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「Will」を知りたいなら過去を掘る

こんにちは。グッドパッチで人事責任者の井出です。
久々のNoteの執筆になります。よろしくお願いします!

今回は、私が人事キャリアの中で最も大切にしてきており、軸になってもいる「キャリア開発」について書いていきたい思います。そして記事のテーマは「Willの探り方です」


背景: 自律人材育成の流行を背景に、突然Willを聞かれて困惑する現場

先日イベントへの登壇の機会をいただき、そこに参加されていた方々から以下のようなお悩みの相談をいただきました。

・最近上司との面談の機会で「あなたのやりたいことはなんですか?」「Willはなんですか?」とやたらに聞かれるのですが、全然答えられない。
・人事としての自律型人材育成を進めたいのですが、現場のマネジメントから「Willを聞いても出てこない」という声を多く受けます。

何がこのような現象の背景にあるのでしょうか?

要因として考えられるのは

  • 日々の業務、今期の目標の達成などで精一杯で中長期のキャリアのことなんて考えられない

  • (大企業の場合)これまで人事権は会社にあり、キャリア形成は会社主導で行われてきたので急に個人として「Will」なんて聞かれても考えたこともないし、考える必要もなかったから答えられない。もちろん会社を辞めて転職するなんてこと考えたこともなく、個人として必要性も感じない。

  • (ベンチャーの場合)周囲にいる人はさまざまなバックグラウンドをもつ中途入社の人で構成されていて、ロールモデルを探そうとしても、同じ経験を歩んでいくことはほぼ不可能で見つけられない。Willは自分自身でなんとか探す必要があるけど、前例が無さすぎて見つけられない。

といったようなことではないでしょうか。

特に質問されてきた方の多くが大企業でお勤めの方だったので、二つ目の急にWillとか言われても、、、という本音の悩みを抱えてらっしゃる印象を持ちました。

ではそういう方々からどうやってWillを引き出していったらよいのでしょうか?


Willは徹底的に過去を掘ることで導く

結論はこれです。普段から考えている人ならともかく、これまで将来キャリアなんて考えてこなかった人にいきなり「Willはなんですか?」と聞いて答えられるはずもないのです。逆にそんな人でも必ず答えられることがあります。それは「過去」です。

中堅以上の方であれば、少なくとも学校を卒業してきてからの多くの時間を仕事というものに費やしてきた事実があります。
若手で仕事経験があまりない人でも学生時代という過去はあります。

この過去に注目してその人の未来につながるヒントを探ることが大事なのです。

ここからは、実際にやってきていることをベースにStepを踏んで紹介します。
わかりやすくご理解いただけるように、再エネ事業開発会社で実際にあったキャリアインタビューの内容に沿ってお話しします。


Step1:「やりがい体験」を聞く

〇〇さんが今まで仕事をしてきた中で
  「自分らしく働いていていたなあ、と思える仕事」
  「時間も忘れて没頭するくらい夢中になって取り組んだ仕事」
  「今思えばやっていて楽しかったなあ、と思える瞬間の仕事」

 など主観で全然構わないので思い浮かんだエピソードを教えてください。

まずは、過去のエピソードを聞きます。最初の質問は人によって話やすい質問が異なるので、いくつかの質問のバリエーションを持っておくのが有効です。
すると過去のご自身として楽しかった記憶を呼び起こし、

「〇〇という会社で中東地域のどでかいプラントをつくるPJに参画していたことがあるんですが、何年にもわたる長期のPJで実際現地に赴任して、いろんな困難はあったんですけど、夢中でやれてたし、出来上がった時には最高に嬉しかったです!」

といった感じで、いつどこでどんなといった具体的にやりがいを感じたシーンを詳細に話してくれます。

Step2:価値源泉につながるキーワードを探す

傾聴スキルをフル活用して話を聞いていくのですが、聴きながら大事にしているのはWillにつながるヒントを探すことです。
ここでいうと「どでかいプラント」「困難を乗り越えてやり遂げる」「現地に赴任」というキーワードに着目して、何がその人にとって一番のやりがいポイントになっているのか?というのをさらに探ります。

今のお話の中で「どでかいPJ」とか「現地に赴任されていた」とか「困難を乗り切った」とかいくつもやりがいに繋がりそうなキーワードが出てましたけど、〇〇さんの中で自分なりのこだわりポイントというか、一番のやりがいになるポイントってなんでしょうか?

それでいうと「物理的に大きなスケールの仕事の仕事ができている時」ですね!もちろん困難を乗り越えること自体も大きなやりがいなんですが、私の場合その対象が「大きなスケールのものを作っているかどうか」は結構大事なんです。

やりがいポイントの解像度が上がってきました。

Step3:原体験に迫る

ここからさらに原体験や価値源泉つながる何かがあるのではないかと仮説を持ちながら掘っていきます。聞き方としてはこんな感じです。

「物理的に大きなスケールの仕事ができている時」ということなんですね〜。ユニークでいいですね。物理的に大きなスケールの仕事に惹かれるようになった原体験とかあるんでしょうか?あるならぜひ教えてください!

実は父親がゼネコンのエンジニアで働いていて、幼少期に実際父が手掛けていた海外の空港のPJの見学に連れて行ってもらってその時の「空港そのものスケールの大きさとそのインパクト」加えて父親が「この国の人たち暮らしを変えるでっかい仕事をしてるんだ」という言葉から受けた「かっこいい〜〜!」って感情が今でも忘れられないんですよね。
なので、ほぼ無意識レベルで「どでかい仕事で人々の暮らしを変えたい」というのは自分の中にある気がします。

Step4:価値源泉をキーワードにまとめ『 』にいれる

原体験にあたる経験までいけると、対話の中でその人自身の中でもぼんやりしていた自分の中で大事にしている「価値源泉」が言語化されていきます。それを『 』に入れてその方と共有するのです。
このケースにおける価値源泉は以下でした。

『人々の生活を変えるようなスケールの大きなものづくりをし続けること』

どうでしょうか?過去の話を深く深く掘って聞いていったわけですが、最終的に残ったものは「Will」そのものです。

キャリアインタビューとしては、ここからさらにこのキーワードを起点にしながら、今のお仕事はご自身の価値源泉と照らしてどうか?(理想と現実のGapの見える化をする)、そしてご自身の大事にしたい価値観をベースにしながら将来のキャリアを具体的にどうやって築いていきましょうか?と話を展開していきます。現在の話も将来の話をする際にも起点になるのは「価値源泉」になるのです。

私の場合キャリアインタビューをする際には、1時間ほどインタビューをしますが、過去の話だけで30分〜40分使います。キーワードに行き着くまでトコトン掘り続けます。それほどキャリアの価値源泉を言語化するということが大切なのです。

まとめ

Willという言葉は未来を指します。しかし、キャリア開発においては「未来に向けて大事にしていきたい意志」つまりその方自身の価値源泉を指すと私は考えています。
みなさん自身もしくはメンバーとの対話でWillを出てこない、ということがあるようなら、焦点を過去に切り替え、その人の価値源泉に探るアプローチをぜひTryしてみてください。


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