中村安希

(作家/旅人) 著書に『インパラの朝』『リオとタケル』『N女の研究』『もてなしとごち…

中村安希

(作家/旅人) 著書に『インパラの朝』『リオとタケル』『N女の研究』『もてなしとごちそう』ほか。

マガジン

  • らくがき(定期購読マガジン)

    身の回りの出来事や思いついたこと、読み終えた本の感想などを書いていきます。毎月最低1回、できれば数回更新します。購読期間中はマガジン内のすべての記事をご覧いただけます。

  • 就職氷河期世代 〜絶望の世代はどこへ向かうのか〜

    就職氷河期世代とは何か?中年期を迎えた絶望の世代が、これからをどう生き、死んでいくかについて考えました。*本マガジンは、旧題『Ice Age Generation』として『らくがき帳』内に書き溜めてきた記事をまとめたものです。

  • 短編集

    読み切り作品用のファイルです。

  • ジビエ連絡帳

    近所で駆除された鹿や猪141頭を解体し、お肉を食べる(食べてもらう)活動を続けてきました。ジビエ肉(主に鹿肉)をささっと調理し、おいしく食べるために挑戦したレシピなど、肉の取扱いに関する情報共有を目的としたマガジンです。

  • 日記

最近の記事

解体処分しようと思っていた「おくどさん」。だんだん捨てるのがもったいなくなってきて、再利用できないかと悩み始めた。でも、これだけ傷んでいるとさすがに無理かな・・。

    • 大学院のこと(11) (留学・進学体験談)

      香港大学大学院で過ごした日々は、入学前に期待していたものとは違っていた。留学全般にかかった費用や労力、また進学によって失ったものについて考えると、それなりに後悔はある。 ただ一方で私は、香港という地で大学院に在籍したことを全くの無駄だったと思っているわけではない。ここまでの十話では「期待はずれだったこと」について書いてきたが、ここからは「それでも行って良かったこと」を書き進んでいきたいと思う。 大学院では卒業に必要な単位として10科目を履修した。そのうちの3科目が詐欺的に

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      • 【森の家⑩】〜「天長地久」をそのままに〜

        庭の片付けと並行して、古家の解体が始まった。長年空き家として放置されてきた家は、床が沈み、壁が崩れて穴があき、苔むした屋根瓦から雨が漏れ、割れた土間の隙間からはワラビがわさわさ生えている。元の持ち主さんも正確な築年数は分からないということだったが、コンクリート瓦であることから、90年ほど前の建築ではないかと言われていた。 この家を初めて見た時、とてもじゃないが住めないと思った。残置物も多く荒れ放題で、干からびた動物の死骸や糞尿が散乱し、白蟻に喰われたり腐っている柱も目につい

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        • 『資本主義の次に来る世界』(読書メモ)

          中学生の頃だっただろうか、古代ローマ貴族の食事について学んだとき、なんてもったいない話だろうと思った。豪華な食事を味わい続けるために、貴族たちは食べたものを無理やり吐き出していたという話だった。それならば、お腹を空かせた庶民や奴隷に分けてあげればいいのにと当時は思ったものだった。 王侯貴族が民を支配し富を独占した封建社会のあと、農奴制が解かれ、世界は資本主義へと移行した。これにより、領主や貴族による強制的な取り立てではない新しい政治経済のあり方、つまりは市場を信じるという、

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        解体処分しようと思っていた「おくどさん」。だんだん捨てるのがもったいなくなってきて、再利用できないかと悩み始めた。でも、これだけ傷んでいるとさすがに無理かな・・。

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        • 就職氷河期世代 〜絶望の世代はどこへ向かうのか〜
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          109本
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        • 日記
          9本

        記事

          【森の家⑨】〜さよならスマホ。の夢〜

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          大学院のこと(10) (進学・留学体験談)

          香港の大学院でジャーナリズムを専攻した一個人として、4つの簡単な問いに答えを出してみた。 Q、大学院は必要か不要か?(存在意義) A、私は今でも、大学・大学院は、当たり前だが必要だと思っている。学術研究機関としての大学・大学院は、多くの調査や基礎研究を担っている。データ分析、思想の構築、新しいテクノロジーへの貢献など、私たちの生活のベースとなる多くのものを生み出しているからだ。学者が書く論文は、人類の進歩をいろいろな面から支えているし、研究成果に触れることは、刺激的で面白

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          【森の家⑧】〜「遅々として進まず」の必然と必要〜

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          鹿のミートローフ

          今回は鹿肉を使ってミートローフを作りました。 ミートローフって名前だけはよく聞く料理でしたが、個人的にピンとくるものがなく、作ったことは一度もありませんでした。アメリカにいた頃に、おそらく何回かは食べたはずですが、印象が薄くてよく覚えていません。食いしん坊な私にしては、珍しいことです。 レシピを調べてもなんだか平凡。お肉たっぷりなのはわかるけど、パサパサしたイメージがあり、正直なところミンチの使い道はもっと他にあるんじゃない?とすら思ったほどでした。 ただ結論から言うと

