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子連れフリーランスが地域でHAPPYに生きる術【2021年漢字一字】

新年、明けましておめでとうございます。

「昨年の振り返りを漢字一字で振り返りながら新年の抱負を語る」という文章を毎年書いて、今年で12年となりました。東京出身で2年前に縁もゆかりもない長野県塩尻市に移住した私たち夫婦。2020年は独立・結婚・移住・開業と怒涛の一年を過ごし、2021年は「少し腰を据えて…」なんて思ったのも束の間、年明け早々の妊娠発覚からの出産、育児のスタート。さらには、会社の創立もあり、引き続きの怒涛の一年となりました。

 そんな私の今年の漢字一字は「共」

 移住先の長野県塩尻市でフリーランスとして働く私自身の身におきた妊娠出産における厳しい現実。他方、地域でフリーランスをしているからこその子育てと働き方。一年を振り返ると2021年は、「子供と共に」「家族と共に」「地域と共に」、「共有」「共存」「共立」して過ごした一年でした。
 新年の幕開けに、『フリーランスが地方移住して、妊娠出産するということ』について考えていることをまとめてみたいと思います。


■フリーランスの妊娠・出産が孤独すぎる件

 社会的なジェンダーの壁も薄くなり、産休育休を経て仕事復帰し子育てをしながらキャリアを積み上げていく女性も多くなってきました。背景には(まだまだ完璧とはいえないものの)行政や会社組織などの妊娠・出産・育児への理解とそれに伴う制度や支援の数々があると思います。
 しかし…。これらは全て「会社員」の話…。フリーランスや会社経営者など自営業者の女性とって、妊娠・出産はあらゆる制度や支援から除外された孤独な戦いと言わざるをえません。

・フリーランスと会社員出産時の金銭的格差 
 
調べなきゃいいものを、わざわざ調べて落胆したいフリーランスは「会社員 フリーランス 出産」と検索バーに入れてみてください。フリーランス(※ここでは、雇用関係を結んでいない労働者全般)と会社員では子供が1歳になるまでに300万円もの収入格差がでるそうです。育児休業給付金、出産手当金がないだけでなく、出産・育児で働けない間も社会保険料は支払い続けなければなりません。出産育児一時金42万円の支給や国民年金の控除はありますが、これは会社員にも同様ですので、フリーランスに特別認められた制度ではありません。ちなみに、出産育児一時金で出産費用全額を賄うことはほぼ不可能で、私自身産後の退院時に渡された請求書を見て、吐き気をもよおしたとかしないとか…。フリーランスの出産は日本では歓迎されないことのようです…。(※自治体によって、補助がある場合などもあります。よく調べて、もらえるものはもらっておきましょう!)

・出産=無職の現実
 金銭的な格差以上に厳しいのが仕事復帰です。どんなに男性の育児参加が進んでも女性にしかできず、どんなにパワフルな女性でも体の変化や予期せぬ事態を避けられないのが「妊娠・出産(授乳)」です。会社員同様に、臨月の頃には一時的に仕事を離れ出産に向けて準備を始めるのはフリーランスも同じです。仮に本人の健康状態がよくても、突然の出産兆候や体調変化で相手先に迷惑をかける可能性もあり、どうしても一度仕事をストップしなければなりません。会社員とは異なりフリーランスには産休明けに仕事がある保証はゼロです。男女問わずフリーランスのように自ら仕事をつくっていく場合、継続的な関係性の上に今の仕事が成り立っているケースがほとんどだと思います。出産はこれまで築いてきた関係性を一度完全に遮断する行為です。私自身、特に妊娠中には二度と戻れないのでは?という恐怖を感じていました。

 国からも歓迎されず、仕事上の身近な関係性からも遮断される、(その上体も思うように動かなくなる…)フリーランスの妊娠・出産はやはり孤独な戦いで、特に仕事をシュリンクさせてくる妊娠後期には強いストレスを感じていたのを覚えています。

