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漫画の描き方のコツ備忘録vol.8/コラム『模倣と創作の深い谷』後編/パロディ・オマージュ・パクリとは?

コラム『模倣と創作の深い谷』後編/パロディ・オマージュ・パクリとは?

あまり知りたくない気もするけど、知らずに創作するのはちょっとあぶない。パクりに盗作、トレースと模倣、オマージュとリスペクトとパロディに著作権と法律などなどについてのお話!後半戦です。

今回は、前回踏み込めなかった、
パロディやオマージュ・リスペクトと呼ばれる創作についての概念やマナー、そしてアイデアの模倣。それらは著作権的には?
というお話をしていきたいと思います。

著作権についての基本説明をさせていただきました前編記事はこちら!

◎中編は著作権を利用する際のお話でした。すっかり土曜日かと思ってフライングして水曜日にあげておりました…!!

さて今回は長めなので、後引き用の目次を。



パロディとはそもそも 

まずは、パロディの定義などについてを。

パロディとはそもそも
〈模倣行為自体や、模倣をした作品〉
の意味
です。 

《パロディ》は、他者のアイデアを自身の作品に生かしたり、引用※するという所にとどまらず、
模倣元の特異なデザインや、ストーリー展開、セリフなどをそのまま長いセンテンスで自分の作品に登場させる》という、法律上ではかなりブラックなゾーンになりかねない模倣を行います。そのやり方と内容によっては、訴えられる例もあります。 

※引用
他者の著作物などの一部を、出典(書籍名、著作者名、サイトURL、発行年、掲載ページなど)を明確に記した上で、必要性の認められる範囲でそのまま自分の著作物などに掲載したりと利用する方法。
正しいやり方であれば、法的にも認められている。

このパロディは、コメディなどでは良く使われる手法で、何十年か前までは元となる作品をちょっぴり下手なテイストで、茶化すように真似る、というようなニュアンスでした。 

その下手な真似自体を、自身で猿真似と揶揄するような、またその真似を他人が揶揄するようなピエロのような表現手法です。
時には、模倣元の作品すら揶揄するほど強めのパロディもあります。 

最近では《尊敬・リスペクトを込めつつも、さらにコメディチックに真似る》というような意味を持つ事が多いかと思われます。

そして、近頃はこのコミカルなパロディの範疇ではなく、好きが高じて《その作品のエッセンスをストーリーに取り込む》ようなバージョンを《オマージュやリスペクト》と呼んでいるようにも思われます。 

しかし本来は、このパロディ等関連についての非常に肝心な要素として 

  • 「元ネタを自分の作品の読み手さんが知っている状態で描く」

  • 「パロディであると読み手側には明らかに分かるように作品化する」

  • 「元ネタについて作中で言及しないのは、読む人ほぼ全てが知っていると思われるような作品やネタの場合のみ」 

など、運用する際の暗黙のルールマナーもありました。 

例えるなら、アンパ○マンのようなほぼ確実に多くの日本人が知っているだろうと予想がつくものは、パロディだと分かるように、なおかつリスペクト込めて描いて見せ、

読み手さんが明らかに元ネタを知らないような時】には、きちんと【元ネタを自ら開示】しておく。
【この話はパロディ、リスペクトやオマージュとして描いていますよ。】と読んで分かるように描く。
 

「これが分かれば通だよね」という場合にも、この作品はパロディが主体であり、リスペクトを形にした作品であるのだと、
その作品を読む読み手さん全員にちゃんと分かるように、伝えておくようにする。】 

というものが、かつてはパロディでありリスペクトでありオマージュでした。 
それをしないと、知らない人からすれば全てがその作者さんの考えたものであると誤認識されてしまうためです。
そうして元の創作者に敬意を示すからこそ、 それを自分の著作で行う、使用する事が容認され、グレー扱いとなるという側面がありました。
元が明らかであれば、合法的な《引用》の用法に近いようにも思います。

しかし、これらであっても活用する先が明らかに商用で、無許可であり、かつ、
元ネタ側には真似をされても得がなかったり、そもそも真似自体をされたくなかったり、
もしくは真似をされる側の著作権の扱いが非常に厳格な場合には、名誉毀損や盗作などの法的なブラックゾーンに踏み込んでいく場合があります。 

