「台風銀座」からお送りする台風対策
台風17号が発生しましたね。現在、私が住む、奄美群島・加計呂麻島も結構な風と雨です。
そして、台風15号で被災された皆さまにお見舞い申し上げます。
現在も停電の中、お辛い状況にいらっしゃる方もいるとか。
どうか早い復旧を、加計呂麻島よりお祈りいたします。
さて、気候変動もあり、最近、どの地域でも他人事ではない台風被害。
「台風銀座」と呼ばれる、奄美群島の加計呂麻島に東京から移住して7年の私。
自分への備忘録も兼ねて、台風対策をまとめたいと思います。
ちなみに私が住んでいる加計呂麻島は、鹿児島県・奄美大島より船で20分の「離島の中の離島」。
奄美大島には主要な物資が鹿児島より届くのですが、9/19より鹿児島からの船は止まっています。
そして、同じく9/19より、奄美大島から加計呂麻島に行く町営のフェリーも欠航中。
海上タクシーという漁船は昨日までは動いていたようですが、宅配便は町営のフェリーで届くので、福岡の友人が送ってくれたもつ鍋セットが届かなくて切ないです。
あと、私が住んでいる家は、築50年過ぎの奄美ではよく見られる高床式の古い家。白アリにも結構やられていて、屋根はトタン。雨漏りや雨戸のはがれはご近所の方に頼んで修復してもらい、昨年、奄美に甚大な被害をもたらした台風24号では屋根が少しはがれかけたぐらいで、何とか持ちました。
昨年、はがれかけた我が家の屋根。幸い、ご近所の方がすぐに修理してくれました。屋根が飛ばなくてよかった……。
あと、台風が来たら、基本、停電するのが当たり前の場所です。
それを踏まえて、ご覧くださいませ!
1.外にあるもの、全部片付ける
物干し竿は家の中か、倒して家の軒下へ。
ホースや掃除用具などで外に置いているものもすべて中へ。
自分の家の窓が危ないのはもちろん、どこかに飛んでいくのも危険なので早めにしまっておきましょう。
踏みつぶされたガム並に完全に道路にぴったり張り付いている標識。このレベルで風が吹きます。
洗濯機が外にあるおうちは、飛ばないように洗濯層内に水を貯めて、蓋をガムテープで封印(これもふたが飛ばされないため。その前に洗濯は出来る限り済ませておきましょう)。
エアコンの室外機にもカバーを付けた方がいいらしいですが、私のうちは今年、エアコンが来たばかりなので現在カバーがない……。ので、近々購入しておこうと思います。
2.水を貯める
移住してきてすぐの頃、5日間ほど断水したことがありました。
あと、台風前って私が住んでいる場所では水が濁るんですよ。
なので、早めに浴槽、鍋、ペットボトルに水を貯めます。
使わなかったら洗濯などに回せばいいので、備えあれば憂いなしの気持ちで多めに。
3.PC、タブレット、モバイルバッテリー、ランタン、充電式電池などありとあらゆるものを充電
現在うちにあるのは、WindowsのノートPC、ipad mini、モバイルバッテリー2つ、手回し充電もできるランタン1、緊急灯にもなるランタン1、電池式ヘッドライト1。とにかくすべてを充電しておきます。
停電が長期化した時に役立つのがヘッドライト。
夜間、全く灯がないところで動くのは、予想以上に怖いもの。日が暮れたあとは室内も真っ暗なので、夜にキッチンからちょっとした飲み物をとりたい、とかいう時に、ヘッドライトは大活躍です。両手が空くヘッドライトは一個は持っていたほうがいいですよ。
ちなみにランタンでおすすめはこちら!小型、軽量、防水・防塵、SOSも発せられる、モバイルバッテリーとしても使用可能、卓上でも吊るしてもOK、見た目がかわいい(そういうのも重要)。
4人用のテーブルならこれ一個で大丈夫な感じです。色違いもあるのでもう一個買おうかな、と思ってるぐらいです。
4.洗濯と入浴を済ませる
うちはお風呂が外にあるので、台風時には入浴ができません。
また、停電になれば当然、洗濯機も使えない。
加計呂麻島は暑くて湿度が高いので、洗濯ものを放っておくとすぐにカビが生えるんです。
停電が長引くと、扇風機もエアコンも使えないので、さらにカビやすくなります。
