • 35歳以上で知らないとヤバい、指導医講習会
          5本
        • 打つ?打たない?子宮頸がんワクチン
          5本

        記事

          「医師はお金のために働いているんじゃない」の真実。働き方改革時代を生き抜く医師が絶対に身につけるべき「お金にまつわる5つの力」とは。

          働き方改革の違和感  いわゆる2024年問題。医師の時間外労働規制が、病院への罰則規定をもって施行される時が刻々と近づいています。当直業務を行う医師にとって、時間外労働を年間960時間以内(毎月80時間)におさめるA水準は現実的に難しく、とりあえずB水準や連携B水準でいこう、ということになる可能性は高いです。それでも連続勤務時間の規制はあるので、全体的な時間外労働は確実にこれまでよりも減ります。  「働き方改革」と言われると、私は何か騙されているような、どこかがおかしいという

          「医師はお金のために働いているんじゃない」の真実。働き方改革時代を生き抜く医師が絶対に身につけるべき「お金にまつわる5つの力」とは。

          だからあなたは今夜も妻に相手にされない

           同僚の男性医師の皆さんと話していると、パートナーとの関係を愚痴る先生が少なくありません。「うちはだいぶご無沙汰で…」「先生のところもでしたか!?」「うちなんて妻に触れただけでぶちギレられますよ」「子供ができてからというもの、僕なんて完全にATMですね。夫婦生活なんて、そんな雰囲気には全くならないです。」「僕はもう1年以上妻に無視されてるので、会話すらないですよ。」「え、、、(一同無言)」  という感じで、ご無沙汰自慢の話が盛り上がります。一方で円満な家庭を築いている若手医師

          だからあなたは今夜も妻に相手にされない

          指導医が飲み会で絶対に言ってはいけない4つのこと

          「メシハラ」という言葉がメディアに出るようになって久しいですが、初めてこの言葉を聞いたとき、皆さんはどう思われたでしょうか?「時間とお金を使って飲みに連れて行ってやってるのにハラスメントだなんて、何をするのも今はハラスメントだな。」「最近の若者は個人主義で、人とのつながりが希薄なんだな」「あいつらは何考えているかわからなくて怖い、メシハラなんて言われたらたまったもんじゃない。もうメシに誘うのはやめよう。」なんて思われた指導医の先生方もいらっしゃるのではないでしょうか。  確か

          指導医が飲み会で絶対に言ってはいけない4つのこと

          最高の指導医が必ずやっている3つのこと

          良い指導医とは、研修医に何を教えるかではない。研修医をどんな気持ちにさせるかである。 10年以上研修医の指導をしてきて、私はやっとこのことに気がつきました。研修医と指導医の間のことだけではありません。全ての人と人とのコミュニケーションは、相手に何を伝えるか、ではなく相手をどんな気持ちにさせるか、が重要なのです。このことに気づいた瞬間に、あなたのコニュニケーション能力は劇的に改善して、職場でもプライベートでも人間関係がみるみる良くなっていきます。人間というのは、人に言われたこ

          最高の指導医が必ずやっている3つのこと

          ⑤SさんとAさんのこと

           私は産婦人科医といっても周産期専門医なので、今は婦人科がんの患者さんの治療を担当することはほとんどありません。でも10年以上前、産婦人科レジデントだった時代に関わった何人かの患者さんの記憶は今も鮮明に残っています。  30代のSさんは、子宮頸がんのⅡB期と診断されていました。お子さんはいなくて、職場では責任のある仕事を任されている一人暮らしのキャリアウーマンでした。ある日自宅で多量の性器出血があり、深夜3時に救急センターを受診しました。膣内に入れたガーゼで圧迫し何とか血は止

          ⑤SさんとAさんのこと

          ④ガーダシルとシルガード9どちらを打つべき?ヒトパピローマウィルスの正体を暴け!

