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進学塾を利用する前に知っておきたいこと。

年々大手進学塾の宣伝方法が巧みになり、「遅くても小学3年生からは進学塾に通わないと受験は成功しない」ということが、知らないうちに常識として刷り込まれているようにも思います。

入塾すれば受験に対するあらゆる不安が解消し、確実に受験に成功する「免罪符」がもらえるかのようなイメージを私たちに持たせることにも成功しているように思います。


長年受験指導をしてきた私が感じていることは、塾はあくまで「ツール」であって、教育機関ではないということです。現代社会を反映したかのようなヒエラルキーが存在している下克上の世界です。

たとえば、御三家クラスの受験となりますと、たいてい小5くらいからは中堅クラスの中学過去問題をベースとした課題が始まります。もしここで生徒が100名いたとしたら、この課題を消化していく中で、だいたい4割くらいの生徒がついてこられなくなります。つまり、カリキュラムを消化していく中で、自然に数が絞られてくるということです。

そして、小6からは志望校別に授業が行われ、約6割に絞られた生徒は、そこからさらに人数が絞られてきます。
この段階で最後まで残った生徒が志望校を受験します。

つまり結果的には選び抜かれた精鋭に受験されることになりますので、よほどのことがない限り、その子たちは合格します。その結果が塾の進学実績となります。


では、どういうお子さんが最後の最後まで残るのか。

ここが関心のあるところだと思います。

この最後まで残っている生徒の中には、進学塾の授業についていくためにさらに家庭教師を雇って多額の教育費をかけることで、何とかその地位を維持しているというケースもあります。ただ、御三家レベルの学校に確実に合格できるお子さんの多くは、自分なりの学習の姿勢を確立しています。

さらに、このレベルのお子さんは、中学校数学体系も中学2年生くらいのものはすでに学習を終了した上で受験に臨んでいます。

なぜなら、このレベルの中学校は、中学1年生終了時には、公立中学3年間分の内容を終了してしまうからです。

受験に合格したとしても、入学してからついていけないのでは困りものです。


私がサポートをさせていただくお子さんにも、特別な事情がない限り、中学数学も消化していただきます。

中学数学を受験前に学習しておくのは、入試に有利になるばかりでなく、入学後も十分に役立つためです。受験に成功した方からは、中学に入学して、はじめて中学数学体系を事前に学習しておく意味がわかったというコメントをよくいただきます。(中学数学体系は受験にはあまり関係ないとか、その分の時間を受験勉強にあてたいなど、なかなかご理解いただけないケースが多いです)

小学5年生、6年生の時点で、中学2年生、あるいは中学3年生相当の内容を理解していくというのは、相当むずかしい印象を持つ方もいるかもしれませんが、体系的に数学を学習していけば、決してむずかしいことではありません。

また、進学塾で最後の最後まで残る生徒さんは、あまり「教わること」をあてにしていないようにも感じます。「教わること」よりも、学習姿勢、取り組み方を徹底してトレーニングしてきていると思います。

そのため、自分ひとりでも「ツール」さえあれば、確実に自分の実力に結びつける学習ができています。

よく塾に通い始めた親御さんから「塾の宿題を子どもひとりで消化していくのが大変で、横について教えながら取り組んでいます」というコメントをいただくことがありますが、ここで冷静に考えなければいけないのは、本番の入試では「だれも教えてくれない」ということです。

いつも横について「教える」ということは、子どもに「むずかしい問題は教わらないとできない」という学習姿勢を無自覚のうちにトレーニングしていることになるのです。受験前にそのような姿勢が徹底してトレーニングされたお子さんが、だれも助けてはくれない入試で、最後まで自分の力で考え抜くことはできるはずもありません。

「自分で学習できる姿勢」がトレーニングされていなければ、本番の入試では全く通用しないのです。

まず進学塾を利用する前には、小学6年生までの算数体系は最低限習得しておきましょう。そうしないと、上述したような「横について教える」という機会が増えてきます。(御三家クラスであれば小学6年生までに中学2年生中期くらいまでの数学体系は習得しておくとよいと思います)

つぎにしっかりと自分なりの学習姿勢を確立しておくこと。
完璧ではなくてもよいです。
ここまでは最低限の下準備です。

まずはここまでの下準備ができていれば、塾のデータ、ノウハウ等をフル活用していくことができます。

進学塾は、あくまで「ツール」です。
ツールを上手に活用するには、相手をよく知り、十分な準備をしておくことが大切です。

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