かなり強い内容の作品を描きたければ、水面下でしかるべき許諾を得てから行うという事が、本来ならば安全で誠実ではありますし、パロディであってもオマージュであってもコメディであっても、きちんと許諾を得てから作品への落とし込みを行う、律儀で真面目な作家さんもいらっしゃいます。
逆に、何度訴えられても無断かつ強い表現で模倣し続けるというクレイジーな強者も時々いらっしゃいますけれども。 

こちらを前回までと合わせれば、やはり著作物について厳格な法的処置や差し止めなどが行われるのは、

《元の著作者が、自分の著作物から得るべき利益》を、
《著作者ではない者が、不当に利用し利益を得て》かつ
《著作権者本人やその創作》に対して、《不利益や苦痛や損害を与える時》

が主であるかと思います。 

そのため、このパロディ自体が広告となる場合など、ネタ元の利益になる場合には歓迎されたり、公に容認されたりという事もままあります。 
日本の二次創作同人誌※が、グレーゾーンとなる所以もこのあたりの延長にあるのかなと思います。 

※二次創作同人誌について
あまりこちらの創作畑には寡聞にて詳しくないので触れるだけで失礼しますが、
「二次創作の同人」=他者の著作物そのものを着想とした作品では、利益を出してはいけない、作者が望まない作品の場合には行わないという暗黙のルール(マナー)があるそうです。
あくまでもパロディであり、リスペクトであり、オマージュであり、俗語にいわく布教活動という広告ともなり、さらに二次創作を行う側にほぼ黒字が出ないためグレーという扱いかと思います。

では、広告になったり訴えられないのなら、自身の利益の出る商用の作品で、他者の作品を作者に無断で著作権的にはブラックかそれに近いぎりぎりのゾーンまでいくらでも模倣を重ねても良いのか?
そのどこまでがグレーなのかという問題も出てきます。 

その抑止力となるのはやはり法律的だったり、道徳的な面です。


誰のものでもないアイデアと、創作上での道徳観について 

◆そのほかの創作上の道徳観 

では、ここからは創作と模倣の関係において、そのほかの創作上の道徳観や、法的にホワイトな模倣の境界線などについてもふれておきたいと思います。 

かつて芸術分野においては、まだ無名であったりもする下手(しもて)の作者が、上手(うわて)の作者を模倣するのは容認の範囲でしたが、
先達である、上手が下手の真似をするというのはタブーであるという道徳的な観念もありました。 

例え真似をされたくなかったとしても、社会的に力の弱い方の創作者は、発言力のある創作者に、やめてほしいとは言えない状況になりやすいためかと思います。 

これら、パロディや模倣についての昔ながらのマナーや、著作権の原則もあまり知られないまま、創作する方も、それを見る方達もどんどんと増え、
その原則自体が崩れつつあるために、盗作、パロディ、アイデアの登用など、似て非なるものの全てをパクりと呼ぶ方もいたり、 

実は法律にふれかねないブラックゾーンでも「ただの真似だし、似ているだけ。面白ければそれで良いのでは?」という意見も見られるようになりました。 

著作権についてよく知らない読み手さん側の一意見なら、それで問題がありませんが、作品を作る側としては、どちら側に立つ事になるとしても、今回ふれさせていただいた一連の初歩的知識については、自己防衛のためにも取り込んでおいた方が良い面かなーと思います。 

皆が良いと言っているから良い、皆やってるから良い、プロの作家さんもやっているから大丈夫。
著作権をよく知らずにやり方を真似をしてしまうと、自分自身が知らない内に法律的にブラックなゾーンに踏み込んでしまう可能性がありますので、創作者となるにあたっては、自衛として気を付けていかなければならない部分です。

※そして厳格に行う場合は、必ず法的な文書を参考にしてください。
(一応ちゃんと調べております、調べてはおります。が!しかし!こういったコラムや質問コーナーなどではなく…例えそういった媒体でも、身元のしっかりした弁護士さんなど専門家の情報をご一読くださいませーっ!
\(-ω-;)/)


◆誰のものでもないアイデア 

次に、前半でも少しふれました創作物の【アイデア・着想】についてのお話です。意図的でも偶発的でも、一部のアイデアや全体の着想が似た作品は出てきます。 

それらは果たして著作権的には、どういった扱いとなるのでしょうか?