           これまでのシリーズでは、すべて定期接種のHPVワクチンについて話してきました。そもそもワクチンの定期接種、任意接種とは何でしょうか。定期接種とは全員接種することが推奨されており、公費で接種できるものです。集団免疫の観点から、国策として接種が推奨されているという意味合いもあります。結核予防のBCGや、ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオを予防する4種混合などです。任意接種とは、希望者が自分のために必要に応じて自費で接種するワクチンです。A型肝炎やおたふく風邪のワクチンなどが含ま

          ④ガーダシルとシルガード9どちらを打つべき?ヒトパピローマウィルスの正体を暴け!

          ③あなたも対象かも?3年間の特別措置。HPVワクチンのキャッチアップ接種を見逃すな!

          日本人女性の子宮頸がんワクチン接種率は、生まれ年度によって3群に分けられます。 1993年以前に生まれた人たち(現在29歳以上)は、日本で子宮頸がんワクチン接種が開始された2010年には17歳以上になっているので、ワクチン接種をしていません。1994年〜1999年に生まれた人たち(現在28歳〜23歳)は2007年から2013年の間に13歳を迎えており、ワクチン接種率は70%程度あります。この年代の人たちは任意接種でサーバリックス(2価)かガーダシル(4価)を接種しています。2

          ③あなたも対象かも?3年間の特別措置。HPVワクチンのキャッチアップ接種を見逃すな!

          ②9年間の積極的接種勧奨の差し控え、日本が払うその代償は。生死を分ける22歳と23歳。

          2022年4月からようやく厚生労働省は「積極的接種勧奨の再開」と同時に、これまで接種機会を失った女の子たちのために、3年間の期限付きで定期接種の年齢を超えた人たちにもキャッチアップ接種の公費負担を決定しました。 ①でご紹介した通り、2013年に問題になった副作用と子宮頸がんワクチンに因果関係がないという事実は2015年には名古屋スタディで証明されていました。少なくとも論文として発表された2018年には誰でも知ることができたはずなのです。しかしその後もずっと厚生労働省は積極

          ②9年間の積極的接種勧奨の差し控え、日本が払うその代償は。生死を分ける22歳と23歳。

          研修医がいる病院を選んだ方がいい理由

          練習台にされるのはまっぴらごめんだから、研修医がいない病院に行きたいです。 こうおっしゃる患者さんは多いものです。しかし私は自分が患者として治療を受けるなら、絶対に研修医がいる病院を選びます。かぜ薬をもらいに行くクリニックならあまり気にする必要はありません。しかし入院するとか、手術を受けるとか、出産するとか、そういう命に関わりかねない処置をされるのであれば、研修病院を選ぶべきです。  日本のお医者さんは、医学部の6年生の最後に医師国家試験を受けます。合格して医師免許を取得す

          研修医がいる病院を選んだ方がいい理由

          「何でもっと早く飲まなかったんだろう。今では生理って何だったっけ?って思います(笑)」

          そろそろ生理のことなんて思い出しもしない人生をはじめませんか。 世の中には知っているか知らないかだけで、人生が劇的に変わってしまうことがいくつか存在します。ピルの知識もその一つです。 生理の事を考えない人生。それは誰にでも簡単に、明日から手に入る未来です。    生理痛や過多月経に保険適応で飲めるピル、それがLEP(レップ)製剤です。日本では避妊目的に自費で処方される経口避妊薬OC(オーシー)と区別するためにこの呼び方になっていますが、実は中身は一緒で、女性の性周期を司る2つ

          「何でもっと早く飲まなかったんだろう。今では生理って何だったっけ?って思います(笑)」

          「ママお腹痛いから今日学校行きたくない」と言われた時にほとんどの親がしてしまうNG対応

           産婦人科外来をやっていると、中学生の女の子がお母様に連れられてやってくることがたまにあります。頻回に腹痛を訴えて、学校を休むことが多いというのです。小学校高学年から高校生の女の子に多い主訴です。産婦人科というのはもちろん敷居が高いので、多くのケースでは私の外来にいらっしゃる前に小児科、内科、心療内科など多くの病院を受診されています。  もちろん体に何らかの問題がある場合もあります。月経周期に伴った痛みであれば、月経困難症(生理痛)の可能性を考えます。現在は副作用を抑えた超

          「ママお腹痛いから今日学校行きたくない」と言われた時にほとんどの親がしてしまうNG対応