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パラグライダーで墜落。そして入院。その13 ~墜落して1ヶ月。思いや考えを綴ります~

パラグライダーで墜落してから丁度、1ヶ月と1日が経った日の話です。
墜落して1月が経ち、手術も無事終わり、いろんなことを考える余裕がでてきていました。誕生日ということもあり、自分の思いを綴った投稿をSNSにあげています。その時の投稿をご紹介します。かなり長くなりますが、よかったら読んでください。

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<はじめに>

今日は37歳の誕生日です。
そしてパラグライダーで墜落してから丁度、1ヶ月と1日が経ちました。
まさかこんな誕生日の迎え方をするとは想像もしていなかったです。

さて、今日は事故をきっかけに振り返った自分のことを書いていこうかと思います。誕生日ということもあり、丁度いいタイミングかなと思っています。自分の気持ちの整理も兼ねているので、かなり長くなると思います。矛盾している部分もあるでしょう。なので興味がある方は暇なときにでも読んでみてください。

〈自分の生き方になったある人の言葉〉

ちょっと昔に野口五郎さんと、とある方の対談を撮影させて頂く機会がありました。その時に野口さんが「志半ば」という言葉をキーワードに何度も話されているのが印象的でした。意味としては

~夢や目標などに向かって突き進んでいたい。達成できたら、また新たな夢や目標に向かってすすむ。だから自分が死ぬ時は、その瞬間がどんなタイミングで来ようとも「 志半ばで、、、」と思ってしまうだろう。でもそれでいいと思うし、むしろそれが理想形だ~

と語られていらっしゃいました。 話されている野口さんがすごく印象的で、この話は自分の心にすごく残りました。

〈死にかけた事について〉

その数年後、まさか自分が死にかけるとは正直想像していませんでした。沢山の人に生きててよかったと声をかけて頂きました。

正直に申し上げますと。。。

自分でも生きてて良かったと思うかと問われると、「 まだ分からない。」というのが正直なところです。あまりにも多くのものを失いました。まだ取り戻せるのかもまだわなりません。取り戻すにしたってものすごい大変な痛み、苦しみ、苦痛のある道のりでしょう。

いきなり突きつけられた現実がキツ過ぎるのか、変な感覚を覚えいます。自分じゃない他人の大変な人生を第一人称目線で送っているんだという不思議な感覚があるんです。

きっと墜落前とギャップが大きすぎて心の整理ができず、混乱しているためにおきてるんだと思います。

表現が良くないかもしれませんが、仮にあの墜落でそのまま死んでしまっていても、何も成し遂げはいないものの、「志半ばで」ということで自分は納得していた気がします。

では生きていた今はどう思うかと言うと、まだ色んなことが整理できていなくて混乱している部分もありますが、「あの時、死ななくて本当によかったと思える未来を作っていくべきだ。そのためにも頑張っていこう。」と考え始めています。その道がどんなに険しくて、どんなに大変でも、正解だったと思えるように。この人生をよかったと思えるようにしていくんだと考えるようになっています。

〈逆に得たもの1 親との繋がり〉

今回の墜落では失ったものが沢山ありますが、逆に得たものもあります。正確には大切なものに気付かされたという感じです。それは人との繋がりです。

まずその最たるものが親です。

今回のことで親の愛をものすごく感じました。自分で飛ぶと選択して、それで死にかけた自分を、一切責めることもなく、生きてててよかったと何も言わずにフルサポートをしてくれています。

毎日面会に来てくれます。真夏の暑い中、東京のアパートを引き払う作業してもらったりと大変な作業も数え切れないほどしてもらっています。

振り返れば息子として迷惑ばかりかけてきました。詳しくは省きますが、バカな選択をしてものすごい苦労や迷惑をかけてきました。

そんな自分を親は変わらず愛してくれるんです。早く元気になるようにと願って色々動いてくれているんです。どうしてそこまでしてくれるかと、もう本当に頭が上がりません。

今できることは一つ一つのことに感謝を伝えることと、リハビリを全力ですることしか出来ません。

時間はかかりますが、必ず元気な姿を見せて、お礼を良いながら二人の肩を揉んであげたいんです。あとは温泉旅行にでも3人で行くのもいいなぁ。

そして、もし親に困ったことがあったら、その時は今度は自分がサポートできるようにしていきたいです。

お父さん、お母さん、本当に本当にありがとう。

〈逆に得たもの2 周りの人との繋がり〉

事故で逆に得たものが人との繋がりだと話しましたが、もう一つの繋がりが自分の周りの人たちです。

事故の後、お世話になっている沢山の人からメッセージを頂きました。どれも応援してくださる内容で、心のこもったメッセージでした。すごく嬉しかったです。こんなに自分のことを思っていてくれたのかと、力や勇気を沢山もらいました。

