見出し画像

③あなたも対象かも?3年間の特別措置。HPVワクチンのキャッチアップ接種を見逃すな!

日本人女性の子宮頸がんワクチン接種率は、生まれ年度によって3群に分けられます。
1993年以前に生まれた人たち(現在29歳以上)は、日本で子宮頸がんワクチン接種が開始された2010年には17歳以上になっているので、ワクチン接種をしていません。1994年〜1999年に生まれた人たち(現在28歳〜23歳)は2007年から2013年の間に13歳を迎えており、ワクチン接種率は70%程度あります。この年代の人たちは任意接種でサーバリックス(2価)かガーダシル(4価)を接種しています。2000年以降に生まれた人たち(現在22歳以下)は、定期接種に指定され、その2ヶ月後に積極的接種勧奨の差し控えが決定された2013年以降に13歳になっているので、接種率が一気に低下し、2000年生まれで14.3%、2001年生まれで1.6%、2002年以降生まれの学年では1%以下です。こうしてみると、2022年度に29歳以上の女性は導入前世代、28歳から23歳の女性は接種世代、22歳以下の女性は停止世代と分けることができるのです。

スクリーンショット 2022-03-26 19.32.23

2000年以降は、停止世代が20歳になって子宮頸がん検診を受ける年齢になったので、停止世代と接種世代の間で、HPV感染率や異形成の確率を比較する研究が多く発表されました。そこで明らかになったことは、やはりHPV感染率や異形成の保有率は導入前世代より接種世代で低下したが、停止世代では再び高くなってしまったという事実です。当たり前と言えば当たり前の結果ですが、世代ごとに接種率が異なる3群を比較することで、HPVワクチンの効果が改めて実証されたのです。
 前回の記事でご紹介したように、接種世代と導入世代の境界は一般的には今年度22歳と23歳になる人たちです。しかし23歳以上の人でも13歳の頃に定期接種であったわけではなく、未接種の人も一定数存在します。22歳以下の人たちはほとんどが未接種で、それにより将来子宮頸がんになる人が何千人も増えることもわかっています。
 そこで厚生労働省が世代間の「公平な接種機会を確保する観点」から積極的接種勧奨の差し控えにより接種機会を逃した人を対象に、キャッチアップ接種に対する公費負担を決定しました。期間は2022年4月から2025年3月までの3年間。対象者は1997年度から2005年度生まれの女子9学年分です。つまり2022年度に25歳から17歳になる女子が3年間受けられる特別措置になります。16歳以下の人たちはもともと定期接種の対象なので、接種対象なのですが、今年度16歳になる2006年度生まれの人たちは2023年度から2年間、今年度15歳になる2007年度生まれの人たちは2024年から1年間、キャッチアップ接種の対象に組み入れられることも決まっており、1997年度以降に生まれたすべての女子に対して、最低でも3年間の公費接種期間が確保されたことになります。
 とはいえ3年間あるから大丈夫、と接種を後回しにするのはお勧めできません。なぜなら16歳から25歳という年齢は、新しいパートナーと性交渉を持ち、新たなHPV感染をするリスクが極めて高い時期だからです。HPVワクチンはすでに感染してしまった型のHPVには全く効果がありません。12歳になったらなるべく早くワクチンを接種することが、あなたとあなたが宿す将来の命を守る確実な方法なのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?