見出し画像

34歳、独身、女性、一軒家を買う

35歳になる年、家を買う決心をしました。

当時、独身で、もう一生一人で生きて行くんだろうなと漠然と思っていた頃です。

32歳になる年に、お付き合いしていた男性と別れて以来、依存体質から抜け出そうと、約4年近く独り身のまま、一心不乱に仕事に邁進し、深夜残業、休日出勤と、急成長していく会社で、必死にキャリアを積むべく勤しみ、あっという間に数年が過ぎていました。

20代は根無し草で、職を点々とし、住処を点々とし、どこにいてもそこは、自分の居場所と感じる事ができない暮らしぶりをしていものですから、自分が安心して永住できる、終の住処を持ちたいと、心のどこかで思っていたのです。

35歳になる年、ついに一軒家を買えるくらいに社会的信用?なのか経済的に自立できたと自負し始めた事もあり、一大決心して、家を購入する事にしました。言うなれば、今の会社で働き始めた事が、人生を大きく変えるチャンスとなったのです。今振り返ってみても、沢山の経験を積ませてもらい、突然視野が広くなり、自分の知らなかった世界に触れる機会が増え、更には、自分が想定していた以上のサラリーを貰う事が出来、家を買える!という自信に繋がったのだと思います。

20代の頼りない、病弱で、薬物依存(精神病薬)、他力本願、男性依存だった自分とは180度転換し、一人でも強く生きていこうと決心し、経済的にも精神的にもこの数年間で自立できたと実感した瞬間だったと今も覚えています。

なぜ独身で、一軒家を?

その1 
借り物ではない、自分の城、自分の所有物、愛着を持って大切にできる家がとにかく欲しかった

その2 
今の会社に勤め始めて1年、1匹だった犬が2匹となり、広めのリビングがある部屋に引っ越しをしたいとそもそも考えていた

その3 
老後に家賃を払い続ける自信がないので、そろそろ持ち家を持っておきたかった

その4 
当時は自分の子供がいなかったので、姪や甥に、何かを遺してあげたいという気持ちがあった(自分が死ぬ時、何かを遺せたと思いたかった)

女性でも一軒家を買えるのか?

家を買えるか否かは、もはやローンを組める信用があるかどうかに尽きるでしょう。私の場合は、本当に幸運で、銀行に名の通った堅実な中小企業に就職出来た事にほかならないと思います。ローン審査を受けた時は、実は今の会社に入って丸3年弱しか経っておらず、最初は審査が下りないかもしれないと思われました。なぜならもちろん私の20代の病歴も影響していた事でしょう。そして過去銀行のカードローンを使ったこともありますし、クレジットカードのキャッシングやリボ払いの経験もあります。20代の暮らしぶりは、決して堅実ではなかったのです。

勤めていた会社のおかげで年収は申し分ないのですが、審査の行方が良くないと、融資担当の方が連絡をくれたのです。ローンを申し込んだ銀行は私が勤めている会社のメインバンクであった為、わざわざ会社までその雲行きの怪しさを伝えにきてくれました。ただし、何が原因で融資が下りないかというのは、教えられないのだそうです。そこでありがたいことに、私が勤める会社の社長自ら同席してくださり、私の信用度を銀行の方にご説明くださったのです。そしてその数日後、無事審査が通ったとご連絡を頂けたのでした。

結局のところ、まだまだ私の信用度は「自立」出来ていた自分のおかげではなく、大きな後ろ盾のおかげだったのかもしれません。それでも、当時、あの時、この場所で、この会社で働けて、堅実に生きて、借金もなく、病気もなく、毎日仕事が続けられている自分に、自信を持つことが出来ている事に変わりはありませんでした。

いずれにせよ、女性、独身、病歴あり、勤続3年弱ですと、なかなか難しいハードルだったようです。もちろん借り入れる額にもよりますし、審査の厳しさは、銀行、住宅金融支援機構で差があったりと、様々な要因で左右されますので、その確かな線引き、基準は、審査会社しか知らない事でしょう。

精神病歴は、ローンに影響する?

はっきりとした答えはないですが、思うにYESです。ローンがなかなか下りなかった背景については、ちゃんと説明がされないので、1番の要因が過去の病歴のせいなのか、勤続3年に満たなかった事?過去の借入(踏み倒した事はありません)?なのか、実際にはわかりません。そしてそのハードルをクリアした次に待っているのが、実際にローンを組む時に、一番重要なもの、「金利」です。実はその金利、様々な要因で変動するのです。

銀行にて、ローンの申込書を書く時に、病歴を正直に申告しなければいけないわけですが、私の場合は病歴があったことで、当時0.65%の金利が、0.1%増しとなり、0.75%になった事は間違いありません。病歴があるってやはりフリですね。当時、既に病院には通っておりませんでしたが、過去はついて回るのです。また、保険に加入するしないについても、影響するわけです。自分が死んだらローンがなくなる、いわゆる団体信用生命保険にはもちろん入れましたが、3大疾病保険にもし加入したいのであれば、私の場合、病歴があるので、金利が更に上がるとの事でした。

今振り返ってみれば、金利が上ろうとも、入っておけば良かったと後悔しています。まさかそのたった7年後に癌になるとは思っておらず。当時はなんとなく癌になるのは60歳を過ぎてからと思っていました。私は35歳になる年に、25年で完済するローンでしたので、60歳になった頃にはすっかりローンがなくなっている計算でした。その為、金利が高くなるなら、3大疾病保険はいらないかなと、入らなかったのです。

住み始めて7年 一軒家を買って良かった?