まず、これらに関連する私自身の商業専業時の実際の経験としても、
全く読んだ事がない作品と、こちらが後出しにした作品のネタが、少し被ってしまった…という事に発表後に気が付いたという経験もあります。 

例えそれが、
誰に指摘される事もなく、読者さんが見るとさして似ているとは思えず、実際に似てないと言われたり、自分だけが過剰にそう思っただけかも知れなくても、これは創作者としては非常に背筋が寒くなる体験です。 

これについては、経験した事がある作家さんも実は結構いらっしゃるのでは…?と思います。 

また、作家本人の意思でないにも関わらず、意図的に近い形でエピソードが似てしまうという事もあります。 
これも私自身の実体験として、紙商業作家時代のネーム作成中に編集の方から「このシーンはこうしたらどうか?」とアイデアを提案され、「それは良いかも」と思って利用した事がありました。

しかし後々、それが私自身が未読だった同編集部で作成され、確実にその編集さんは読んでいる、むしろ作っている別の雑誌で、
先に掲載されていたジャンルの違う作品の、一部分の展開と似た着想だったという事に気付いてゾッとしたという経験があります。 

読者さんも気に留めない可能性があるたった1シーンでしたが、こちらの話の展開上は重要なエピソードでもあったため、やはり背筋が寒くなりました。
それから私は、あまり編集さんや他人の提示したアイデアをそのまま使わないように気を付けるようになりました。 

このように、知っていたのならむしろ被るのを避けていたはずなのに、知らなかったがために被ってしまうという事もあります。 

全ての作品の内容が漫画家が作り上げたものと考えられがちですが、実は人から良いアイデアやアドバイスをもらったと思い、使ってみたがために被りが出てしまうなんて事例や危うさも実際にあるという事です。

ともかく、忙しい創作の中で全ての作品を読み、他人のアイデアを疑っても、完全に被りを避けるのは物理的に不可能です。 

プロ等になると時間も足りず、また純粋に読み手感覚として楽しめなくなり、他人の著作物を読むのが億劫となり、ほとんど読まなくなってしまうタイプの創作者もいます。
私もどちらかと言えばそういったタイプだったためにそれらが起きました。 

また例え世間的には大ヒット作品であっても、消費する側として普段から興味のある系統の作品でなければ、読まない観ない創作者も当然居ます。

もちろん、しっかり読んだ上で全く気にせずビジネス・商業として、他の作家さんのアイデアをそのまま作品にしたり、作品に取り込む方もいます。 

結果としては意図的にアイデアを取り込んだものと、全く故意でない自身のアイデアで描いたものも似たような形に見えたりもします。 

最後に、これも実体験ですが、以前とある雑誌に投稿作品として送った自作の漫画がありました。
結果としてはそれ自体は掲載賞まではいかず、大きめにタイトルが載ったというくらいでしたが、
ほどなくして、その時に投稿した漫画ネタとほとんど同じような着想で、ジャンルをその雑誌で一番主流の系統に置き変えたような作品が、その誌面の新人さんの新連載の作品として発表されていて、その後そこそこ有名な作品になっていたなんて経験もありました。 

こちらも全くの偶然かもしれませんが、もしかしたら投稿作を読んだ選考係の編集さんが、自分の担当の新人さんに「こんなネタで描いてみませんか?」と、私がプロになってから経験したような形でアイデアを提供し、それを元にその漫画が生まれた可能性もないとは言いきれません。

もしくは新人さんに投稿作を読ませ、そのアイデアで作品にするという事が、あるのかないのか当事者ではなければ分かりません。
分からないので投稿する身としては、より恐ろしくなります。

そして同じ雑誌で同じような事が、次作の投稿後にも(そちらは別の作家さんの読み切りでした)ありました。

その雑誌はその頃から、賞の回を負うごとにどんどん投稿者数が減っていたので、もしかしたら声は上げなくても同じような経験をした方が、他にもいらっしゃったのかも分かりません。 
私自身は、本当に完全な偶然だったとしても投稿で得られるメリットよりも、何度もその編集部に作品を送るリスクの方が高過ぎると感じてそちらに作品を送るのをやめました。

当時は著作権などについてそれほどは明るくなく、いづれ描こうと思っていたその作品を、後から公の場に出す事が出来なくなってしまったと感じて非常にショックでした。 

しかしながら、この項目で触れてきたこれら
他人のアイデアを使って描いてしまったかもしれない?
偶然で似すぎてしまったかも?
他人に大事なアイデアを真似されたかも??