↑出産までのアレコレ。

■フリーランスが地域で子育てするメリット

 …とここまでネガティブな話を書いてきて、実際子供が生まれてどうなの?大丈夫?と心配されそうですが、9月に出産以降この約3ヶ月、超がつくほどHAPPYに過ごしています。やはり国の手当ては期待できないし、仕事も産後契約継続できなかったものも…実際ありました…。それでも子育ては家族や地域の方々との「に」とりくむことができるもので、孤独どころかむしろ世界が広がっていくような感覚があります。

・「育児」を共有する
 妊娠を機に昨年4月に引っ越しをしました。塩尻の市街地から車で峠を越え約20分静かな里山が私たち家族の新しい拠点になりました。朝は鳥たちのさえずりで目覚め、夜には星空に包まれ、夏にはカエル、秋には虫たちの合唱が聞こえるいわゆる田舎暮らしの始まりです。東京からの移住者である私達夫婦にとって、地域での暮らしには馴染みのない事も多いですが、子供の存在が地域との接点を強くしてくれています。私達の子供と同学年となる赤ちゃんは10人に満たない(それでもベビーラッシュで多い方)ですが、すでに顔見知りで子育てのことや保育園のことなど気軽に相談できる相手に恵まれています。我が子は未だ生まれたばかりですが、「もう少し大きくなったら一緒に遊ぼうね!」と声をかけてくれる友達がいること、地域の人たちの暖かい目に見守られながら成長していけることは子供にとっても親である私にとってもこれ以上ない安心材料です。
 産後の1ヶ月健診を無事に終え、11月からは仕事復帰をしました。産後1ヶ月で仕事復帰!?と驚かれるかもしれませんが、育児をしながら柔軟に仕事ができるのはフリーランスならではの働き方です。私達が普段仕事をしているシビックイノベーション拠点スナバでは、妊娠中からみなさんが気にかけてくれていて、出産直後スナバにいた旦那さんと共に一番乗りで誕生を一緒に喜んでくれました。スナバには授乳スペースやオムツ替え台もあり、子供のお世話をしながら仕事をすることもできます。泣いてしまっても暖かく声をかけてくれて、心の底からありがたく感じています。

 私の場合環境に恵まれている、という側面は大いにあります。でも、 『子育ては”プライベート”なもの』という意識を取り去ることはとても重要なのではないかと考えています。話はかわりますが、先日塩尻市内の友人が主催している”ソトイク”というイベントに参加しました。
(↓ちゃっかり我が子とPVにも出ちゃいました。↓)

 ”ソトイク”は家の中で行う”育児”を共有のスペースに外出しするという考え方です。詳しくはこちら。自分らしく暮らしていくためにはパブリックから変えていく必要がある、という考え方に共感しました。”プライベート”だと思っていた”育児”を”パブリック”に出してみたとき、社会や地域がジブンゴトとして捉えられるようになるのではないでしょうか。これは、育児に限らず、”私”にかかわる全てのことに言えるのではないかと考えています。

■地域で子連れフリーランスが生き抜くために

 一人では抱えきれない”子育て”に公共性を持たせたとき、自分自身の世界や考え方にも大きな変化がありました。自分一人のものだと思っていたあらゆる物事を”共有”することこそ、”地域で子連れフリーランスが生き抜く”スキルなんじゃないかとすら思うのです。

