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都構想の罠~大阪の都区制度は失敗する

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大阪市を廃止し、特別区を設置する「大阪都構想」の是非を問う住民投票が11月1日に行われます。特別区とは一般の基礎的自治体とは異なり、財源の一部を「都」が課税するという特殊な大都市…
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2020年9月の記事一覧

大阪市は「都構想」、横浜市は「特別自治市」~地域が統治機構を選ぶ時代

大阪市は「都構想」、横浜市は「特別自治市」~地域が統治機構を選ぶ時代

 維新信者の特徴は、全ては大阪に合わせればうまく行くという幻想を持っているところである。新型コロナウイルス対策でも、大阪の吉村洋文府知事の打ち出す施策を麗々と紹介している人たちがいた。全国のドラッグストアからイソジンが消え去った〝イソジン騒動〟にも動じない不屈の人たちである。

 一つ指摘しておくと、特別区の合区には普通の市町村合併と同様、住民投票が避けられないであろう。上山氏が何を根拠に言ってい

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首「都」はどこにあるのか?~「大阪都構想」をめぐるどうでもいい議論

首「都」はどこにあるのか?~「大阪都構想」をめぐるどうでもいい議論

 立憲民主党の反都構想の論陣を見ていると、時計の針が何年も左回りになった気分になる。おそらく大阪市の市民が2015年の住民投票でとっくに乗り越えたようなことを、今になって繰り返しているような気になる。大阪府市の議会には立憲民主党の議員がほとんどいない。議論に追い付いていないのだと思う。

 そして、原口一博衆院議員のこの問題提起。大阪「府」なのか、大阪「都」なのか、そんなのどうでもいい。だが、いま

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【大阪都構想】財調財源の税収減で特別区は収支不足を埋められなくなる~東京23区との違いは〝超強力なスーパー都心区〟の有無

【大阪都構想】財調財源の税収減で特別区は収支不足を埋められなくなる~東京23区との違いは〝超強力なスーパー都心区〟の有無

 東京都千代田区は東京23区の中でも突出して異様な自治体である。人口が少ないくせに、財政力が極端に強い。今のところ「都の区」でしかないので、都心の法人税収入は都が課税し、23区に財政調整交付金として配分されているために、さほど目立たないが、千代田区が本当に一般市として独立したら、おそらくベーシックインカムなど簡単に実現できるのではないか。

 小池知事が2016年に都知事選に立候補したとき、自民党

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政令市でも特別区でも都道府県との二重行政は存在する【都構想】

政令市でも特別区でも都道府県との二重行政は存在する【都構想】

 これはもう、維新の会の信者の皆さんもお分かりだと思うが、大阪都構想が目指しているのは、「広域行政の一元化」であって、それが実現したとしても一般的な二重行政はなくなることはない。これは誤解している方が多いが、都構想において「二重行政の解消」とはあくまで広域行政、つまり本来は府県事務だったのに政令指定都市である大阪市が持っていた事務を大阪府に一本化するということでしかない。

一元化されるのは広域行

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大阪都構想は東京23区の「改良型」なのか~『大阪都構想2.0』(松浪ケンタ著)を読む

大阪都構想は東京23区の「改良型」なのか~『大阪都構想2.0』(松浪ケンタ著)を読む

 午前中、かかりつけ医に月イチの通院を済ませて、午後は松浪ケンタ大阪府議会議員の『大阪都構想2.0』を読んでいる。大阪市民がどんな理不尽な統治機構を選ぼうと、それは大阪市民の自由である。私は、コロナ禍だから住民投票をしないという判断が正しいとは思わない。この間、全国で国政の補欠選挙や地方選挙が行われたが、延期された選挙は一つもない。さすがに緊急事態宣言下に選挙を強行するのにはあきれたが、衣食住と並

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小池百合子と吉村洋文の落ちた罠~橋下徹という「成功体験」

小池百合子と吉村洋文の落ちた罠~橋下徹という「成功体験」

 イソジンがない。これを書いているのは2020年9月。私は神奈川県のとあるベッドタウンに住んでいるが、ドラッグストアをいくら探しても、イソジンのうがい薬が見つからないのだ。コロナ禍で元々、在庫が豊富な商品ではなかったが、8月4日の吉村洋文大阪府知事の記者会見をきっかけに、店頭から姿を消してしまった。

 「うそみたいな本当の話で、うそみたいなまじめな話をさせていただきたいと思います。皆さんもよく知

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