気に入っている服がカビるのは切ないので、先に済ませておきましょう。
5.保冷材と、水を入れたペットボトルを凍らせておく
エアコンも扇風機も使えず、もちろん外にも出れないし窓も開けられない状態の時、重宝するのが保冷材と凍らせたペットボトル。
首筋やわきの下にタオルを巻いて入れればかなり涼しいです。お子さまやお年寄りがいるご家庭は熱中症対策もかねて。
また、冷蔵庫の中身が少しでも持つようになります。
ナルゲンのボトルも、保温・保冷機能はないですが、熱湯を入れてもOKで冷凍もできるのでおすすめです。
広口1リットルのピンクを愛用中です。
あとUSBで充電できる扇風機もよさそう。
これとかライト付きで卓上も吊り下げもできるそう。欲しいかも。
6.車にガソリンを満タンに入れ、波や風が折れた木の枝などが当たりにくいところに移動
できれば船が止まる前に車のガソリンは満タンに。いざとなれば発電できるし。そして、木の枝などが当たりにくく、浸水しにくい場所に移動します。
普通に雨戸とかバナナの木とか飛んでくるので。
7.窓にカギをかけ、雨戸を閉める。
普通に枝やものがびゅんびゅん飛んでくるので、大抵のうちに雨戸がついている南西諸島(台風で飛ばされてなくなっている場合もありますが……)。
雨風の中、雨戸を閉めるのはかなり大変なので、早めに閉めておきます。
雨戸がない場所は皆さん、ベニヤ板を打ち付けるなどでカバーしています。
それもないなら、養生テープでもしガラスが割れたとしても飛び散らないように対策してらっしゃいます(貼り方は検索するといろいろ出てきますよ!)。
雨風が吹き込みやすい場所にある窓のサッシには、いらない布や新聞紙を詰め込んでおくと後始末が楽です。
8.食べものと飲料水の確保
私が住んでいる加計呂麻島は、奄美大島からさらに船に乗っていく「離島の中の離島」。
なので、ある程度の食料は備蓄してらっしゃる方が多いです。
私の場合は、
・お米
・パスタ
・小麦粉
は常にあるので、炭水化物は何とかなる。
冷凍庫に、肉類のストックは大体いつもある(むしろ台風前に停電に備えてどんどん使っていく)。
缶詰類は
・ツナ缶
・ランチョンミート
・トマト缶
あたりは常にある。
保存がきく食べ物としては
・梅干し(自分でつけたやつ)
・らっきょう漬け(自分でつけたやつ)
・にんにく漬け(こちらでよく見るやつ。これはいただきもの)
・かつおぶし
などがある。
ので、それほど困ることはありませんでしたが、ご家族が多い方は何かと大変かと。
奄美大島では、船が止まると真っ先になくなるのが牛乳とパン。
お子さまが牛乳が好きな方などはかなりまとめて購入してらっしゃるよう。
最近では常温で保存できる牛乳もあるらしいので、各ご家庭のお好みに合わせて用意しておくとよいかと思います。豆乳は開封しなければ、常温で長期間保存できます。
ちなみに昨年の台風時は停電が4日間続いたのですが、冷凍庫にあった宮崎出身の友人からいただいた宮崎牛が悪くなってしまうので、ご近所の方とバーベキューしました。
マキシマムのスパイス付きでお肉をくれた友人。ご近所さんと美味しくいただきました。
昨年の停電時には、ストッカーに入れていた伊勢海老が悪くなってしまうから、と漁師の方がエビ汁を振る舞ってくれたりも。
これが俗に言う南国の台風祭りというものですが、やっぱり、美味しいものって人を元気にするんですよー。
あと、家から出れなくて心細い気持ちだったときに、誰かと食事をできるのってすごくほっとします。
加計呂麻島に来てすぐは、やはり台風が怖いのでインスタントラーメンをたくさん買ったりもしていたのですが、数日程度なら、米・パスタ・小麦粉と缶詰類と保存食で何とかなりました。
お米炊いて梅干しとおかか、とか、パスタ茹でてツナ缶とトマト缶、とか、フライパンでパンを焼いて、ランチョンミート焼いて、トマト缶でスープ作って、とか。
ただ、被災の状況によっては料理をする気力もない、ということもよくあるので、そのあたりは各自でご判断を!
