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はじめに

「モヤモヤする女と、絶望する女」について

このコンテンツを作ろうと思ったのは、10年以上ぶりに再会した喫茶店を営む友人の言葉がきっかけだった。子育てを終え、「今が一番自由で楽しい」という彼女が「女性が感じるモヤモヤについて記事を書いてほしい」と言った。

面白いテーマになるかもと思いつつ、なんとなく手をつけられずにいた。しばらくして、ふと「こういう風に書けばいいのでは」と思いついたのが、『東京の生活史』という本。

東京で暮らす150人の普通の人々の生活の話をひたすら集めたインタビュー集。インタビューされた人に共通するのは東京で暮らしているということだけ。出自も年齢も性別も職業もバラバラ。昔話に花を咲かせる人、ただ思ったこと、思いついたことを話す人、好きな芸能人の話をする人など、内容も様々だ。

編者の社会学者・岸政彦氏は『東京の生活史』について「東京の「代表」でもなければ「縮図」でもない」ともいっている。

ここに並んでいるのは、ただの偶然で集められた、それぞれに必然的な語りだ。(途中省略)… それは東京の「代表」でもなければ「縮図」でもない。それは、東京のあらゆる人びとの交わりと集まりを縮小コピーした模型ではないのだ。ただ本書は、偶然と必然によって集められた語りが並んでいる。そして、その、偶然と必然によって人びとが隣り合っている、ということそのものが、「東京」を再現しているのである。

岸政彦「偶然と必然のあいだで」

それがいいと思った。ただただ、どんな女性がいて、それぞれがどんなモヤモヤを抱え、どんな絶望を経験したのかを集めたら、それこそが「女」という言葉がさすものが浮き彫りになるかもしれない。

そこには何の教えも、答えもないはずだ。
けれど誰かのモヤモヤや絶望の話は、いつか誰かの支えになり、誰かの救いとなりうるかもしれない。

そんなことを考えつつ、偶然の出会いを頼りに、女性のモヤモヤと絶望を集めてみようと思う。目標は100人分のモヤモヤと絶望だ。

2023年7月9日編集しました。
2023年9月8日編集しました。

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