でも正直に言うと、同時にちょっと疑問というか、後悔も生まれたんです。自分はこの連絡をくれた人たちに何がしてあげれていたのかな、、、と。

なんだか振り返ると何かをもらってばかりいて、何かをあげれていた事は少なかったと感じています。なのにみんな、あんなに自分の事を思ってくれているんです。本当にありがたいことです。今度は自分が何かを返す番だと思います。みなさんにも何かしらの恩返しとか、何かプラスになることをできれば良いなと思っています。

〈振り返り:写真について〉

振り返ると、高1の時にカメラと出会い、高2で少年野球や少年サッカーの大会の写真を撮るアルバイトをスタート。そこでフォトグラファーになると決めて、写真の大学に進学して、今に至ります。紆余曲折ありましたが、写真のお陰で豊かな人生を歩めてきていると感じています。一方で、仕事ではフリーランスフォトグラファーとして「自分はもっとできる!」「 もっと撮れる!」「 もっと自分の力を発揮できる仕事があるはず!」ともっともっと先に行きたい気持ちが強くありました。また、海外生活の経験もあり、ある程度英語が話せるので、英語が必要な現場や海外での撮影なんかをしたいという目標もありました。

そんな事もあり、自分の撮る写真を変えていくというか、進化させたいと思っていました。もっといい作品を作っていきたい。新しいジャンルや撮り方にも挑戦したい。そもそも、もっと写真を楽しむようにしていきたい。そう考えていたんです。フォトグラファーとして新たな変化を求めていた時期なんだと思います。

そんな時に墜落していまいました。

もっと早く自分の写真を変化させる挑戦をしておくべきだった。そもそも、もっと日頃から積極的に撮り、動き、新たな活躍の場を求めていくべきだったと後悔しています。

この後悔の気持ちをバネにして、復帰できた先の将来を想像しています。まずもっと写真を楽しみながら、積極的に撮っていきたいです。下らないプライドは捨てて、撮ってみたいものをまずは撮ってみる。そういう積極性を身に着けていきたいです。

作品を作るだけじゃありません。同じくらい発信していくことも重要と考えています。

作った作品をコンテストに応募する。
SNSなどに投稿して発信していく。

ということも積極的に動いて行きたいです。
今までは仕事以外の時間の殆どをパラグライダーに使っていましたが、これからはその辺のバランスをもっと写真の方に使っていきたいなと思っています。

〈振り返り:パラグライダー 〉

大学を出たあと、大きな挫折をしました。その時に「これからどうやって生きていこう?良くわからないなぁ。。。そうだ。わからないなら、思い切って子供の頃の夢でも叶えてみるか」と思ったんです。

子供の頃は空に憧れていました。飛行機、特にかっこいい戦闘機が大好きでした。よくノートなんかに絵を書いていたものです。自分が空を飛ぶこともよく想像していました。

「そうだ。空を飛ぶことが夢だったな。それなら一度、飛んでみよう。」そう思ったのがパラグライダーを始めるきっかけでした。

子供の頃の強い思いというのは、とてもピュアで強力なのでしょう。一度飛んでからはその世界に魅了されました。そこからはチャンスがあれば飛びに行っていました。

パラグライダーが素敵なところは自分のスキルが上がると、次の目標が見えてきます。丁度いい、ちょっと背伸びしたくらいの目標が見えてくるスポーツなんです。

最初は飛ぶだけで、すごい感動します。そのうち何度か飛んでいると、不思議と長く飛んでいられることがあります。実は上昇気流の中を飛んでいて、その分長く飛んでいたんです。もっと上昇気流を使って長く飛んでいたいと思い始めます。そんな飛びを繰り返していると、そのうち上昇気流を使って高く上がることが出来るようになります。最初はちょっとだけしか捕まえられませんが、うまくなってくると1000m近く上がれるようになるんです。

1000m→2000m→3000mまで上がった!
1時間→2時間→3時間飛べた!
長距離飛行で10km→50km→100km飛べた!!