9.火の確保
と、食べものについて書いて気付きましたが、加計呂麻島はプロパンガスなんです。
だから、停電してもガスは着く。
けれど、オール電化のおうちだったり、電気で着火するタイプのガスコンロだと使えなくなりますよね。
鍋用のカセットコンロや七輪は、やっぱり一家に一台はあったほうがいいかもですね。
10.通信インフラの確保
昨年の台風24号では、DoCoMoの電波塔が倒れたため、DoCoMoユーザーは数日間携帯が使えず、auは電波塔に蓄電装置があったものの、停電から数日たつと電気が切れ、近くの島から来る電波を海辺でぎりぎり拾ってご家族に通話している方がいらっしゃった加計呂麻島(ちなみにSoftbankはもともとほとんど通じないので、ユーザーがほぼいません)。
その時、ご近所の方に聞いて初めて知ったのですが、停電していても、黒電話は使えるそうなんです。
電話線が切断されない限りは大丈夫だそうです。
いざという時のために、家の電話は黒電話にしておく、というのもアリかも、と思いました。
11.というか、危なくなる前に避難
我が家は避難所から徒歩1分という近さなのでまだ私は避難経験はないのですが、ありとあらゆる準備を済ませたら、玄関口にこちらを用意しておきます。
・レインスーツ上下
15年以上前にフジロック用に購入したmont-bellのゴアテックス上下と、こちらのアーヴァンの「天の恵」を愛用しています。ゴアテックスはなかなかいいお値段したけど、15年経っても大丈夫な耐久性がすごいです。
去年、取材中に雨がきそうで急きょ、購入したのが「天の恵」。リーズナブルだけどすごく優秀なので普段使いに。名前が「天の恵」というところもお気に入り。私は「恵ちゃん」と呼んでいます。
ちなみに傘は役立ちません。むしろ飛ばされて、どこかに刺さっちゃうから危険。片手がふさがるのも怖いし。本当、最近の雨具の進化はすごいので、一人一枚レインスーツを持っていて損はないですよ。
・(猫がいるので)猫キャリー、ペットシーツ、ペットフード、水
わが家の猫・ミル氏(かわいいって言われたら私が喜びます。ミル氏にも伝えておきます)。現在・約4キロ。ペットフードなどと合わせて考えたら6キロぐらいの重量になるかも。猫の体重管理は、健康面と言う意味でも、そして災害時にも大事になりますね……。
・長靴
折りたためて、軽いこちらがおすすめ。デザインもかわいい。
・着替えや食料など当座必要なものを詰めたリュック
大き過ぎるかな、と思ったけれど、買っておいてよかったやつ。災害時用にアウトドアブランドのリュックは1個は持っておいたほうがいいかと。背負った時の疲れが違います。
あとは、
・PCのバックアップをしたハードディスク
・モバイルバッテリー、ランタン類
・財布、カード、身分証明書類
を用意しておきます。
昨年の台風では、万全に準備をしていた友人宅が半壊したり全壊したりしていたので、対策をやるだけやったらしょうがないかと。
何かあったらすぐに出れるように準備しておきます。
12.都会の方向けに。先に聞いておいたほうがいいこと
いざという時、慌てないために事前に聞けることは聞いたほうがいいかと。災害時は、自治体も管理会社もパニック状態だろうし。
・最寄りの避難所はどちらですか?
・(ペットがいる場合)避難所にペット同伴はできますか?
・避難所にはどのぐらい、毛布や水などが備蓄されていますか?
・避難所の収容人数はどのぐらいですか?
(このあたりを先に聞いておくと避難のタイミングと持ち物の判断がつきやすいかと。お住まいの自治体に聞いてみましょう!)
・お近くの携帯電話の電波塔は蓄電式ですか?
・蓄電式の場合、どのぐらい電池が持ちますか?
(携帯の充電がまだあっても電波塔がダウンしたら通話できません。ご使用のキャリアに聞いておいた方がいいかと思います)
・マンションなどにお住まいの場合、停電時でもエレベーターは動きますか?
・蓄電装置でエレベーターが動くなら、その蓄電が持つ時間はどのぐらいですか?
・電気で水をくむタイプのマンションなら、停電した場合、水はどうなりますか?
(マンションの管理会社に聞いてみましょう!)
・コンピューター制御のトイレの場合、手動で流す方法は?
・また、停電が終わったあとの復旧のやり方は?
(昨年の台風では、お年寄りがコンピュータ制御のトイレの復旧のやり方がわからなかったようで、ほかの場所でトイレを借りているところを見ました。お年を召した方にこれはきついですよねー。
停電時には、電池で動くようにすることのできるタイプもあるそうです。各メーカー、型番によってやり方が異なるので、メーカーに聞いてみましょう!)
・給湯器は停電時使えますか? また、復旧の方法は?
(こちらもメーカー、品番によって異なるのでメーカーに聞いておきましょう!)
あと、雷が鳴ってる時は、PCやスマホなどは充電しないほうがいいですよ!