というような一連の案件は、法律上ではやはり問題がないセーフゾーンの行為や事案となっています。 

前回の最後に触れたように、他者の考えたアイデアを用いる事自体は、著作権を侵害する、法を犯す行為とはなりません。 

また、さらに言えば、特に何もしなければ、
生み出したキャラクターデザインにも著作権が発生しません。
キャラクターデザイン自体も、アイデアのひとつという分類になるそうです。

この場合、著作権が発生するのは、そのキャラクターを描いたイラストや漫画などの、創作物そのものとなります。 

とはいえ、キャラクターデザインというものも、いちから考えるのはものすごく時間がかかったり労力がいる場合も多いので、
誰かが一生懸命に考えたそれを、ファストフードのように横からさっとアイデア流用出来るというのは、創作者としてちょっぴりもやっとする気もします。 

同じように漫画の中のアイデア、つまりキャラクターなどの名前つけや、ちょっと特殊な舞台設定、ほんの少しだけ出てくる小物やその小物の装飾の柄などでも、
作り上げるために図書館に通ったり、検索したり何冊も本を読んだ末に、やっとしっくり来るものに行き当たったり、何日もうんうん考えてようやくこれいいなと思うアイデアが出て来る、降りてきた。

ということを読み切り制作ごとに行っていたりする作者もいるわけです。 
もちろん膨大な時間がかかりがちなこの作業には今現在、クリエイターとして手当てが出る事もありません。

私はどちらかと言えばそのタイプなので、小さい事でもタイミング悪く他の方と被ると、ここまでちゃんと下調べして作り上げても、他者からはパクりと思われるのではとゾッとした事もありましたし、
さっと気に止めずアイデアの転用が行われるのを見かけたりすると、非常にもやっとしたりしていました。

実際に全て法律的には後ろめたい事ではありませんが、そういったトラブルや不安が続くと創作意欲が落ちてしまったり、
少しネタが似ただけで、パクりだと言われるのでは?と恐ろしくて描けなくなったり、創作活動自体が億劫になってしまったりする事も
あります。 

というわけでこのコラムの最後では、全編の内容を踏まえ、
創作者が自分自身とその著作物、自身や他者の創作活動を守るために出来る事を纏めておきたいと思います。


自分自身と自分の創作活動を守るために出来る事、知っておく事。 

①アイデアについて正しい著作権の知識

まず、アイデアや着想の被りは著作権の侵害ではありませんので、自分が故意に被られても、一生懸命考えたアイデアやキャラクターの一部を真似されても、真似した他者を責める事は出来ませんが、 
反対に自分が、知らずに似てしまった!ネタが被ってしまった! と後から気付いて驚いても、悪い事はしていませんので慌てなくて大丈夫です。 

万が一、パクりとすぐに責め立てる法律を知らなかったり、理解してくれない方が居らっしゃっても落ち着いて、気にする必要はありません。
あまりにしつこく、ひどい場合は相手方が名誉毀損などにあたります。

②意図的な模倣における著作権の知識

もしも他者の作品を何かしら模倣したものを制作したいという場合には、しっかり著作権についての法律を勉強して頭に入れておく、
法にはふれない範囲でもある程度はリスクがある可能性がある事や、引用元の判断次第では法にふれる可能性もある事、国によってはパロディであっても法に触れる事、
パロディやオマージュでも本来は著作者に許可を貰うまたは、引用元やリスペクト先を読み手に分かるように示すのがマナーだったり、法的にも安全であるという事を知っておく事は大切です。

また、トレースや創作物の完全な模倣や無断流用商用等に利用し、
相手の方が自身の創作物から得るべき当然の名誉や利益を、制作していない人間が不当に得る行為
などは、模倣の範疇を越えた相手の方の著作権の侵害となる、法を犯す行為です。
踏み越えないよう気を付けます。

③描きたい作品と意欲とアイデアを守る

もし、発表したい作品のアイデアを誰かに見られて先に公に発表されてしまったとしても、それがどうしても描きたいものだったら、落ち着いて、なるべく確実に自分が先に描いていた証拠と呼べるものが残るようにしておきましょう。 

投稿作であれば批評や封筒、消印、発表ページなど手元に取って置けば、後からどうしてもその作品を世に発表したくて決心して行うとして、何か理不尽があっても自分の身を守れるので安心です。 

もし、先に発表していた自分の作品への、相手方のとても強い模倣などの場合でも、商業であれば国立国会図書館にも全ての雑誌は残ります。
最近は少しWEBで調べれば、公的な発行の日付も分かりますので大丈夫です。
オリジナルの同人誌だった場合にも、公の発行日が分かるものを手元にも残し、いつでも出せるようにしておきます。