という感じに、次から次へと新しい目標がみえて来るんです。空からの美しい世界を見ながら、新たな目標に向かって飛ぶ。そこがパラグライダーの面白いところです。

もっと高く、もっと長く、もっと遠くへ。
思いっきりハマってしまい、そんな思いはどんどん強くなっていきました。
もっとうまくなりたいと、大会に出るようになり、気がつけばワールドカップ出場が目標になっていました。実は秋に開催予定される韓国でのワールドカップへの出場も検討していました。

そんな時に墜落してしまいました。

リスクのあるスポーツだし、こんな事になってはもう辞めるだろうと思われる方もいらっしゃると思います。
でも自分としては、本心としては、、、

また飛びたい。

そう強く願っています。
復帰できたらどこまで飛びを突き詰めるかはまだわかりません。当初はワールドカップに何度か出て、本物の技術を持ったパイロットとなり、その上でモーターパラグライダーによる空撮家に転向しようと考えていました。

今までは「飛ぶために飛ぶ」という感じでしたが、どこかでシフトしていき「撮るために飛ぼう」と思っていました。

怪我が治り、リハビリで体が戻ってまた飛べるようになったとして、競技やモーターへの転向をするのか、いや、できるのかはまだわかりません。理由はまずリスクの問題です。競技フライト、空撮フライトはどうしても無理してしまう部分があります。そのリスクをどこまで許容できるのかはまだわかりません。また、競技もモーターパラグライダーも装備重量がかなり重くなります。どこまで治療した腰が許容出来るようになるのかもまだわかりません。

なので復帰できたとして、今までとは飛び方やどこまで追い求めるかの形はかわって来る可能性はあります。ですが、また飛びたいという気持ちは強くあります。また大空を舞う日を夢見ています。空はそれくらい魅力的な場所なんです。

〈今の精神状態 〉

どう自分の周りの人と関わっていくのか、写真の事、パラグライダーの事を長々と書いてしまいましたが、これが今自分が見ている復帰後の未来です。

一方で、現実は足を思うように動かせず、ほぼ寝たきりの状態で病室のベッドに横になっています。

でも描いた未来を作れるように、まずはリハビリを頑張っていきます。幸運な事に怪我の割に神経へのダメージが少なかったです。理学療法士さん曰く、リハビリ次第では事故前の状態に90%以上戻せる可能性もあるそうです。

ならどんなにつらいリハビリでも耐え抜いて、
可能な限り運動機能を、体を元に戻してやる!

今はそういう気持ちで日々のリハビリと向き合っています。
これが不思議で、今までの自分であれば、元々の生活と今の現実のギャップだったり、前に進まない日々にイライラしたり、怒っていたと思います。そういうネガティブな自分が今は殆ど出てきません。むしろ、そういうネガティブさが出てこなさすぎることに不安さえ覚えることがありました。でもどらやら現実を受け止めて「今の自分」に集中出来ているみたいです。だからネガティブな自分が出て来ずに日々のリハビリに全力で向き合えているみたいです。

〈今の精神状態2〉

事故があってから、自分の精神状態で大きく変わった部分がもう一つあります。感受性が高まっているみたいです。すごく涙がもろくなりました(笑)

特に人の思いとか、情熱とかそういったものに敏感になりました。皆さんから応援メッセージを頂いただけでも、もう涙がボロボロでてきます。スマホでそういう感動系の動画なんか見たら、もう号泣で(笑)

あとは赤ちゃんや犬、猫なんかをすごく愛おしく感じます。今は姉夫婦が飼っている犬と猫たちにとても夢中です。写真や動画を何度も送ってもらっています。

この感受性の変化も自分でびっくりするくらいです。色々あって、敏感になっているのでしょう。

〈まとめ〉

そんな感じで今は病院での日々を全力で向き合っています。心は自然と落ち着いていて、邪念が出ることなく、リハビリや治療に集中出来ているのでいい感じなんだと思います。

リハビリ頑張って、元気な姿で戻ってこれるよう、前に進んで行きます!


〈追記〉

この投稿を見てくれたある人がメッセージを下さいました。
そこで改めて気づいたことが。

多分、その瞬間、瞬間で何かに没頭している事が大切なんだと思いました。
この先、どこまでリハビリで体が元に戻るかはわかりません。
でも今は治すんだと強く思いリハビリに集中する。その先で描いた未来と違っていても、そこからまた新たな目標とかを作って、その瞬間、瞬間で向き合っていく。それが大切なんだと気付かされました。

今できることをしていく。
今できることに集中し、歩んでいく。
そこに重きをおいてまず治療に集中していく。
その先のことはまたその時に考えていこう。
今に集中して積み重ねた先にはきっといい未来が待っている。

そう信じて進んでいこうと思います。



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