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物語のエピローグは残酷な景色~「大阪都構想」という平成の夢物語を終えて
「大阪市廃止・特別区設置」の住民投票の運動期間中、なんどか社民党の福島瑞穂党首が大阪入りしていた。私も一度、天王寺で街頭演説を聞かせていただいた。相変わらずの、瑞穂節である。だが、立ち止まる人は少ない。同じ日、別の時間にはすぐ近くで山本太郎がゲリラ街宣をしていたが、そのときの人だかりと比較すれば、あまりにも寂しい。
そもそも、福島瑞穂が党首だったのかと、私自身、今さら再確認した。そのくらい、
失敗に学ばない〝改革派〟のカルト性~「大阪都構想」否決から1週間
大阪から帰ってきて、まもなく1週間。大きな重しが消えたような脱力感を抱えながら生きている。吉村洋文大阪府知事が「都構想まちかど説明会」で、「住民投票を否決したら、何も残らない」と言っていたが、意外に正しいと思っている。今回の住民投票は、一言で言って空虚だったのだ。
このnoteはありがたいことに、住民投票の投票日の1週間くらい前からヒット数が大幅に増えている。はじめからバズることは望んでいな
維新政治が「大阪都構想」のキラーコンテンツとなった~住民投票の否決を受けて
この記事を帰りの新幹線の車内で書いている。とりあえず、小田原に着くまでに書けることを書いておきたい。
「大阪市廃止・特別区設置」を問う住民投票は11月1日に投開票され、「反対」が多数となり、特別区設置協定書は否決された。大阪市民の決断に心から敬意を表するとともに、「大阪市の存続」を「おめでとう」とお祝いしたい。
反対多数は「現状維持バイアス」ではない ABCテレビとJX通信社の世論調査を見
【大阪都構想】決定権を持っているのは政治家ではなく18歳以上の有権者【住民投票】
大阪に滞在して一週間が過ぎた。すっかり大阪市の中央区民のつもりになっているが、残念ながらどんなに裏難波に詳しくなっても、11月1日の住民投票では投票する権利はない。こればっかりは、有権者に託すしかないのだ。
おそらく、この記事が住民投票前の最後の記事になるだろう。
このnoteは拡散能力があまりない。100人近くに読んでいただくには数日以上時間がかかる。この記事を住民投票の後に読んでいる
【大阪都構想】新特別区の区境を歩いてみた~街を「分断」する区割り
大阪市には24の行政区がある。「行政区」には法人格はなく、公選区長や区議会も存在しない。住民サービスを地域ごとに区切って、効率的に行うための区割りだ。したがって、行政区によって住民サービスが変わることはない。
これに対して、「特別区」には法人格がある。公選区長や区議会が存在する。特別区は特別区税を課税し、独自の住民サービスを提供する。大阪では四つの特別区が設置される予定だが、それぞれが「基礎
【大阪都構想】報道各社が報じた「特別区移行でコスト年218億円増」の読み方
お風呂を出たらさっさと寝ようと思っていたが、なんだか大騒ぎになっているので、私なりに解説しておきたい。
毎日新聞がネットで配信してから、新聞・テレビが次々に報じている。
結論から言うと、これに「コスト増」という見出しは、私には立てられない。
以下は毎日新聞に掲載されている図である。
そして、以下は朝日新聞からの引用である。
市財政局によると、人口約270万人の大阪市を単純に4分
【大阪都構想】「都」は財調協議で「区」の懐まで手を突っ込んでくる【都区制度の暗部】
最近、Twitterのタイムラインを眺めていると、「反対派がデマを流している!」という投稿がいくつも流れてくるのだが、そのデマと言われるフレーズを検索してみると、維新信者による「これは反対派のデマだ!」という投稿ばかり引っかかる。コロナ禍で、「『トイレットペーパーがなくなる!』というデマでドラッグストアからトイレットペーパーがなくなっている」という投稿が相次いで、本当にトイレットペーパーがなくな