落雷によって電圧が急激に高まるため、機器が故障したり、下手したら感電の可能性も。
雷対策つきのOAタップもあるので、Wi-Fiルーターやモデムなど常時使っている器具には、そちらをお使いになるといいかと。でも、過信は禁物なので、出来れば接続しないほうがいいです。
さて、現在も台風中の加計呂麻島。
昨年の台風24号の時、4日間続いた停電の際に思ったのは、
「冷たい飲み物が飲みたい」
「揚げ物が食べたい」
でした。
あったかいものは火が使えれば何とかなりますが、冷たいものは電気がないと難しいもんね……。
停電三日目、まだかろうじて冷えていた自販機のジュース(といっても普通に考えたら生ぬるい)を被災した友人に差し入れ、自分もご一緒した時、
「何これ、ものすごく美味しい」
「文明の味がする」
「昔、お殿様が夏に氷を運ばせた意味がわかる」
と、思わず江戸時代まで思いをはせたほどでした。
「揚げ物が食べたい」のは、
エアコンも扇風機もなく台所が暑い、日中は、台風でぼろぼろのあちこちを片付けるのに忙しく(いつもの道にも枝や石がごろごろあってそれらを片付けなければまず通り道がない)、日が暮れたら真っ暗になるので揚げ物をしている余裕がない、
という物理的な理由と、
「生命の危機を感じるとカロリーの高いものが食べたくなる」のではないかと、私は勝手に推測しています。
ちなみに台風後、ほかの島に住んでいる友人とも「なぜか台風時、揚げ物食べたくなる説」で盛り上がりました。
台風コロッケもそのへんから生まれているのかしら。
確かに停電が長引くと、なんだかんだと手間暇かかるコロッケは食べにくいので、先に食べて置いたほうがいいかもですね。
ちなみに、今、私は冷凍庫にあった鶏肉を解凍して唐揚げにして食べ、空いたスペースに保冷材を詰め込みました。
あ、あと、これは当たり前だから書き忘れてましたが、
13.台風中は絶対に外出はしないこと!!
やめとけという意味で、昨年の台風での我が家近辺のBefore/Afterを載せます。
我が家の前の道。当然ながら車通れない。
「男はつらいよ~寅次郎 紅の花」の舞台ともなったでいご並木。堤防を乗り越えて来た土砂まみれ。
くつろげるあずまやがある公園もバキバキに折れた木だらけ。
いつもは真っ青な海も、台風後は完全に真っ茶色。どれだけ雨が降ったかがよくわかります。
14.南国での台風中に一瞬だけ外に出た15年前の若気のいたりと、最近の台風中の過ごし方
私が南国の台風を始めて経験したのは、15年以上前の沖永良部島なんですが、
「えー南の島の台風って初めてだしちょっと味わってみたいー。ていうか、シャンプーとかできるんじゃないの?」
と、頭にシャンプーをつけて外に出た結果、
「雨って痛いんだな、ていうか目開けられない」
「ドアごと自分がもぎとられそう」
「ていうか戻ろうとしてもなかなかドア閉まらない」
「シャンプーが流れる前に自分が流れる」
と思いました。現在、台風でT.M.Revolutionごっこしている人にはまじでやめとけ、としか言えないが、当時の私も他人のこと言えません。
ちなみにその当時はリゾートバイト中、友人と同居していたのですが、
「8畳ほどの部屋で全力で怒鳴り合っても会話ができない」
「最大音量にして『呪怨』を見ていたが、音が全然聞こえない」
「ホラー映画は音が聞こえないと全く怖くない」
という発見がありました。
台風中は、万全の対策をしたあと、
電池が持つならラジオ聞いたり(被害状況を知ることも出来るし、台風で大変なのはひとりじゃないんだなあ、と思えて勇気づけられる。ただ、長引きそうなら、電池節約したほうがいいかもですね)、
一緒にいる人がいるならトランプしたり、ウノしたり(久しぶりにやると意外と盛り上がる)、
キャンドル灯して瞑想したり(ごうごう響く風と雨の中でどれだけコンセ―トレーションできるか。静かなる自分との戦い)、
閉めきって蒸し風呂化している部屋でヨガをすれば自動的にホットヨガ(熱中症にはお気をつけて)、
と、閉じこもって楽しく過ごすことをおすすめします。
9/22は私が住んでいる集落の運動会なのですが、台風で1週間後に延期になりました。
昨年も台風被害で、運動会がちゃんとできなかったので、来週こそ晴れてくれることを祈ります。
これから進路方向の皆さま、どうかお気をつけて!
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作家/『ILAND identity』プロデューサー。2013年より奄美群島・加計呂麻島に在住。著書に『ろくでなし6TEEN』(小学館)、『腹黒い11人の女』(yours-store)。Web小説『こうげ帖』、『海の上に浮かぶ森のような島は』。