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大津市のマンション乱立がもたらすもの(ローカルトピック)

前回の記事『大津市のマンション価格の高騰について』に書いた通り、大津市中心部には続々とマンションが建てられており、次の約2年で新たに3700戸以上の部屋が販売される見込みだ。ではこのマンション需要はどこまで伸びるのか、価格はどうなっていくのか。新築に加え、売れ残っている新古マンションや、中古マンションまで、幅広い選択肢がある中で、いつ、何を選ぶべきかは悩ましい問題である。

個人的な体験になるが、この一年以内にも友人に購入を勧めた物件があった。駅からは少し遠く、専有面積も70平米を切る比較的小さな部屋だったが、築年数15年程度でレイクビューの高層階が2000万円台後半という掘り出し物だった。早くから目を付けて内覧も済ませ、友人も気に入ってリフォームの段取りに入ったが、好条件ゆえに取り合いになり買い逃してしまった。

そのような人気物件がある一方で、値下げをしても全然売れていない物件もたくさんある。また、実際に新築・中古物件を購入した知り合いや、中古マンションを売ったご近所さんの経験など、身の回りで起きてきた「売った、買った、止めた」の話と、マンション急増による人口増加がこの地域にもたらしている問題、また改善策などを考えていきたい。


中古マンション価格は停滞から下落局面へ

新築マンションの建設がまだまだ続くこのエリアではあるが、中古マンションもたくさん出ており、条件次第では新築よりも(当たり前だが)人気がある。また、売り捌けないまま築年数だけが増えている未入居物件「新古マンション」も実はかなりある。加えて、別荘や投資目的で購入したと思われる、「ほぼ使っていない中古」物件も多いことが分かってきた。

売れ残っている未入居マンション

たくさん建てたはいいが、売れ残っている部屋も多い。前回の記事で書いたように、琵琶湖畔だからと言って、どの部屋からも湖が見えるわけではない。また、窓が北東を向いていたり、南を向いてはいるが眺望がイマイチだったり、駅が思いの外遠かったり、間取り悪かったり、駐車場が少なかったり、予定外の高層ビルが隣に出来てしまったりと、条件が良くない物件もある。

そして何より、この10年余りは供給が急増した上に価格の変動が激しく、正気の沙汰とは思えない値段をつけた物件も散見されてきた。要するに、

調子にのって値段を釣り上げ過ぎ!!!

のために、売れていないのである。

そうして入居が始まっても売れ残ったまま、数ヶ月が過ぎ、1年が過ぎ、2年が過ぎ、3年が過ぎ・・・という未入居物件がかなりあるが、それらの物件は、表向きの価格、つまりネットに出ている販売価格等を据え置きにしているという特徴がある。

それが新古物件と中古物件(値下げしていく)の違いなわけだが、新古物件は、新築時にその値段で買った人がいる以上、建前上は値下げができないものの、いずれにせよ「そんな高額では買う人は誰もいません」という状況が数ヶ月から数年も続いているわけなので、交渉すればたいていは値下げしてもらえる。かなり大幅な値下げも可能なため、お金はないがこのエリアにどうしても住みたい人には狙い目の物件と言えるかもしれない。


センシティブな需給バランスと価格

建設ラッシュに価格高騰というと、この地域の不動産人気はうなぎのぼりのように見える。実際、10年以上前に物件を買った人たちからすれば「地価は確実に上昇してきた」というのが自然な感覚だろう。もともと京都の町家を欲しがっていた友人に、人気上昇エリアとして「大津市」を紹介したのは、言うまでもなく私自身である。

ただ、この人気が盤石かと言えば、案外そうでもないことがこの1年ほどの動きで分かってきた。また、3つの巨大マンション建設を控えるこの地の需給バランスは、別次元での危うさを抱えるのではと予想している。

コロナ禍の量的緩和を受けて急上昇した日本の株価は、その後の2021年半ばから停滞、2022年には一旦下落局面に入った。この株価の動きから少し遅れて、それまでイケイケの上昇を続けていた大津市内のマンション市況も停滞、そして秋ごろから下落し始めた(と、素人ながらに感じた)。

分かりやすく言えば、それまでは売られていなかったような中古、新古のマンションがわっと売りに出されたのである。特に、近年の価格上昇を受けて「投資目的」で買っていたのであろう「築数年の未使用の部屋」などが、焦ったように売りに出され、売れずに値を下げていく様子が見られた。

大津市のマンションは、あくまで「居住用」であり、投機的な値動きには影響を受けにくいと思っていた私たちは、この地域も例外ではないことを思い知らされた。供給量が急激に増えて購入目的が多様化した現在、そしてまた、さらにそうした傾向が強まる今後については、物件の価格はこれまで以上に不安定になり、株価や金利などの影響を受けやすくなる可能性がある。大津市のマンション価格は、住民たちが思っていた以上にセンシティブだったようである。

購入時の1.5倍?その査定額で売れるのか

それでは、実際に部屋を売った人はどうだったのか?近所に住む知り合いから「マンションを売って引っ越そうと思う」と相談を受けたのは、株価が下落し始めた2022年の秋の初めだった。条件は、築10年以上ではあるものの、駅徒歩10分以内、レイクビュー。広々の80平米超に高層階と文句なしの物件だった。

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