Akito_Kasahara

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主にショートショート製作に勤しんでおります。 役者をやっていますが、少し身体を壊し半休業中。それでも文字は書けるので是非読んでやってください。 (ショートショート仲間募集中!) Twitter https://mobile.twitter.com/akito_05080

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    短くて不思議な話、ショートショート。

最近の記事

スノードーム

出張先の町外れの小さな商店街で見つけたスノードーム。 少し大ぶりな形をしていて、中には銀色がみの紙吹雪のようなものが舞っている。 これまで特に興味もなかったが、なぜかこのスノードームだけは違った。 今はほどんど会話がなくなってしまったあの人とのきっかけになるかもしれないと感じた。 結婚して共働きですれちがい増えていった。仲が良いわけでも悪いわけでもないあの人との生活が苦しくなってしまったのはいつからだろう。 家に帰ると、テーブルに全く同じスノードームがあった。彼の出張先の

    • ボードゲーム

      丸型のテーブルに広げられたマス目のあるボード。椅子は5つ。 自分の親に、面白いもの見せてやると連れられてここにきた。 「またいつもの始めましょうか」 「お前は本当に好きだね」 「それぐらいしかやることがないんだよ」 すでに、4つの席には見知らぬものたちが座っていた。 中央には青く宝石のように輝く、サイコロのような立方体。 「ではスタートします!」 部屋の扉から一番遠い椅子に座るもの親が立方体の触れる。 それはさらに強い青い光を放ち、一番上の面に文字が現れる。初めて見る文字だ。

      • はしご

        どうしても超えられない壁はあるのかもしれない。 憧れた門の前に立ち尽くすしていた。現役生で迎えた去年は全く歯が立たず、諦めきれない僕はすぐに今年も挑戦することにしていた。 全力は尽くしたが結果はいいものでなかった。自分の個人情報が印字された少しただの髪を右手で握りこんでいた。 すると、目の前から校舎に向けて真っ白のはしごが伸びていった。それはぐんぐん伸びていきついに50mはあろう屋根まで届いていた。 僕はそのはしごを登ることにした。 大丈夫、足元は安定している。 少しずつ

        • 影どろぼう

          勉強も運動も苦手だった。 運動会の徒競走では一番最後だし、テストでは毎回お母さんに怒られるかひやひやすることばかりだった。 学校の帰り道、目の前にはクラスに人気者の男の子がいた。彼は運動も勉強もできる僕とは正反対の人。夕方の日差しが強い日、彼の後ろには細く、長く、それでいて大きく見える影が伸びていた。 僕はなんともなしに彼の影を踏んだ。 すると、彼はそのまま歩いているのに、影だけは僕に踏まれたままだ。 僕は彼の影を盗んだのだ。その影は僕の後ろに伸びる、もたっとした影にくっ

        スノードーム

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          11本

        記事

          タイムクロスウォーカー

          タイムトラベラーは時間を進めて未来に飛んだり、また戻して過去に行くことができる。時間というベクトルを前後に進行する。 では、時間を横切ることができたとしたら?他の人の時間ベクトルと直角に移動することができたとしたら? このベクトルは通常の時間ベクトルに対して直角に伸びていく。 通常の時間ベクトルが2本あったとして、1番近い方と同じ時間でぶつかった場合、この2つのベクトルは進み続けているから、もう一つのベクトルとぶつかるのは過去の時間になる。こうしてタイムクロスウォーカー

          タイムクロスウォーカー

          言葉の海、分離と結合

          私のいる「あ行」から、彼女の場所へ向かうにはとてもとても分厚い壁が存在している。事実数十万のものたちをかいくぐって目的の場所にたどり着くのは並大抵のことではないだろう。ここでは言葉が無数のものたちが出会い、別れ、分裂と結合を繰り返している。 初めて彼女をことを知ったのは半年ほど前、自分のいるページが開いた時、いつもと違う景色が広がっていた。それは遠く、澄み渡り、鬱屈とした気持ちを優しく撫でてくれた。その名を「空」ということを知り、美しい響きだと思った。自分の周りでは自分と似

          言葉の海、分離と結合

          砂場の創造主

          誰にでもその人にしかできないことがある。 スポーツができる人、勉強ができる人、楽器ができる人。だが私は更にその上をいく!何故なら私はこの街の創造主、つまりすべての母である。 私はなんだってできる。道具ひとつで誰もみたことがないような美しい絵を描く。地形を動かして山を作ることもできる。この腕を一振りすればその山にトンネルを通すこともできる。 となりはどうだ。みたことがない特殊な道具を使っているにもかかわらず、小さなこぶのような山に、謎の水溜り、生命のいぶきを感じない人型の塊

          砂場の創造主

          なぜなぜ木

          僕に家の庭には小さなリンゴの木がある。 いつから生えているのかわからない不思議な木だ。季節に関係なくふとした時に大きなりんごがまるまると実っている。 僕がわからないこととか、なんでか知りたいことがある時に限って実ができている。 お母さんに、どうして空は青いの?と聞いても答えてくれなかった。けれど、その時についていた身を採って一口かじると、頭の中に声が聞こえてきた。 「空が青いのは、人が上を見てくれるように綺麗な色になっているんだ」 僕はびっくりと、どきどきと、わくわくが止まら