取り出す事はなくても、証拠があるという事が創作上の安心感につながります。

④商用利用時の規約、契約書について

商用で自分の作品に他の人の著作物や素材を使う時には、規約をしっかり読む癖をつけ、自分の作品に取り入れるものの来歴は把握するようにします。

把握出来ない、把握が出来ているかあやしいもの、すでに著作権を侵害している可能性があるものについては、いかに良いものでも商用では特に使わないように気を付けます。 

建物の形、人様の顔形などにも権利があったりする事も、本来は勝手に使ってはいけない、個人が特定できる場合には許諾の証明・モデルリリース(肖像権使用同意書)というものもある事なども認識しておく必要があります。

また、もしも漫画家などとして活動を始めたら、自分の作品を預ける媒体の規約などはちゃんと読む事をおすすめします。
契約書の分からない部分は調べて、内容を理解して読みます。 

私の実体験に、とある出版社のWEB部門から電子化の契約書が送られてきて、ちょっと曖昧な表現がある契約かなとは思いつつも「編集部の担当さんに話が通っているんだろうから良いか」と思って了承サインをして返したけれど、いつも連絡を取っていた編集部には全く話が通ってはいなかったという事がありました。
 
取引先ではあっても、普段は付き合いがない部署から新規に事前連絡なしで契約書が来たなんて時も安易に信用せず、
普段やり取りをしている方にちゃんと連絡するなど、契約書のサインにあたっては慎重に行動をした方が良いです。

その契約書の曖昧な部分については、内容は一応は大丈夫なものでしたが結局、編集部に問い合わせたり、後で幾度かやり取りをして調整するという手間がかかりました。 

プロやアマチュアとして投稿する場合にも、投稿の規約は必ず読みます。
投稿する前に、著作物の取り扱いにおかしな文言がないかを必ず確認しておきます。

安易な契約で自分の一生ものの財産である、著作物の権利が他人の手に渡らないように。
渡す場合にはしっかりと悔いのないほど検討してから行うようにしましょう。



『模倣と創作の深い谷』まとめ

さてさて、ちょっと避けたくなるような頭の痛くなるようなお話だったかもしれませんが、これらを知る事によって、創作者の皆様がポジティブにより伸び伸びと創作しやすくなる一助になればと、切に思います。 

三回に渡りお話しました著作権関連のお話、非常に長くなりましたが、ここまでお読みいただいた方、どうも有難うございました。
ネーム作りの実践に入る前にどうしても知っておきたい部分でもありましたので、記させていただきました。

それでは最後に、漫画はどんなものを描いても良い、けれど作品で他者を傷付けないように。
というお話をされていた手塚治虫先生の著書からの引用を少々

“ 漫画はふてぶてしく描こう 

(中略) 
どんなものを、どんな風に描いてもいいのだ。支離滅裂、奇っ怪破廉恥、荒唐無稽、独善茫然自暴自棄、非道残虐陰惨無法、狂乱狂恋百鬼夜行的なものを描いてもらいたい。 

(中略) 
しかし、漫画を描くうえで、これだけは絶対に守らねばならぬことがある。
それは基本的人権だ。
どんなに痛烈な、どぎつい問題を漫画で訴えてもいいのだが、基本的人権だけは、だんじて茶化してはならない。
それは、
一、戦争や災害の犠牲者をからかうようなこと。
一、特定の職業を見下すようなこと。
一、民族や、国民、そして大衆をばかにするようなこと。
この三つだけは、どんな場合にどんな漫画を描こうと、必ず守ってもらいたい。 

これは、プロと、アマチュアと、はじめて漫画を描く人とを問わずである。
これをおかすような漫画がもしあったときは、描き手側からも、読者からも、注意しあうようにしたいものです。 

1996年 光文社知恵の森文庫 手塚治虫 著
『マンガの描き方 似顔絵から長編まで』234p-236pより引用

これは著作物の【引用】ですね。法的に認められた行為です。

漫画周りの色んなエッセイや自伝を読むと、手塚先生も漫画の色々な面で失敗談などがあったと分かります。
漫画の神様でも完璧な創作は出来ないわけで、だからこそ創作意欲が湧くわけでもあり、ともかく、楽しく創作しながら失敗しながら学び成長していく事が肝要かなと思います。

それでは、次回からは本編【ネーム・プロット編】お話の作り方のお話!に戻っていきます!

よろしければ、ぜひまたお付き合いくださいませ!
ではまた。

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