もっとみる公明党は大阪都構想の最大の推進勢力だった~「なっちゃ~ん!」黄色い声援の憂鬱
10月16日の記事で、「大阪市廃止・特別区設置」の住民投票は賛成派が圧勝すると書いた。19日にABCテレビとJX通信社の世論調査の結果が公表されている。案の定、賛成が一気に反対に差をつけた。
党中央代表の鶴の一声で大阪の空気が変わった やはり、大きな要因は10月18日の山口那津男公明党代表の街頭演説であろう。さすがは、宗教政党である。鶴の一声で、空気が変わる。
山口代表の演説の動画をユーチ
大阪都構想は歴史の歯車を逆回転させる~東京23区が目指す特別区の未来像
今週末から大阪に出かけようと思っている。お目当ては、NMB48の10周年コンサートでも、吉田朱里の卒コンでもない。「大阪市廃止・特別区設置」の住民投票の動きを現場でリアルタイムに見てみたいと思っている(という名目で遊び回りたい)。困ったことに、コロナ禍で各陣営の動きが公表されていない。まあ、こちらから「密」に突入するようなことはしたくないが、やりにくい時代になってしまったものだ。
東京23区の
国政野党の劣化で「都構想」住民投票は賛成が圧勝する
こんなことを書くと反対派の方々からは怒られるだろうが、今回の住民投票は賛成派が圧勝すると思っている。私は、都区制度という理不尽な制度を導入することには反対だが、情勢は非常に悲観的に見ている。どんな太い鞭を打たれても、先のとんがったハイヒールで踏みつけられても、それが気持ちよいと泣いて喜ぶ人に、いくら痛いからやめたほうがいいと言ったところで無意味である。
それでも、こうしてnoteで書き綴って
大阪都構想実現後の「市長」に当たる役職は「知事」か「区長」か?
今日は大阪市の廃止と特別区の設置の是非を問う住民投票の「告示」なのだそうだ。一応、この住民投票には公職選挙法が準拠されるものの、基本的にはやりたい放題である。告示の前後で、賛成派も反対派もやっていることはほとんど変わらないのではないか。事前になにをやっていいのか、悪いのかを当事者が議論し、ルールを定めておくべきだった。これは、賛成・反対にかかわらず、政治家たちの責任である。
大阪市民に伝えて
大阪都構想が東京に与える影響~東京新聞特報部の取材を受けて
こうして名前を出した記事の取材を受けるのは2013年都議選以来かもしれない。様々な媒体に匿名でコメントすることは時折あるのだが、何年か前に都庁の現場を離れてからはほとんどなくなった。ありがたいことに、こうしてネットの片隅でマイペースに更新していたnoteに、東京新聞特報部のデスクの方が目を付けていただいた。個人的な事情もあって、最初はお断りしたほうが良いかもしれないと思ったのだが、先方にはその事
もっとみる【大阪都構想】特別区の中に「区役所」を残す滑稽~将来の新区長・新議会の足を縛るべきではない【地域自治区】
前回、住民投票で問われるのは統治機構の改革=「大阪市を廃止して、特別区を設置する」であって、維新政治ではないと書いた。この視点で脳内を整理すると、今回の特別区設置協定書には特別区の設置とはあまり関係のない事項が盛り込まれていることに気づく。
「地域自治区」と「行政区」の関係 大阪市の行政区を「地域自治区」として残すというのだ。協定書に参考資料として地域自治区制度の概要が載っていた。
「地域
都構想が実現しても、しなくても、消防車は一分一秒を急いでやってくる~可能性ではなく現実の話
今朝は久しぶりに爆笑した。橋下徹元大阪府知事のツイートである。
朝日新聞が維新の会が撒いたチラシに突っ込みを入れた記事が話題になったことから、橋下氏がコメントしたのである。それにしても、この一言には噴き出した。
「都構想は『可能性』の議論」
そんな逃げ方ができるのは今だけだ。住民投票で「賛成」が多数となり、5年後に本当に大阪市が廃止され、特別区に移行することになれば、もう可能性の議論で