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          鹿のミートローフ

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          大学院のこと(9) (進学・留学体験談)

          香港大学で大学院生として過ごした日々を振り返るシリーズ『大学院のこと』第9話。今回は大学院生の幼稚化という現象について書いてみたい。 香港大学では大学院生という立場で「一部のクラスメイトの幼稚化」に違和感を覚えたわけだが、加えて、教える側の立場から見た時にも「学生・生徒」の幼稚化という現象が近年では目立ち始めているようである。というのも、仕事(講演など)で学校に行くと、先生たちは次のように口を揃えるからだ。 「今の子は昔に比べると、だいぶ幼い」と。 昔の子に比べると、従

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          【森の家⑦】〜キャベツは通貨崩壊に効く〜

          このところ物価上昇が続いている。食料品も、ガソリン代も、光熱費も、これからもっと上がるらしい。鮮魚売り場に行くと「高くなったなぁ」とため息が出る。マヨネーズも、カップ麺も、バターも牛乳も油類も、じわじわと値上げが止まらない。 私たちは今、30年ぶりのインフレを経験している。物価が上がる原因はいろいろあるが、急激な円安もその一つ。10年前、1ドル=101円だったドル円相場は今、1ドル=160円近くまで(5/1現在157.68円)円安ドル高が進み、まだまだ止まる気配もない。要す

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          大学院のこと(8) (進学・留学体験談)

          大学院でジャーナリズムを専攻したら、どんな日々が待っていたか?その実体験を書き進めていく本シリーズも今回で8回目を迎えた。 2017年に修士課程を修了して以来、できれば忘れてしまいたいと考え、実際にしばらく忘れていた大学院への留学体験。今改めて「何が起きていたのか」を思い出しつつ書いていると、在学中に抱いた違和感やネガティブな感情がよみがえってきて、自分の愚かな判断(安易に進学してしまったこと)への反省と共に軽い自己嫌悪に陥っている。しかし同時に、「書くことで整理し、きちん

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          低温調理の鹿肉ロースト

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          『リバタリアンが社会実験してみた町の話』(読書メモ)

          ある心理的研究によれば、 と推測されているそうだ。なるほど、そのせいかもしれない。私がリバタリアニズムに興味を持ったのは…。 リバタリアニズムとは、自由至上主義のことである。この数年、「国家権力や既存の社会システムからの離脱」について考える機会が増えたことで、アナーキズム(無政府主義)やリバタリアニズムといった思想にも少しばかり関心を持つようになった。 関連本として目を通した『リバタリアニズム~アメリカを揺るがす自由至上主義~』(渡辺靖著)によると、リバタリアンとは、自

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          【森の家⑥】〜森の脅威とトイレの神様〜

          長い助走期間を経て、いよいよ【森の家】が始まった。助走していた間にも地域の人から話を聞いたり、元の持ち主さん(売主)と話し合いを重ねたことで、購入と同時に突然始まったという感じはなく、出入りを繰り返すうちに気づいたら始まっていた、というのが実感だった。 売買契約書を作成する上で、私が唯一こだわった点が「売り主さんの責任で残置物を処理してもらうこと」だった。古家の中に詰まった所持品やゴミなどを撤去した上で物件を明け渡してもらうという意味だ。古い空き家の売買では、「残置物」がよ

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          【森の家⑤】〜AI時代の不動産売買〜

          家にせよ、土地にせよ、不動産を所有することは生涯ないだろう、というのが30代までに考えていたことだった。私は小さなアパートでの賃貸暮らしを気に入っていたし、引越しをするのも好きだった。高校卒業と同時に実家を離れてからの20年間は、海外で暮らした時間も長く、賃貸アパートに加え、間借り(ホームステイ)やシェアハウス、学生寮などを転々として、随分といろんな環境で生活してきた。一年の半分くらいは旅に出て家を空けていたのもあって、「マイホーム」が象徴する定住型の暮らしに自分を重ね合わせ

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          大学院のこと(7) (進学・留学体験談)

          大学院での実体験を紹介するシリーズ「大学院のこと(1)(2)(3)(4)(5)(6)」の続き。 大学院の先生たちは、ある意味で「タイパ教」または「コスパ教」の信者のような人々であり、極力自分の時間や労力を使わずに「授業をやった」ことにしてサラリーを得ることに長けていた。掛け持ちしている仕事先からテレワークでちょろっと教えてみたり、同じ教材を繰り返し使って時間稼ぎをしてみたり。なんやかやと言い訳をして(嘘までついて)授業にさっぱり来ないくらいならカワイイもので、学期早々に国外

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