          なぜなぜ木

          蛇口の秘密

          僕の鼻は蛇口になっている。学校の水飲み場にあるような銀色のあれだ。その出口は口の上にある。しかもその蛇口から出てくるのは自分が欲しいと思ったものだ。コーラが飲みたくなったら、口を上に向けて蛇口を捻るとコーラがでてくる。お茶も、ジュースも、水もでてくる。サッカー部の僕にとってはとても便利だ。好きな時に水分補給ができる。 監督に隠れて、練習中に大好きなサイダーを飲むことも。 今年で小学校も卒業だ。でも今年の春はなんだかおかしい。鼻がむずむずするようになった。お母さんに聞いたら、僕

          蛇口の秘密

          月とうさぎ

          ここから見える人々とても小さい。その彼らからはどんな風に見えているのだろうか。いつも通り当番制の役割を終え、体を少しだけ折りたたんだ窮屈なポーズから解放された。次に並んでいるのはカニの彼だ。 月では、それぞれポーズをとりながら人に見られてもいいように順番に役割をこなす。カニ、ワニ、髪の長い女性、老婆、新入りの親子カンガルー、そして僕だ。 殺風景な宇宙にアートをという太陽からのオーダーだった。 しかも、ポーズをしていない間は月を漕いで進めなければならない。 地球から見える表面は

          月とうさぎ

          空の色、雨の色

          暗鬱な空、彩りがない空気。 この街は僕が生まれた時からそうだった。車の排気ガスか、工場の汚染物質か、この街の空は元からそうだったのか、僕にはわからなかった。 学校の帰り道、右頬に何かがかすかに触れた。雨だ。今日は天気予報では雨が降るとは言っていなかった。 ふと右ほほを触ると、指が緑色になっていた。 空を見上げた。すると空から色とりどりの雨が降っていた。雨は透明なものしか見たことがない。しかしこの雨には色がついている。瞬く間に世界は色に包まれていった。 帰り道の真っ赤

          空の色、雨の色

          お家時間の向き合い方 スマホ時間の削減とおすすめ動画コンテンツ

          緊急事態宣言の延長が宣言されて、正直憂鬱な気分。 3/7まで耐えれば、、と思って踏ん張っていた人が多いと思うので、1日を生きるのが大変。  たまに感じることは、これだけ消毒していて特に子供の免疫力が低下しないのかなと思ってます。ある程度生死に関わることは仕方がないけど、ある程度菌にさらされていないと、アレルギーを発症しやすくなったりするので心配なところです。僕はアレルギーが多めなので、対策があればいいなと感じてます。 スマホ時間の削減 家にいるとどうしてもスマホを触って

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          近況報告、もう頑張らない

          最近全くかけていなくてごめんなさい。 昨年事務所を退社してから、コロナ禍も相まってですが、暇な時間を作ろうととしてました。 人生の中で1番暇な時間でした。 今年に入ってまた再開しようと思い、決まってることもあるのでしばらくしたらお伝えできるかと思います! 何に対してもだけど、精神的に頑張ろうとする癖があって、それを変えたいという思いもありました。 結果的に生活とか価値観の見直しをしてとても良い時期になっていると思います。 ボイストレーニングは続けているんですが、その先

          近況報告、もう頑張らない

          猫背を直してあげたい日曜日

          カフェでよく時間を過ごす。作業をする時間、暇をつぶす時間、行きたいと思っていた喫茶店。そのときによって、詳細は異なる。 以前どこかでいった気がするが、チェーン店だとタリーズが好きだ。ホットドッグをぜひ食べて欲しい。 意外とちょうどいい食事ができるところは少ないように思う。パスタは大きすぎるし、サンドイッチも小さすぎたり物足りない。 タリーズのホットドッグはあったかく、たまにはアボカドを乗っけて贅沢をしたり。とにかくちょうどいいのだ。 過度なこだわりよりもバランスとマッチング

          猫背を直してあげたい日曜日

          映画「ステップ」は今こそ観るべき

          ふとテレビをつけたら、甲子園球場で行われる高校野球交流試合が行われていた。選抜に選ばれていた高校が1試合だけする大会で、甲子園を目指していた球児にとってはうれいし大会かもしれない。 といっても日本の高校野球の醍醐味の一つは大観衆や応援歌の中でのプレーなのでそれがないのが少し寂しい。甲子園に行けなくても応援歌で名前を呼ばれたことがある身としては、欠かせないものなのだ。 ここ数日はまさに痛いくらいの暑さ。この環境でオリンピックが行われていたらどうだっただろうかと考えてしまう。

          映画「ステップ」は今こそ観るべき

          「海月空間」は期待以上間違いない

          雨のときは外出するのが億劫で、誰かに連れて行ってもらわないとなかなか外に出ないタイプ。 それでもこのところ雨続きで、このままだとしばらく外出しないのでは、という謎の危機感から飛び出すことに。 サンシャイン水族館に行ってきました。 メインは「海月空間」 リニューアルで登場したクラゲのエリア。 平日で、空いているだろうから当日券で入ろうとしたら、コロナの関係で全て事前予約制になっていたことをすっかり忘れていて焦りました。それでも空いているとのことでその場でチケットを購入。

          「海月空間」は期待以上間違いない