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シリーズ「パラグライダーで墜落。そして入院」

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パラグライダーの大会でまさかの墜落。硬い地面に叩きつけられながらも数々の奇跡でなんとか生きのびる。手術や治療のことから心の動きまで様々なことを時系列で語っています。
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ふとしたことがきっかけで爆発する感情 ~第30話 パラグライダーで墜落 そして入院~

墜落して2ヶ月程経った頃のお話です。 免荷重の左足が自重の2/3まで負荷をかけられるようになって10日程が経ちました。左足に荷重をかけることにも慣れてきているし、リハビリが進んでいることも実感しています。 また最近は墜落したことに対する思いの消化も出来てきいます。 ↑にも書いていますが、 「いくつもの奇跡が重なったことで自分が生かされた理由はすぐに見つかるものじゃない。これから時間をかけて探していけばいい。」 そう思えるようになったことはかなり大きいです。そう思えるように

パラグライダーで墜落。そして入院。その29 ~I am photographer~

墜落して1ヶ月と25日程経った頃のお話です。 墜落して2ヶ月後の月末が提出期限のフォトコンテストがありました。もともと出そうと思っていたコンテストでした。 2つの作品をだそうと思っていたのですが、墜落したことで計画がくずれてしまいました。追加で何かを撮ることはもう物理的には不可能です。ですが、病室でパソコン作業をすることはできる。 「今できることをやろう。今の体ではできる範囲は狭いけれど、できるベストを尽くそう。」 そう決めました。 言うのは簡単ですが、パソコンでフ

パラグライダーで墜落。そして入院。その19 ~1/3荷重と、この頃の心の状態~

墜落してから1ヶ月と10日ほど経った頃のお話です。 左足の免荷重がはずれました。体重の1/3の荷重をかけられるようになりました! <免荷重とは?> 免荷重とはざっくりいうと、「骨がちゃんとくっつくまでは、体重をかけないでね。負荷をかけちゃだめだよ」というものです。 ↑「シリーズその4」で詳しく書いてありますが、墜落したときの衝撃で左の踵は酷い粉砕骨折をしています。手術で金属のプレートとスクリューで固定されていますが、骨がくっつくまではかなり時間がかかります。なので骨

墜落の全容 前編 -事故の詳細について- ~第16話 パラグライダーで墜落。そして入院。

今回は墜落の詳細のお話をしていきます。 <事故の詳細がわかっていない頃> 墜落してから1ヶ月と一週間ほどの頃のお話です。 実はこの頃までは墜落に関してはざっくりとした情報しか把握していませんでした。 把握していた情報は大きく分けて2つでした。 ・現場にいた人から聞いた情報 ・たまたま近くを飛んでいた人の360度カメラの映像に小さく映っていた墜落の様子 なので、 高度30mくらいで翼が大きく潰れて制御不能になって落ちた くらいのことはわかっていましたが、それ以外の細かい

パラグライダーで墜落。そして入院。その14 ~ドSなリハビリと癒やしのリハビリ~

墜落して1ヶ月と2日頃のお話です。 今回はリハビリについてのお話です。 前にも少しお話しましたが、自分が入院している病院では一人の患者に対して理学療法士さんと作業療法士さん一人ずつが担当としてつきます。 「カメラマンとしても、パラグライダーパイロットとしても、まだまだやりのこしたことが沢山ある。。。また自由に撮れるようになりたい。また自由に大空を飛びたい。だから、なんとか可能な限り体を元に戻したい。」 自分はそうリクエストしました。自分の担当でついてくれた理学療法士のK

パラグライダーで墜落。そして入院。その13 ~墜落して1ヶ月。思いや考えを綴ります~

パラグライダーで墜落してから丁度、1ヶ月と1日が経った日の話です。 墜落して1月が経ち、手術も無事終わり、いろんなことを考える余裕がでてきていました。誕生日ということもあり、自分の思いを綴った投稿をSNSにあげています。その時の投稿をご紹介します。かなり長くなりますが、よかったら読んでください。 ~~~~~~~~~~~ <はじめに> 今日は37歳の誕生日です。 そしてパラグライダーで墜落してから丁度、1ヶ月と1日が経ちました。 まさかこんな誕生日の迎え方をするとは想像も

パラグライダーで墜落。そして入院。その12 ~久しぶりにみた空、揺れ動く心~

墜落して27日くらい。腰の本手術をした3日後の話です。 この日のリハビリではベッドでの離床。そしてそこから更に車椅子に乗ることに挑戦しました。 手術をしてまだ3日しかたっていないので、車椅子に乗る時に術創のある左脇腹がかなり痛いのは当然です。また筋力がかなり低下しているのでお尻や太ももなど、座っている時に体重が乗る場所も柔らかいベッドに座っている時点で痛いです。そしてもう一つ、ベッドから車椅子への移動を難しく重要な要素がありました。それは 「左足の免荷重」 これは粉砕