当時この家に決めた理由は、小さいながらも庭があって、カーポートがあって、リビングが広くて、吹き抜けがあったから。2LDKという間取りでしたが、女性一人暮らし、プラス犬2匹には、十分な広さでした。何より広いリビング(16畳ですが、私には十分)と吹き抜け、対面キッチンが私の理想にぴったりだったのです。でもその数年後に結婚し、犬が3匹となり、ましてや娘まで生まれて、3人家族になりました。憧れて買った吹き抜けを潰して、部屋をもう一部屋作り、2階にはトイレも増設するなどして、大分一人暮らしをしていた頃とは様変わりした家ですが、こうして住人に合わせて変貌していく家に、更に愛着を持って暮らす事が出来ている今日この頃です。唯一の欠点は、ベランダが東側にある事。大抵午前中を過ぎると陽が当たらなくなるのです。とはいえ、結局仕事、子育て、勉強、ライフワークと多忙の中で家事をやりくりする為に、全自動乾燥機付洗濯機を購入した事で、洗濯物をベランダに干すことが一切なくなったので、結局は欠点のない家になりました。

ローン返済のやりくりはどんな感じ?

家を買うと決めた時、私は独身だったので、一人でも毎月返済できる額、そして老後60歳には完済していること、それは譲れない条件でした。ですので、どんなに魅力的な物件があっても、無理して購入を決める事はしませんでした。身の丈にあった自分の住処に、無理なく暮らしたかったのです。過去自分が、20代にしてきた、無謀な生き方を見直したかったからだと思います。安定と、安心。それが一番大切な事でした。

毎月の返済額は、8.8万円程。万が一転職して給与が下がったとしても、アパート暮らしとあまり変わらない額の設定をしました。毎月の支払い額と、頭金と、返済年数を設定すると、自ずといくらの家を購入できるか見えてきます。いずれにせよ、今結婚して夫と2馬力になりましたが、それでも今のこの家を購入した事を後悔していません。毎月の家賃の支払いに追われる事なく、大抵2年分のローン額を、支払い先の銀行口座に入れ、自動的に毎月引き落とされています。金利も安いですし、ローンを組んでいると、向こう10年は住宅の特別控除を受けられるので、いそいそと繰越返済をするよりお得なのです。そして、いつコロッと死んでしまってもいいように、ローンは残しておきましょう!死んだらチャラになりますから。と、残される家族のために少しでも現金を多く残す事を考えています。

もっと大きな家を持ちたかった?

もちろん、考えた事はあります。まさか自分が結婚して子供を持つと思っていなかったので。子供のために大きな家を、という思いが湧いてきた事はあります。でも、それは束の間に消え去りました。一人目を産んで、赤ちゃんがあまりにもかわいくて、二人目を計画しようと考え始め、それならやはり4LDKがいいかなと、近くの物件を探したりしていた事がありました。ですが、結局のところ、自分が子宮体癌となり、あっさりと子宮を諦めてしまったので、二人目を産むという計画は頓挫。それと同時に、無理して広い家に住む必要もなくなり、3人家族なら、3LDKで良いかなと、リフォームした今の家で、ゆったりと好きな事をして暮らそうと思ったのです。

マンションと一軒家 どっちが良い?

これは、完全にその人のライフスタイルに依るものではないでしょうか。私の場合、ピアノを弾いたり、歌を歌ったりしますし、犬も3匹います。今となっては娘もいて、やはりマンションでは、音を気にせざるを得ない暮らしになってしまいますので、ある程度音を気にせずに暮らすには、戸建が最適と言えます。戸建であっても、ピアノは午前中は11時ごろから、夜は19時30分ごろまでと決めています。

購入した家が、分譲住宅だけの住宅街にあるので、一人暮らし向けのアパートがない為か、深夜は本当に静まり返りますし、日中は、隣近所の小さなお子さんの元気な声もして、本当に平穏な住宅街です。一気に新築が建った地域ではないので、隣近所には長年暮らす高齢者も多く、やがて亡くなった方の家や土地が売りに出され、新築が建ち、若い夫婦が越してきて、子供を産んで、という循環がなされている地域です。なので、程よく、若い夫婦、子供、高齢者と様々な年代がいて、元気な高齢者の方々が、日々見守ってくれて、声を掛け合ったり、若い夫婦は子供同士道路で遊ばせたりと、地域のつながりも割とある暮らしぶりです。顔を知った人々が近所にいる安心感が持てる、それが戸建分譲地のいいところなのかなぁと、私の今の暮らしには合っていると思っています。

独身生活だった頃のこだわり(今も尚)

やはり、こだわったのは家具家電、インテリアです。ほとんど料理をしないのに、キッチン家電はそれなりのものを置物の如く揃えてみたり、食器もこだわりを持って良いものを揃えてみたり。照明も、使い勝手より、デザイン性を重視して、間接照明や、アンティーク風のシェードがついた照明を選び、家全体のイメージを統一しました。デスクや飾り棚などの家具も、本物のアンティークを少しずつ買い集めてみたり。もちろん、アパート暮らしの時に使っていた、インドネシア産の一枚木のお気に入りの家具たちも連れてきました。それらは、アウトレットに入っている雑貨屋さんで購入した家具ですが、本物のアンティークの隣に並べたとしても、そこまで見劣りのしないお気に入りの家具たちで、今も大切に使っています。

とはいえ、結婚して夫と暮らし始めてからと言うもの、料理好きな夫が料理担当となって、置物だった家電をフル稼働させてくれて助かっていますが、それと同時にこだわりの食器たちがどんどん割れて失われていくわけです。と言う訳で、日常使う食器については、ニトリや無印などで買い揃え、少しずつ暮らしに変化がもたらされている今日この頃です。

今の所アンティークたちは無事生き延びておりますが、まぁ、使う人間あっての家具たちですから、子供によって作られるだろう傷も、きっと良い思い出となって、娘に引き継がれ、大切にしてもらえる事を祈っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?