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パラグライダーで墜落。そして入院。その29 ~I am photographer~

墜落して1ヶ月と25日程経った頃のお話です。

墜落して2ヶ月後の月末が提出期限のフォトコンテストがありました。もともと出そうと思っていたコンテストでした。

2つの作品をだそうと思っていたのですが、墜落したことで計画がくずれてしまいました。追加で何かを撮ることはもう物理的には不可能です。ですが、病室でパソコン作業をすることはできる。

「今できることをやろう。今の体ではできる範囲は狭いけれど、できるベストを尽くそう。」

そう決めました。

言うのは簡単ですが、パソコンでフォトショップ作業をするのはとてもきつかったです。寝たきりが1ヶ月続いたため、体は全身の筋力がかなり落ちました。そのため長時間座っているとどうしてもお尻が痛くなってしまう。。。パソコン作業をするためにはどうしても病室のベッドを起こして座る体勢にならざるを得ません。基本は痛みと相談しながらの作業になります。少しでも長く座っていられるように体勢を色々工夫したりしながら、進めていきます。

思うように作業を進められない中、いろんな工夫をして何とか完成させることができました。まだ発表前なので、見せられる写真がこれだけとなりますが、作品の一部を紹介します。

空と大地
(是非クリック→拡大してご覧ください)

空と大地を上空から見た風景。
鳥が見ているダイナミックなこのパノラマ景色をパラグライダーパイロットである我々も飛ぶ度に目にしています。
俺たちが飛ぶ理由の一つがこの美しい景色が見られることなんです。
そして、その景色を写真で表現する方法として見つけたのがこの撮り方です。

実はこの写真、何十枚と撮った写真をつなぎ合わせて作った作品です。
パラグライダーで飛んで高度を稼ぎ、いい写真が撮れそうな位置へ滑空して移動します。ここだと決めたらカメラを縦位置で構えて左へゆっくり旋回。シャッターボタンは押しっぱなしにして、連射していきます。撮っている角度は180度以上になっているはずです。
撮影後、パソコン上でその連射した30〜60枚の縦位置の写真をつなぎ合わせて1枚のパノラマ写真にしています。ちなみに何枚もの写真をつなぎ合わせているので、超高精細な写真です。ものによっては1億万画素近くになるものも。完成したフォトショップデータは1.5GBにもなります。

パラグライダーで飛びながら撮るという自分ならではの方法に、現代の進化したデジタル処理が可能にした、自分らしい新たな撮影スタイルです。
ベストショットはフォトコンテストに応募した関係でまだ見せられませんが、この写真はその候補の中の1枚です。

実はこれ、墜落した日に撮った写真なんです。
頭を打ったこともあり、墜落した日の記憶はもうありません。なのでこの写真を撮った記憶もありせん。でもこの作品用の写真データが俺のカメラにはちゃんと残っていました。そう、あの日はフライトの最後で事故が起きてしまっただけで、それまでは普通に飛んでいました。つまり、自分の中のやるべきことをちゃんとやっていたんです。

「やるべきこと」という言い方をしたのは、実はこのパノラマ写真で写真展を早ければ来年、遅くても再来年位にはしたいなと思っていました。そのためにフリーフライトや大会フライトの合間に色んなエリアの景色を撮っていっていたのです。当然この日も例外ではなかった。

俺はパイロットでもありますが、まず第一にフォトグラファーなんです。
そして墜落したあの日も、やるべきことをやっていた。作品を撮っていた。
そんな自分を誇りに思います。

また飛べるようになるのは1年半〜2年半後になってしまいますが、また安定して飛べるようになったらこの撮影プロジェクトを再開して、必ず写真展を開きたいと思っています。

時間はかかりますが、絶対に写真展やります。
楽しみにしててください。


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