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姓について

選択的夫婦別姓制度の話もあるのだけど、その賛否はひとまず置いておいて、きわめて個人的な思いを記したいと思う。

31年を過ごした名前とお別れしたくない

私は結婚する前は山本亜希子という名前だった。
結婚をしたら相手の名字になる。女なら小さな頃から、何故だか考えもしないけど、漠然とそう受け入れている。そんな気がする。
私もそうだった。
相手の名字になりたくないと思っているわけではなかった。けれどいざ結婚するとなると、それまでの自分と切り離されるような感覚があった。
それがすごくすごく寂しくて、叶うならどこかで“山本亜希子”を存在させてあげたかった。
会社での旧姓使用を望んだけれど、パートナーは否定的だったので、私は名字を変えた。
私は今も時折ぶり返したように旧姓を残したかったと悔やむことがある。
今思えばあの時に物分かりの良いふりをせず、パートナーとちゃんと話し合えば良かったなと思う。
31年名乗った名前には愛着があるし、アイデンティティの一つでもある。
生まれ育った家族とも繋がっている名前。
どこかに存在させてあげたかったと思うのだ。

姉の結婚式で号泣した

私が結婚するよりもっともっと前の話。
9つ上の姉が結婚するとき、姉が違う名字になってしまうこと、同じ山本を名乗らなくなることに結婚式の最中に気づき、すごく悲しくなって号泣した。
大好きな姉を奪われたような気持ちになった。姉のパートナーを恨めしいとも、その時は思ったほどだ。
それまで名字に対して執着を持っているなんてつゆほども思っていなかったが、自分と家族を繋ぐものだと私自身が認識していたことに気づき驚いた。

もっと自由に名前を選べたらいいのに

日本では結婚をしたらどちらかの姓に統一するようになっているけど、海外ではもっと選択肢があるようだ。
デンマークやフィンランドでは4つの選択肢があるらしい。

A、ふたりとも旧姓を維持する
B、どちらかを複合姓にする
C、ふたりとも複合姓にする
D、どちらかの姓に統一する

考えてみれば名前はすごく個人的なものだしアイデンティティの要なような気もするし、パートナーと決めるというのもとても素敵だけど、個人で決めても良いことなのかなと思う。
もし選べるなら私は複合姓がいい。
今までの名前も自分の生まれ育った家族との繋がりも大事にしたいし、パートナーや子供とのチーム感も大事にしたい。

同じ人物だけど別人

山本亜希子と小笠原亜希子は同じ人物だけど別人な気がしてしまう。そう感じているのはきっと私だけなんだけど。
お母さんになって妊娠して出産して母になって…だからなんだと思う。
今は子供が小さくて仕方ないとは思うけど、母であるシーンが多くて、油断してると子供が主役の私の人生になっている。
山本亜希子の時は、自分が主役が当然だったから、今から思うと羨ましいなって。
そんな思いから未だ旧姓にこだわっているのかも。
結婚しても名前が変わらず、父になった私のパートナーは、他の男性たちは、一体どんな感覚なのか。
今度聞いてみようと思う。

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