・夫婦で「金」、「仕事」、「時間」を共有する
 実は、出産予定日を前後して、夫婦で法人登記し”カサネル合同会社”という法人を立ち上げました。法人化した理由はいろいろありますが、私個人にとってみれば、「金」「仕事」「時間」を夫婦で共有するための器としての”法人”の役割は非常に大きいものになりました。
 仕事や家事について、これまでは”私の仕事”は”私の責任”で”私の役割”でこなさなければならなかったものでした。それが法人化することで、”私の仕事””旦那さんの仕事”を因数分解して、お互いの得手・不得手や好き嫌いを元に分け合えるようになりました。例えるなら、トランプの手札のようにでお互いのタスクをテーブルに広げて取り合うイメージ。”抱っこで子供をあやす”と”新規事業の立案”のカードは主人が取り、”夕食の料理”と”法人の経理業務”のカードは私が取り、”動画の編集作業”のカードは私も主人もできないので外注する、みたいな。ここで大事なのは、それぞれのカード(仕事)に優劣をつけないこと。トランプの手札がゲームや戦況によってその価値が変わるように、「”子供をあやす”より”夕食の支度”の方が大変!」などということは一概には言えません。主観的な平等は争いの元でしかなく、それよりも、毎日をHAPPYに暮らすという共有のミッションの方がよほど大事だとおもうのです。

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↑子育ても仕事も夫婦で共有。

・地域で「仕事」を共有する
 地域には都市ほど「仕事」がないからこそ、ひとつの「仕事」を奪い合うのではなく”共有”し合うことが大事だと感じます。”地域”というと捉えどころがなければ、”身近な人”と置き換えてもいいかもしれません。自分一人で何かを成し遂げることよりも、近くにいる人を巻き込んで何ができるか?あるいは、近くにいる人に巻き込まれて何ができるか?他人の仕事やミッションも自分事に置き換えて思考してみると、あたらしい関わり方が生まれてくるような、そんな気がします。カサネル合同会社は、そうした地域の「仕事」の受け皿にもなれればと考えて生まれた会社です。代表が行ってきた”オンラインライブ配信”も、昨年は様々な仕事に巻き込まれたり巻き込んだりしてやってきました。今年は新規事業も考えており、さらに様々な能力や個性をもった方々といかにHAPPYに挑戦ができるか、試行錯誤していく一年になりそうです。

↑昨年春からスタートした”ヒトタビトーク”。週に一回、長野県内の素敵な”ヒト”をトーク形式で紹介しながら、ヒトをめぐる旅を提案する番組。この番組でもトークアシスタントとして同じ塩尻の”ミーチャン”と仕事を共有。

■「共」にHAPPYな一年にしよう!

 さて、年も明け、いよいよ私も”子連れフリーランス”として本格始動することになります。昨年は妊娠もありどうしても「片付ける・整理する」ことが多かったのですが、今年は風呂敷をガチャッ〜!?っと広げたい。新年の目標は”巻き込まれていこー!”です。仕事でもプライベートでもご縁いただいたモノやコトには積極的に巻き込まれていきたいと思います。

・会社に巻き込まれ(会社経営・PR)
 あくまでも”主人の仕事”として切り離していた”ライブ配信”の仕事も”会社の仕事”としてジブンゴト化できるようになったので、積極的に発信していきます!

・塩尻に巻き込まれ(プロマネ業とか)

 引き続き、塩尻のシビックイノベーション拠点スナバに拠点を置いて活動するので、地元塩尻にももっと関わっていきたい。子育てを始めたことで、”街がもっとよくなって欲しい”という想いが強くなったので自分にできる事を考えていきます!

・下諏訪に巻き込まれ(ライティング業とか)
 下諏訪の合同会社chiokoさんが主催する”小商いヤッテミレバキャンプ”に参加することになりました。いろいろなひとに巻き込まれるためにも自分自身の事業やスキルも育てたいと思い参加を決意。ついでに素敵タウンの下諏訪にもつながりを作りたい、という魂胆も…!

 あと、東京の仕事にも巻き込まれたい!とか、去年からちょっとやっていた島根や地産品の仕事も引き続きやっていきたい、とか、まだいろいろ考え中ですが…ともかく…巻き込み巻き込まれながら、

みなさまと「共」にHAPPYな一年にするぞー!

これが新年の抱負かな?

そんなこんなで、本年も家族共々どうぞよろしくお願いします!

2022新春 湯浅亜木


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