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大津市のマンション価格の高騰について(ローカルトピック)

滋賀県大津市のマンション価格は、異常なくらい高騰している。お隣の京都市の不動産価格も、社会問題化するほどの上昇を続けてきた。

私自身は大津市内のマンションに住んでおり、また国内外の友人・知人に「京都市内または大津市内の物件(京町家かマンション)購入」の手伝いを頼まれていることから、その価格や条件を観察してきた。内覧にもあちこち出かけたし、物件取り引きやリフォーム関連の情報も集めて回った。住民として日々の暮らしの中でオンタイムで感じてきた地域の変化もあれば、近隣住民からの口コミで知った情報もある。だがその中で今、思っていることが1つある。それは、

大津市内のマンションは、ババ抜き最後の一周が始まる一歩手前くらいにいるのではないか、ということである。もう少し具体的に言うと、2年後(2025年ごろ)を目処に、この一帯のマンション価格は下落、場合によっては暴落もあり得るのではないか、ということだ。

私自身は暴落してもしなくて正直あまり関係ないが、これから購入する人は、そうも言ってはいられないだろう。実際に「大津市のマンション探し」を私に丸投げしている国外、県外の友人たちには、ここへきて一つの忠告として伝えなければいけなくなった。

「マンション価格は高騰している。お金に余裕があって、尚且つ利用目的がはっきりしていて、どうしても欲しいと思うなら、もちろん買えば良いと思うし、より条件に合う物件の購入も手伝う。ただし、大津市内のマンションは、次の2年以内に供給過多で価格崩壊する可能性があること。急激な人口流入と地理的制約によって住環境が急速に悪化する可能性があること(部分的にはすでに始まっている)を心に留めた上で検討した方が良いのではないか」と。


なぜ大津市のマンションは急増しているのか

大津市と一口に言っても、該当するのは市内の限られた地域である。沿線で言えば以下の地域。

JR琵琶湖線の「大津駅」「膳所駅」「石山駅」「瀬田駅」
JR湖西線の「大津京駅」
京阪石山坂本線の「京阪石山駅」〜「近江神宮前駅」
京阪京津線の「上栄町駅」

この地域では、過去20年ほどでマンションが急増、また価格も高騰してきた。とくに琵琶湖畔は僅かでもスペースが見つかればマンション建設が始まるという状況が続いており、また商業施設を解体したり、田畑を埋め立てての宅地利用など、再開発が続いている。ではなぜ、大津市のマンションは急増しているのか。

西大津エリアの再開発

近年特にマンションが乱立状態にある「大津京駅」の沿線地域は、元は「西大津」と呼ばれる治安の不安定な地域だった。そのため、京都・大阪へのアクセスがよく、景観にも優れた地域であったにも関わらず放置されてきた過去があるらしい。現在もこの地域には競艇場や複数のパチンコ店などが集中しており、2019年にファミリー向け商業施設に生まれ変わった「Branch大津京」も元は競輪場だったことからも、いわゆる「賭博のまち」としての顔がある。

もともと手付かずの状態だった地域が2000年代半ばごろから徐々に再開発され、多少の軋轢はあったもののイメージが変わり始めると、2010年代半ば頃から、湖岸エリアのマンション人気が急騰。新築マンションが所狭しと建てられるようになり価格も一気に上昇した。

京都市内の不動産価格が高騰

大津市のマンション需要の高まりは、再開発によって住みやすくなったことに加え、お隣の京都市内の不動産価格が高騰したことが大きい。また京都市は財政難やオーバーツーリズムの問題を抱え、普通に暮らすには、高すぎる狭すぎる上に住みにくいことから、京都への通勤通学が可能な大津市内の物件需要が高まった。

ただし、大津市のマンション価格も、既に「庶民向け」ではなくなってきており、売り出されている部屋の面積も立地によっては縮小傾向にある。それでも京都市内よりは広くて安い。

マンション乱立!新たに3700戸超が発売

大津市では新築マンションの建設ラッシュが続いている。現在も多数のマンションが建設中であり、販売を開始しているものから着工前のものまで、地域住民にしてみれば「またマンションが建つの?!」が日常会話となっているほどの乱立ぶりである。

ただし、これまでの「建設ラッシュ」とは一段階レベルの違う「ラッシュ」がこれから起きようとしている今後2年(2025年〜26年)を目処に建設が予定されているマンション群、合わせて3700戸の出現である。

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