パラグライダーで墜落。そして入院。その11 ~寝たきりの代償~

墜落して26日くらい。腰の本手術をした2日後の話です。 自分用のコルセットが届きました。手術した腰の骨を守るためのものです。腰を曲げたり、ひねったりする動きがNGなので、そういった動きに制限をかけています。なのでおへその下から胸まであるがっしりとしたコルセットです。 さて、腰の本手術から2日経った日で、まだまだ術創が痛みます。動いていなければそんなに痛くないですが、左の横腹に力がかかる動きをするとかなり痛くなります。 そんな状態でもリハビリは再開されます。当然、術創が痛

パラグライダーで墜落。そして入院。その9 ~入院生活のコツ1、きちんと相談を~

墜落して26日くらい。腰の本手術をした後の話です。 手術は無事に成功したものの、術後はあまりの激痛に悶え苦しみました。 痛みで一睡もできずに迎えた翌日。なんとか我慢できるくらいにまで痛みは落ち着きましたが、それは動かなければの話。そんな体でCTを撮ったりしなければいけなかったので、ベッドからCTの台などに移動したりと体を動かして横腹に力が少しでも入る度に痛みが走るので本当につらかったです。 それでも傷は治っていくもの。時間の経過とともに痛みはひいていくもの。段々と楽になっ

パラグライダーで墜落。そして入院。その8 ~腰の本手術~

墜落してから23日経った日の話です。ついに腰の本手術の日になりました。 正直に申し上げますと、俺は、、、とても緊張していました。 怪我をしてから3回目の手術となり、最も重要なものになります。この手術の結果次第で、どれだけ運動機能を回復できるのか、どれだけ後遺症が残るのかが決まるからです。 まず運動機能回復に関してはカメラマンとして、そしてパラグライダーパイロットとしてまた復帰できるのかに直結します。 次に後遺症に関してですが、入院直後から粉砕骨折した骨が神経を圧迫している

パラグライダーで墜落。そして入院。その7 ~リハビリと強い意志~

墜落してから15日~20日あたりの頃の話です。 骨盤と左踵の本手術が終わって3日くらい経った頃、いよいよリハビリがスタートしました。とは言っても、まだ腰の方は本手術が終わっていないので、軽いものとなります。両足ともある程度は動かすことはできますが、動かせる範囲も限定的ですし、力も入りづらいくらいのレベルです。主な内容は寝ているベッドの上でマッサージと補助を付けてもらいながら10回、20回動かす程度の筋トレのメニューでした。 自分の病院では患者一人に対して理学療法士と作業療法

パラグライダーで墜落。そして入院。その6 ~気づけた大切なもの~

墜落して緊急入院してから15日にちくらい。骨盤と左踵の本手術が終わって4、5日経った頃の話です。 本手術の痛みも落ち着いて来ました。まだまだ、前回の投稿で書いた痛み、痒みなどの辛さ、そこに寝たきりで体が疲れないことが拍車がかかり、夜全然眠れない日々は続いています。 つらい日々は続いていますが、自分の中で色々なことを考える(?)考えてしまう(?)くらいには体調が戻ってきました。 ですが、この頃はまだ事故の全容もわかっておらず、 なんで墜落してしまったのだろう? 何か大きな

パラグライダーで墜落。そして入院。その4 〜手術とその後の苦しさ〜

墜落してから10日。話は転院して、翌日の手術のための検査を終えて、ご飯を食べて落ち着いた夜の話になります。 ゆっくりし始めた時に看護師からある事を言われました。 「明日の左足の手術のために足のむくみは取っておきたい。なので足を高くして寝て欲しい」とのことでした。 それはつまり、、、移動で犠牲にした腰がめちゃ痛い寝方なんです。 無理ぃぃ!!! となりましたが、、、手術のためです。拒否するわけにはいきません。。。 看護師さんと相談をしながら寝方をあーでもない、こーでもないと試行

パラグライダーで墜落。そして入院。その2 〜緊急手術とその後〜

パラグライダーによる墜落。 今回は緊急手術とその後について書いていきます。 前回すこし触れましたが、怪我としては ・骨盤輪損傷(仙腸関節離開、左恥骨結合離開) ・第1,2腰椎破裂骨折 ・第1〜4腰椎横突起 棘突起骨折 ・左踵粉砕骨折 ・右肘頭開放骨折 でした。 レントゲン写真で見るとこんな感じです。(腰の骨はありませんでした) 特に深刻なのは骨盤と腰椎の骨折。 この二つが緊急手術の対象でした。 応急処置的な手術で骨盤には左右にそれぞれピンを立てられました。そのピンは骨