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自分を大切にしながらも和を保てるデンマーク人

ここ数日続けて、日本の友人たちと話していて、デンマークのことをもっと知りたいと言われたので、これからはもう少しデンマークのことも書いていこうと思います。

今日は、デンマーク人は自分がどう思うかを大事にして生きる人が多いことについて。

私がデンマークに来て間もなかった頃の印象は、「日本人に似ている」でした。というのは、デンマーク人は割とルールを守るとか、和を大切にする人が多いと感じていたからです。声高に自己主張する人も少なく、会食などしていても割と民主的にみんなが話します。

(↑ Royal Runという市民マラソンの写真です。分かりにくいですが、押し合いへし合いすることなく、みんなきちんと順番を待っています。)

でもデンマーク人はドライだとも感じていました。必要以上に人のことに介入したり、押し付けるようにアドバイスする人がいなかったからです。親切だけれど、押し付けがましくない。見知らぬ人に「手伝いましょうか?」と言われて、「いえ、大丈夫です」と断ったら、「あ、そうですか」とすっと離れていく感じとでも言いますか。もう一押しされたらお願いしようかな...なんて遠慮していたら、セカンドチャンスはなかったということが何回かありました(笑)

もちろん、状況によっては「本当に大丈夫?」と聞いてくれることもあるので、決して冷たいわけではなく、大人である本人が大丈夫と言っているのだから、それを信じようという、他人を尊重する姿勢の表れだと思います。

それはつまり、自分の考えや意見をとても大事にするということの裏返しでもあります。この点で、人の考えや価値観をすごく尊重する日本人と真逆です。

それなのに、どうして日本と同じように、いやむしろ心地よさげに和を保つことができるのか?

それは、日本人が和を保つために自分を周りに合わせようと考えるのに対して、デンマークではそれぞれの個性を大切にすることで、満たされた個人が社会の和を保つと考えているためです。

そのことは、幼稚園くらいの教育姿勢にも表れています。もう5年ほど前、通訳として幼稚園の視察に同行したことがありました。そこで上記のような考え方を園長先生から聞きました。そして「自分が満たされていないのに、どうやって他の人のことを大切にできるのですか?自分を幸せにすることを知らないで、他の人のことを幸せにすることはできないでしょう。」と。

当時まだまだ日本人モード全開だった私は、衝撃と感動の混ざった気持ちを味わったことを、今でもよく覚えています。同じゴールを目指しているのに、アプローチは真逆だ!と。

自分を大切にするから、他人のことも大切にする。自分の意見を尊重して欲しいから、他の人の意見も尊重する。ゴールが同じ「和を保つ」なのであれば、自分を押し殺して他人に合わせるやり方よりも、デンマーク人のような考え方の方がずっと楽にいられると思うのは、私だけでしょうか。

NLP的にもこの考え方は理にかなっています。というのは、私たち人間は誰一人として、全く同じ考え方や経験をする人はいないからです。人間は誰しも自分のフィルターを通して世界を見ていて、同じようなことを考えているように感じても、実際に頭の中で100%同じことを考えていることはありえません。だとしたら、みんなが同じだと「思っている」一つの考え方に自分を合わせるというのは、結構な難題だと思うのです。

それよりは、人はみな違う考え方をするものだという前提で、それぞれが自分の好きな考え方で自分を満たし、それによって社会の調和を保つやり方の方が、理に叶っているのではないかと感じます。

とは言え、和を大切にするという価値観がある以上、そこから外れる人に対して快く思わない人も、もちろんいます。人間ですから、妬みやっかみもないわけではありません。ただ、それを気に病む人もまた、あまり多くないという印象です。自分がどう思うかを小さい時から鍛えられている成果でしょうか。それとも穏やかに幸せにいることを最重視している価値観のおかげでしょうか。

人が考えていることは聞いてみなければ分からない、という話し合い文化のおかげで、文脈が読めない人が多いという点は短所とも言えますが(特にデンマーク語が苦手な外国人にとっては「察してよ!」という場面も多々あります)、それは聞いて話し合えばいいだけのこと。人や社会に合わせて生き辛さを抱えるよりは、ずっと簡単に解決できることです。

(↑ カフェで談笑するHyggeな時間も大切なコミュニケーション)

まずは自分を大切にしましょう。そのことで家族や周りの人が幸せになり、その人たちが他の人を幸せにして、やがて社会が幸せに...という循環が広がっていくはずです。

日本でも社会の変化が起きつつあり、その過渡期で悩んでいる方も多いのかなという印象を受ける昨今。そんな方々にとって、何らかの考え方のヒントになればこの上ない幸せです。

お読みいただき、ありがとうございました。今日もあなたが自分らしく幸せな1日を過ごせますように。God dag!

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